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沢尻エリカ「人生で、自分と向き合う時間を持てることが贅沢」 [FRaU]

2018年07月09日(月) 17時50分配信

Photo:Jihyun Shin

沢尻エリカさん主演の映画『猫は抱くもの』が公開される。蜷川実花監督が手がけた大ヒット作『へルタースケルター』から6年ぶりの主演作は、まさに沢尻さんの新境地。

演じるのは、思った通りの自分になれなくて、いつしか投げやりな生き方に慣れてしまったアラサーの沙織。元アイドルで、今はスーパーで働く沙織が心を開くのは、こっそり飼っているロシアンブルーの良男にだけだった――。

メガホンを取ったのは、『ジョゼと虎と魚たち』や『グーグーだって猫である』のような日常を切々と活写した作品から、『ゼロの焦点』のような社会派作品、『のぼうの城』のような時代劇まで幅広く手がける犬童一心監督である。
カラオケでは、普段から安室さんの曲を歌ったりします(笑)

Photo:Jihyun Shin

カラオケでは、普段から安室さんの曲を歌ったりします(笑)

――映画の中では、もちろん実際の猫も登場しますが、沙織が良男と呼んで可愛がっているロシアンブルーに対して心を開くときの猫は、吉沢亮さんが演じています。人間の暮らすリアルで殺風景な日常と、猫たちのファンタジックでカラフルな社会とが、映像の中で混ざり合っていて、これまで見たことのないような映像世界がとても新鮮でした。

沢尻:沙織が猫とコミュニケーションを取るときは、舞台のような空間でのお芝居になるので、人間相手に演じるときと、猫役の俳優さん相手に演じるときの、微妙な演じ分けが難しかったです。

私は舞台をやったことがないので、あまり事前に作り込むことはしないで、現場に入ってから、キャラクターを構築していきました。現場で生まれるものを大切にしたいのはいつもそうなのですが、今回は特に、スタッフやキャストの皆さんと、一緒に創り上げている感じがありましたね。
――沙織は猫を撫でているつもりなのに、撫でられているのは良男役の吉沢亮さんなのが、不思議なんだけども違和感がなかったです。沙織もいかにも猫を撫でているように見えるし、吉沢さんの表情も、まさに猫のそれでした。ある意味、猫好き女子の妄想を、具現化にしてくれたような映像で(笑)。

沢尻:猫に愛情はあるんだけれど、沙織にとっては、いくら語りかけてもわかってもらえない一方通行感がある。そこは、実際に吉沢さんと会話をしちゃうと物語が成立しなくなっちゃうので、監督とも、「どうすれば独り言で訴えていくことができるんだろう?」って何度も話し合いました。
――元アイドルという設定なので、歌って踊るシーンもありましたね。アイドルを演じてみていかがでしたか?

沢尻:疑似体験ができて、楽しかったです(笑)。振付けにしても曲にしても、ザ・アイドルという感じだったので、そこは振り切ってやりました。

楽屋では、みんなでお菓子を食べて、世間話をしながら出番を待っていたりして、本当にアイドルみたいな、そんな感じでした。撮影が終わると、みんなでご飯を食べに行ったりしました。

ただ、事前にわかっていたこととはいえ、歌だけでなく踊りとか、舞台的なセットでのお芝居とか、思いの外初チャレンジが多くて。一つの役柄としては考えられないくらい、いろいろ高いハードルが私の前に立ちはだかったんです(笑)。

でも、結果としては監督に与えられた無理難題、楽しめた自分がいたんですね。それは、監督から引き出してもらった部分だと思います。
――劇中、カラオケで安室奈美恵さんの曲を歌っています。

沢尻:ああいうシーンも、今までやったことないので新鮮でした。実際、カラオケに行くと安室さんを歌ったりもします。
――今回、犬童監督とは初タッグでした。

沢尻:とても楽しかったです。監督とは、ずっと以前、アカデミー賞の会場でお会いしたことがあって。監督の作品に興味があったので、「いつかご一緒したいです」とお話ししました。

月日が経ち、去年、このお話をいただいたので、割りとすぐ決めました。監督はすごくチャーミングな方で、見ていて面白かったです。一つ一つのシーンへのこだわりはすごく感じました。

お芝居に関する指示は割りと大まかで、ある程度はこちらに任せてもらえる感じはあったんですが、“画(え)” に関しては、監督の中に明確に「こういう画がいい」というのが見えていたのか、細かいところまで、時間をかけて作り込んでいたように思います。
――この映画を通して、沢尻さん自身どんなことを感じましたか?

沢尻:まず、登場人物すべてが独特のキャラクターで、それぞれが自分らしい生き方をしたくてもがいているところが面白かったです。30代の女性なら、沙織に共感できる部分は多いんじゃないかなと思います。

“うまくいかないこと” が重なったり、“自分が取り残されている” と感じる時間、自分ととことんまで向き合える時間は、実は人生の中でとても贅沢な時間でもあるんですよね。

世の中には、誰もが認めるような “幸せ” の定義もあるのかもしれない。でも、そこに自分を当てはめようとするんじゃなくて、自分らしく生きていければハッピーなのであって、幸福の正解なんて、本当はどこにもないんです。

猫でも、人でも、心通わせるかけがえのない何かに出会えるだけで、人は希望を持って生きていけるものだし、ささやかな日常の中に、すごくシンプルなことの中に、本当の幸福はあるんじゃないかと思います。

PROFILE

沢尻エリカ Erika Sawajiri
1986年生まれ。東京都出身。2004年映画デビュー。『パッチギ!』(05年)で、日本アカデミー賞新人俳優賞ほか多くの映画賞を受賞。『ヘルタースケルター』(12年)では日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した。ドラマの代表作に「1リットルの涙」(05年)、「タイヨウの歌」(06年)、「ファースト・クラス」(14年)、「母になる」(17年)などがある。7月スタートのドラマ「ハゲタカ」(テレビ朝日系)ではヒロインの松平貴子役。映画は今年、『食べる女』『億男』の公開が控える。
INFORMATION

映画『猫は抱くもの』

INFORMATION

なりたい自分になれていない、こじらせ女子・沙織(沢尻エリカ)が唯一心を開くロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)。そうして自分を人間だと思い込む良男は、沙織に恋をする。そんな一人と一匹が、ゴッホと呼ばれる売れない画家(峯田和伸)や迷い猫のキイロ(コムアイ)と出逢い、やがて変わってゆく――。全国ロードショー中。

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