• > 松本千登世「本物の女っぽさを生み出すものは」 [VOCE]

松本千登世「本物の女っぽさを生み出すものは」 [VOCE]

2018年06月28日(木) 20時30分配信

松本千登世さんの美容エッセイから抜粋

美容ジャーナリスト・エディターとしてVOCEでも出演、取材、編集、執筆と活躍中の松本千登世さん。その美しさと知性と気品が溢れる松本千登世さんのファンは美容業界だけにとどまらない。こちらの美容エッセイ『結局、丁寧な暮らしが美人をつくる。』(講談社)から、ぜひ今日も、「綺麗」を、ひとつ、手に入れてください。

恥じらいは、女っぽさの証

以前、ある女性にインタビューをさせていただいたときのことです。最終確認をお願いするためにページの試し刷りをお渡ししたところ、「申し訳ないけれど、ひとつだけ修正をお願いしたい」。

聞けば、少しだけ胸元の肌が覗く洋服の乱れを正してもらえないかというリクエスト。「はしたないから」が、その理由でした。胸の谷間も白い太腿もテレビでも街でもごく日常的に目にする時代。正直、驚きました。

この女性、じつは女優の江波杏子さん。同性の私でさえ瞳を見るだけでどきどきしてしまうほどの溢れる色気は、この精神から来ているのだと妙に合点がいったもの。そして、同時に思ったのです。女であることを誇りに思うから、恥じらいが生まれる。そう、恥じらいは、清潔感であり、品格の表れ。こういう女性こそが本物の「女っぽい女」なのだって。

「敵ができて、一人前なのよ」

今でも苦々しく思い出す出来事があります。会社員だったころ、同じ班の同僚と意見が食い違い、関係がぎくしゃくしたことがあります。今思えば、ほんの少し譲り合えば解決したこと、それなのに、妥協できない気持ちが強すぎて、衝突したのです。

その事実に落ち込み、年上の女性に泣きついたところ、こんなひと言が返ってきました。「敵ができて、一人前なのよ」。えっ? どういうこと? 「どうにも妥協できなかったんでしょう? それは、自信の表れじゃない? ようやく編集者として一人前になったってこと」。

胸のつかえがすーっと下りていくのを感じました。そのとき私は、柔らかさと穏やかさを持ち合わせながら妥協をしないという、もう一歩先の自分を目指そうと誓いました。だって、敵を作るって、あんなに苦しかったんだもの。

「俺たち」と「君たち」の使い分け

あるサッカーチームの監督が、こう語っていたそうです。「負けたときは『俺たち』、勝ったときは『君たち』と呼ぶんです」。

仕事をしていると「手柄は自分、ミスはあなた」というシーンに出くわすことがあります。そのたび、心が離れていくのを感じていました。周りの心を掴む人の「奥深い思い」は、こんな小さな言葉の違いに現れるのです。

「遅刻するなら、せめて堂々としてろ!」

友人が上司に、そう言われたのだと苦笑いしていました。「申し訳なさそうにするくらいなら、遅刻なんかしなきゃいい。そのほうがずっと簡単だろう? 遅刻したなら、せめて堂々として、許しを請う時間の分だけ、余計に働け……」。

笑いを交えたこの言葉が、小さな遅刻を繰り返した自分を改める、何よりのきっかけになったのだそうです。

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