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優香「女は、“何かになる” のが好きな生き物」[FRaU]

2018年05月23日(水) 20時00分配信

Photo:Okada Akina 

4年前に出演した三谷幸喜作・演出の「酒と涙とジキルとハイド」で初舞台を踏んだ優香さん。三谷幸喜が喜劇作家として “原点回帰” したとされるこの舞台が、4年ぶりに再演されることになった。東京公演に先駆け、台湾国際芸術フェスティバル(TIFA)で 3月30日から 4月1日までの上演を無事終えたばかり。

映画「羊の木」での艶っぽい演技、舞台で見せるコメディエンヌとしての輝き--。作品ごとに、女優としての新境地を拓く優香さんの芝居への興味は、ニュートラルな日常からの、“過剰への切り替え” にあった。
人がもつ “過剰さ” を演じることが、 俳優の醍醐味のひとつかもしれない

Photo:Okada Akina 

人がもつ “過剰さ” を演じることが、 俳優の醍醐味のひとつかもしれない

--映画「羊の木」のお芝居が、エロティックで生々しくて、とても引き込まれました。過疎対策として仮釈放された元受刑者、それも殺人を犯した6人を受け入れた架空の街が舞台で。優香さんは、介護センターで働きながら、錦戸亮さん演じる主人公の父親と恋に落ちるという……。そのどうしようもなく遣る瀬無い感じが、胸に迫りましたし、見ていてドキドキしっぱなしでした。

優香:ありがとうございます。あれは、一途に人を愛することしかできない役で。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。元受刑者を演じた私以外の5人の俳優さんが、そもそものキャラクターもものすごく濃くて、役柄も不気味だったり強烈だったりして、最初にお話をいただいた時は、「この中で浮かないかな?」と不安でした。

台本を読んだ時点では、作品全体のイメージが掴めなかったこともありますし……。でも、吉田大八監督とご一緒できることは魅力的でしたし、俳優としては、独特の空気をまとった映画で、やったことがない役だったので、どうしても惹かれました。
--17歳でデビューされているから、去年がデビュー20周年なんですよね。20代までは、バラエティのイメージが強かったように思いますが、30代になってからは、女優としていろんな魅力を開花させている印象です。

優香:うーん、自分ではよくわからないんですが、20代までは、お芝居の現場にいても、「明るく元気に」とか、「健康的な感じで」とか、「普段のままでいいです」と言われることが多かったのは確かです。でも、その私が求められている “等身大の感じ” っていうのが、自分でもよくわからなくて、そこは戸惑いがありました。

20代の頃の私って、生放送の司会のイメージがあったと思うんです。6年前に卒業してからは、年齢のせいもあってか、年相応の役が多くなった気がしますね。今は舞台にも挑戦できすし、映画のロケで長期に渡って東京を離れることもできるので、じっくりと一つの作品に向き合えるようになったと思います。
--小さい頃、女優に憧れはありましたか?

優香:それが、まったくないんです(笑)! ただ、おままごとは好きでした。タイトルは覚えていないんですが、ドラマに出てきた鈴木保奈美さんのカッコいい佇まいに憧れて、バーに座っている大人のいい女設定で、モノマネをしてみたりとか、そういうことはやっていましたね(笑)。

でも、私、女って、生まれながらにして “何かになる” のが好きな生き物じゃないかと思うんです。私自身、自分が子供の頃は、大人の前でちゃんと “可愛い子供” を演じていたような気がします。少なくとも、何をすれば “可愛い” って言ってもらえるかはわかっていたのかも。

大人になってからも、例えば、学校のお母さん同士で見せる顔、同級生に見せる顔、親に見せる顔って全然違うじゃないですか。女優っていうのは、その、自分が持っている幾つもの顔を、パブリックな場に晒していくようことなのかな、と思ったりもします。

舞台「酒と涙とジキルとハイド」 撮影:渡部孝弘 

--なるほど。だから、“元気で明るい優香さん” という単一の顔を、お芝居で求められることに、戸惑いがあったのかもしれないですね。

優香:ああ、そうかもしれないですね。私、お芝居の時は、極端に切り替えが必要なものの方が好きなんです。例えば時代劇なら、着物を着て、かつらをつけて、床に座ってお芝居したりするでしょ? お芝居の世界観に入って行く時、衣装やヘアメイクにはいつも助けられますけど、時代劇だと、それ以外にも、床に近いところでする生活を体験することが、すごく私の中にあるテンポ感を整えてくれるんです。

現代の生活だと、なんでも素早くスピーディに、ってなるけど、時代劇は、所作も大切だから、動作もゆっくりになるし、気持ちも自然と落ち着きます。だから、どちらかといえば、別世界に飛び込める作品が好きなんでしょうね。

今回の舞台「酒と涙とジキルとハイド」も、かつらをつけると、イヴ(役名)の気持ちにすっと入れるんです。喜劇をやっているとよく思うんですけど、“一生懸命さ” って、滑稽じゃないですか。「酒と涙〜」は、みんながみんな一生懸命で、「会いたい!」「こうなりたい!」とか、それぞれの欲望が過剰なんです。「羊の木」の役も、好きすぎて前夫を殺してしまったわけで……。“○○過ぎる” っていう、その極端さを演じられるのが、俳優の一つの醍醐味なのかもしれません。

舞台「酒と涙とジキルとハイド」 撮影:渡部孝弘 

--「酒と涙〜」は、4年前の舞台の再演です。二重人格の悲劇が描かれた小説「ジキル博士とハイド氏」を題材にしたシチュエーションコメディ。あまり再演をなさらないことで知られる三谷幸喜さんの作・演出で。三谷さんの作品としては台湾初上陸も果たしました。

優香:キャストも変わりませんが、前回観に来てくださった人にも、是非また観ていただきたいです。4年たって、前より動けなくなった私たちの姿を(笑)。「階段のぼるの遅いなぁ」とか思いながら観るのも面白いと思います。

PROFILE

優香 yuka
1980年生まれ。東京都出身。スカウトをきっかけに芸能界入り。ドラマ、映画、舞台、バラエティ、CMなどで幅広く活躍。近年の主な出演作に、映画「人生の約束」(16)、「オーバー・フェンス」(16)、「ブルーハーツが聴こえる」(17)、「羊の木」(18)、テレビドラマ「植木等とのぼせもん」(17)、「都庁爆破!」(18)、「記憶」(18)、舞台「不信」(17)などがある。

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