• > 意外と知らない印象派「ゴッホって印象派の画家なの?」 [おとなスタイル]

意外と知らない印象派「ゴッホって印象派の画家なの?」 [おとなスタイル]

2018年04月06日(金) 10時00分配信

『代表作でわかる 印象派BOX』より

東京・六本木の国立新美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」。この展覧会には、ルノワールやモネのほか、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンらの名画も数多く出品されます。「至上の印象派展」に出品されているということは、ゴッホもゴーギャンも印象派の画家なのでしょうか? 今月発売された『代表作でわかる 印象派BOX』とともに、探ってみましょう。
Q.ゴッホは「ポスト印象派」だと聞きました。 つまり印象派の後継者のことですか?

印象派展にも参加したゴーギャン。 『代表作でわかる 印象派BOX』より

Q.ゴッホは「ポスト印象派」だと聞きました。 つまり印象派の後継者のことですか?

A.いいえ、印象派の後継者ではありません。
かつて、「後期印象派」という呼称もありましたが、今では「ポスト印象派」と言います。つまり、印象派「後」ということです。もちろん、印象派の影響は受けていますが、彼らは印象派ではありません。セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホがポスト印象派の代表ですが、彼らは印象派を乗り越えてそれぞれの画風を確立し、20世紀絵画への道筋を作った画家たちです。

『代表作でわかる 印象派BOX』より

印象派を乗り越えて独自の画風を築いたゴッホ。
Q.印象派はどうして今もこんなに人気があるのでしょうか?

『代表作でわかる 印象派BOX』より

Q.印象派はどうして今もこんなに人気があるのでしょうか?

A.わかりやすいテーマと明るい画面のせいでしょう。

王侯貴族や教会を顧客とした昔の絵画は、神話や聖書、歴史の知識があってこそ楽しめるものでしたが、印象派の絵画はそうではありません。印象派の顧客は、資本家や中流階級からなる豊かな市民層。印象派の画家たちは、彼らを取り巻く自然や生活のひとコマを、明るい色彩で、生き生きと描き出しだのです。それは、現代の私たちでも理解できる明快さと美しさに満ちた絵なのです。
Q.特に日本人は印象派好きと言われますが、なぜでしょうか?

日本に外光表現をもたらした黒田清輝。 『代表作でわかる 印象派BOX』より

Q.特に日本人は印象派好きと言われますが、なぜでしょうか?

A.日本の洋画が印象派の大きな影響を受けたからかもしれません。

日本で西洋式の油絵、つまり「洋画」が本格的に描かれるようになったのは、明治時代。その最初の指導者となった黒田清輝と久米桂一郎が、フランスで師事したのが、ラファエル・コランという印象派の影響を受けた画家でした。そのため、以降、日本の洋画界では印象派風の作品が大流行しました。そうした背景があって、日本人はとりわけ印象派の作品に親しみを持っているのでしょう。

『代表作でわかる 印象派BOX』より

ベルギー印象派の画家に師事した児島虎次郎。

冨田 章


美術史家。東京ステーションギャラリー館長。1958年、新潟県生まれ。慶應義塾大学卒業、成城大学大学院修了。財団法人そごう美術館、サントリーミュージアム[天保山]を経て、現職。専門はフランス、ベルギー、日本の近代美術史。著書に『偽装された自画像』(祥伝社、2014)、『ビアズリー怪奇幻想名品集』(東京美術、2014)、監修書に『魅惑のベルギー美術』(神戸新聞総合出版センター、2013)、訳書に『ゴッホの手紙 絵と魂の日記』(西村書店、2012)、『クリムト』(西村書店、2002)、『ゴーガン』(西村書店、1994)などがある。

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る