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木村佳乃が語る、仕事と育児を両立するコツ[家族のかたち] [FRaU]

2018年03月27日(火) 11時00分配信

最近ますます多様化している、家族のかたちとそこで生まれる悩みの数々。いくつになっても生きていく上で、いろんなときに、いろいろな場面で喜びも悲しみも、苦労も幸せも運んでくる存在。そんな「家族」を考えることで、30代のいまのいろいろを考える「なにか」になれば。

今回は、女優であり2児の母、そして妻である木村佳乃さん。さぞかし目が回るような生活を送っているかと思いきや「手を抜いているので大変ではないです」とサラリと答える。女優という自身の核と親としての責任。2つの異なる道は交差せずとも、ともに歩みを止めず、これまでもこれからも彼女の人生の糧となっている。
事と育児。これまでも今もうまく両立できてないしそれでいい

PHOTO:Tetsuo Kashiwada

事と育児。これまでも今もうまく両立できてないしそれでいい

「いまは大変ですよね。でも慣れます。人間は順応していく生きものですから」

仕事に復帰したばかりの新米ママ編集者が育児の大変さに目が回り仕事との両立に悩む日々だと話したら、彼女はそう言ってニッコリと笑った。

「大丈夫。絶対に大丈夫になります。深く考え込まないことです。なんにしても。なるようにしかならないから(笑)」

女優であり、2人の女の子をもつ母であり、そして妻であり。その凛とした佇まいから、ついパーフェクトな「家族のカタチ」をイメージしてしまうけれど、極意は意外にも「上手に手を抜く」ことだと彼女は言う。

「毎朝5時に起きて家事をして子どもたちのお弁当をつくって。でもそれは、子育てをするお母さんならみなさん同じようなスケジュールですし、大変さも同じです。仕事に割く時間が多いぶん、家のことがおろそかになってしまうことが私の場合はありますし、仕事をもつお母さんたちはみんなそうだと思います。

でも、完璧を求めても無理なものは無理。時間には限りがありますから、自分のできる範囲でやるしかない。疲れたら、『疲れた!』って言って寝るんです。疲れ果ててソファで気を失うことは私もしょっちゅう。だから、上手に手を抜くことですね。上手どころかいっぱい手を抜いてますけれど、私は(笑)」
つらかったことは忘れちゃう後のことはなるようになるんです

PHOTO:Tetsuo Kashiwada

つらかったことは忘れちゃう後のことはなるようになるんです

木村佳乃さん。41歳。結婚し、家庭を築いたのは、いまから8年前、2010年のこと。
「結婚について具体的には何にも考えてなかったんです。お仕事は楽しいですし、30代前半でしたし。もともと将来の夢がお嫁さんというタイプでもなく、結婚願望がなかった。何歳までに結婚してどうこうといった人生設計は何もなくて。ただ、子どもは好きでしたから、いつかは結婚して、うちの母のようになりたいなという思いはありました」

じゃあ、勢いで結婚をしたという感じでしたか?
「そのときのタイミングですよね。ご縁だったと思います」

現在、長女が6歳、次女が4歳。子どもたちの年齢が近いのは、当時30代後半だった自身の体力を考え「少しでも早いほうがいい」という決断だったそう。

「でも、上の子と2歳差と言っても、厳密には1歳半の違いなんです。授乳していたときとか、下の子が泣くと上の子も泣き出して、それはもう大変なことになるんです。全然眠れない時期もあったと思います。でも、その辺の記憶はもうないんですね。つらかったことは忘れちゃうんです(笑)。1人目のときは産後5ヵ月、2人目のときは産後2ヵ月でドラマ復帰しました。とにかく寝不足だったことはよく覚えています」

「絶対にやりたい役があったから」産後2ヵ月での復帰を決意

―それにしても、かなり早い復帰ですよね。産後2ヶ月でようやく外に出られるようになると聞きます。心も体も出産ショックからなかなか立ち直れない人もいるそうですが。

「2人目のときは経験がありましたからね。やっぱり、いい仕事に出会ってしまうとやりたくなってしまうんです。1人目のときは、最初のお仕事が『はつ恋』(’12年)というドラマだったんですが、これはもう、中園ミホさんの脚本(ホン)がすっごく面白かったから、絶対にやりたいと思ったんです。

まだ授乳の最中でしたけど、仕事中はどうするのか、誰に子どもの面倒を見てもらうのか、そういうことはまったく何も考えず、ただ『やる』ことだけを決めて。後のことはどうにかなるかなって。行き当たりばったりなんですよね(笑)」
一人目を妊娠したときお腹に誰かがいる感じが楽しかった

PHOTO:Tetsuo Kashiwada

一人目を妊娠したときお腹に誰かがいる感じが楽しかった

9歳でこの仕事を始めて以来、ドラマに映画にとずっと忙しく過ごしてきた。「忙しくするのが大好き」と公言する彼女にとって、女優業はもはや仕事ではなく、木村佳乃というアイデンティティを形成するものであり、育児や家庭との「両立」を目指すべきものではなく、彼女の人生そのものなのかもしれない。
「妊娠したときはさすがにお休みをしました。ただ、1人目を妊娠したときに、一日中家の中で何をして過ごそうかなと思っていたんですが、意外と楽しかったんです。朝起きて、TVを観ながらゴロゴロして、家事をして、友だちとご飯食べたりして。結構楽しいなって」

―焦りや不安はありませんでしたか? 出産後に復帰できるだろうかとか。

「まったくなかったですね。というか、あんまり何にも考えてなかった(笑)。私は、独身時代から一人で行動するのが好きなんです。一人で旅行に行ったり、買い物に行ったり。常に誰かと一緒にいたいと思うことは全然なかった。

でも、妊娠してるときにすごく面白かったのは、ずっと誰かと一緒にいるなという感じがして。それはそうなんです、お腹にもうひとつ心臓が入っていますから。検診に行けば、小っちゃくても誰かいるぞってわかりますし。これはすごく不思議な感覚で面白いなって。

だから、もうすぐ生まれるとなったとき、『あ、寂しいな』と思ったんです。お腹から出てしまうのが寂しいなって。すごく楽しかったんです。ずっと誰かと一緒にいるという感じが。自分の体なのに自分の体じゃない感じというか。だから、産んだら離れちゃうんだと思うとちょっと寂しかった。

会えるのはもちろん楽しみだし、出産に対して怖いという思いもなかった。産まれたらお腹の中にいるときよりもずっと一緒にいることもわかってる。でも、ずっと誰かと一心同体で一緒にいるというのがとっても不思議な感覚だったんです。
一人で映画館に行っても一緒。私、ホラー映画観るのが大好きなんです。胎教に悪いかなと思いながらもちゃっかり観てました。R18映画も観てましたから(笑)。感情を共有するものが自分の中にもう一人いるというのが楽しかったんです」
石橋を叩いて渡るより、「面白そう!」とインスピレーションが湧いた方向へ。彼女の話を聞いていると、そんなモットーがうかがえる。もちろん、いろいろ悩みはあるけれど、深く悩まない、考え込んだりもしない。潔いというか、男前というか、気っぷがいいというか。それが彼女ならではのスタンスだと感じる。

「そんなふうにできるのも、仕事に恵まれているからだともちろん思います。私たちの仕事って、緩急があるんです。仕事が入っていないときはずっと休みですから、毎日幼稚園の送り迎えをしたり家のことしかしませんし。お医者さんのように急な呼び出しがあるとか、そういったこともないので、その辺はメリハリがつく仕事なんですよね」
―でも、木村さんがロケで家を空けることもあったりしますよね?

「泊まりのロケに行くようになったのは、大河ドラマの『真田丸』(’16年)からなんです。子どもたちにはちょっと寂しい思いをさせてしまうときもあると思います。様子が変わるみたいなんです、姉妹でケンカが多くなったり。

でも、最近は字を書くようになったので、夜遅くて会えなかったり、ロケで家を空けたりするときはお手紙を書き合っています。交換日記のようにお手紙交換をして。というか、私のほうが寂しいかもしれません。ずっと一緒に寝ているので、ロケに出て一人で寝ることに慣れなくて。よく探しちゃうんです、あれ、どこ行った? って(笑)」

PROFILE

木村佳乃 Kimura Yoshino
女優。1976年東京都出身。1996年にドラマ『元気をあげる~救命救急医物語』でデビュー。フジテレビ系ドラマ『名前をなくした女神』、『僕のヤバイ妻』、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、NHK大河ドラマ『真田丸』、映画『告白』、『相棒』シリーズなど出演作多数。大人気絵本の映画化『パパはわるものチャンピオン』が9月公開予定。
※FRaU2018年3月号より一部抜粋
●情報は、FRaU2018年3月号発売時点のものです。

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