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肌だけじゃない、口元が老化を加速させる!?「歯」から広がるからだの不調 [おとなスタイル]

2018年03月23日(金) 10時00分配信

上手に歯とつきあって、10年後も元気に!

50代は、さまざまな体の変化に向き合う時期。口の中も例外ではなく、歯周病の進行や嚙み合わせのズレ、それによる顔や姿勢のゆがみなど、口から始まる病気や不具合が多発する世代です。いつからか人前で思い切り笑えなくなった、なんだか歯が汚れているような気がする、口臭が気になる、歯の黄ばみや痩せた歯茎をどうにかしたい……。こんな口元の悩みも年齢のせいだったりします。
だからこそ、今が口の中を見直す絶好のチャンスでもあるのです! 10年後にさまざまな不調で後悔しないために、50代からの歯とのつきあい方について、歯科医師の佐藤由紀子さんに伺いました。

〈教えてくれる人〉
佐藤由紀子さん
ナグモ歯科赤坂クリニック副院長予防歯科を中心に歯周病、嚙み合わせ、審美歯科を行う同院で歯科カウンセリングを担当。日本アンチエイジング歯科学会理事。

50代の口元3大危機は、口臭、乾燥(ドライマウス)、歯周病

「口は内臓の入り口。でも、多くの人は、口と体を別に考えています」とナグモ歯科赤坂クリニック副院長の佐藤由紀子さん。
「歯は、食生活や運動機能、コミュニケーションと生活のあらゆる場面に関わります。歯に自信がないと笑顔にもなれません。嚙み合わせが悪いと顔や姿勢にも歪みが出ます。健康はもちろん、美や若さなど、口元にはその人の生き方が出るのです」

特に女性は閉経後、唾液分泌が低下。口腔内環境が急激に悪化します。
「体の変わり目である今こそ、口のアンチエイジングに取り組めば、健康も美も未来は大きく変えることができます。そのためには、50代ならではの傾向を知り、すぐに対処すること。年齢的に待ったなしなのです」

変化1 加齢や女性ホルモン低下の影響で唾液量や自浄作用が低下

更年期は、女性ホルモンが減少する時期。唾液腺は性ホルモンの影響を受けるため、この年代では唾液の量が減り、口の渇きや味覚の低下、ものが飲み込みにくいなどの症状を訴える人も。唾液の減少により、自浄作用も低下します。また50代は歯周病が進行してくる年代で、歯茎が下がるなどして、嚙み合わせにも影響が出てきます。

変化2 口臭が強くなる

口臭の原因の9割は、口の中にあり。使った後の歯ブラシや歯間ブラシが臭う場合は、口の中に異常が起きているサイン。悪臭を感じるようなら、歯肉炎や歯周病がかなり進行している可能性が。また、何年も歯科医院に行っていない場合、歯の詰めものやかぶせものが劣化し、腐敗臭を放っている場合もあります。放っておかずに受診を。

変化3 ストレスフルな毎日で菌が増殖

歯周病は、口腔内の細菌の攻撃力、体の抵抗力、生活習慣などが絡み合って発症し、進行します。50代は仕事や親の介護、更年期症状などでストレスが多い世代。ストレスフルな生活の中で免疫力が落ちてくると、口の中の悪玉菌が暴れ出します。しっかり歯を磨いていても、口腔内環境が悪化する場合があることを知っておいて。
歯だけで見た目も健康も10年後、こんなに差が出る!?

歯周病の影響はいろいろ!

歯だけで見た目も健康も10年後、こんなに差が出る!?

たかが歯と侮るなかれ。歯が健康でない人は、さまざまな部分で老いが加速。高齢者の多くが、もっと若い頃に歯をメンテナンスしておけばよかったと話します。今こそケアどきです。

健康でない歯のまま → 歯を健康にする
●姿勢がくずれる → 姿勢がよくなる
●顔がたるむ → フェイスライン、横顔も美しくなる
●嚙めなくなる → 嚙める(唾液や若返りホルモンの分泌量がUP)
●笑えない → 笑顔が美しい
●全身疾患に影響 → 老化や病気の予防につながる

「まだ大丈夫」では間に合わない!?急増する歯周病の恐怖
歯周病は全身病ともいわれていて、その影響は、糖尿病や動脈硬化、認知症など全身に及びます。逆に、病気が歯周病を悪化させることも。閉経後の女性で骨粗鬆症になっている人では、歯周ポケット内に炎症性物質(サイトカインなど)が出やすくなります。その結果、歯周病が進行しやすくなったり、歯槽骨がもろくなり、歯がぐらついたり抜けたりするリスクが高まることがわかってきました。
50代から必須の6つのセルフケア

1:ポケット内に歯周病菌が繁殖すると 2:毛細血管に歯周病菌が侵入し、血液感染を起こす(菌血症という) 3:歯周病菌が血管の内皮を傷つけ、炎症を起こし動脈硬化病変をつくる

50代から必須の6つのセルフケア

1:歯科ドックで自分の弱点を“見える化”

「痛くなったら歯科医院に行くという考えは捨てて、“予防主体のケア”に切り替えましょう」と佐藤さん。そのためには、今の自分の歯の状態をしっかり把握しておく必要があります。年齢や歯の状態をふまえて、将来どんなことが起こり得るのか、それに対してどう対策をとっていけば病気やトラブルを防げるのか。自分の口の中の弱点を知り、プロにセルフケアや治療のアドバイスをもらうのが歯科ドック。先手を打つためにも、歯科ドックを受けてみましょう。

歯茎の出血は危険信号!「いつものこと」にしないで

歯茎からの出血は、最初の危険信号。「そこに悪玉菌が繁殖しているよ」「歯周病菌が毒素を出して、歯茎が炎症を起こしているよ」というサインです。ここで、しっかりケアをしておくことが大事。放っておくと、歯周病が進行していきます。

『唾液を出しやすくするマッサージ』 耳の下やあごの下には、唾液を出す唾液腺があります。円を描くように、なでて刺激すると、唾液が出やすくなります。

2:予防の要、「菌」コントロールが重要

何かとストレスが多い、唾液量が減ってくる、歯周病も進行中と、おとな世代の口の中は菌が増えやすい環境にあります。しかも、虫歯菌や歯周病菌は常在菌なのでゼロにすることはできません。でも一方では、口にも自然治癒力があり、それを助けるのが“唾液”です。唾液には、抗菌、粘膜保護、消化、再石灰化、自浄作用があります。
「菌コントロールのカギは、普段から唾液を出しやすくしておくこと。また、口が乾燥していると細菌が繁殖しやすくなるので、口呼吸は禁物です。直すよう心がけましょう。そのほか、細菌が付着しやすい舌のケアや口腔内の善玉菌を増やす乳酸菌サプリメントを活用するのも有効ですね」

唾液分泌をサポートするアイテム

唾液が不足すると、菌が繁殖して歯周病悪化や口臭の原因に。お助けアイテムを上手に使って唾液&菌コントロールを。
舌ブラシ 舌の細菌が口臭の原因!?ケアには舌ブラシが有効

舌磨きスムーザー「W-1」¥540/SHIKIEN

舌ブラシ 舌の細菌が口臭の原因!?ケアには舌ブラシが有効

口臭の6割は、舌苔によるものなので舌のケアもぜひ。舌をベーッと伸ばし、専用ブラシを使って味蕾(舌の味を感じる部分)を傷つけないように、白や黄色っぽい付着物(舌苔)を軽く取り除きます。
ロイテリ菌サプリメント 歯磨き後になめるだけ原因菌の再繁殖をケア

「バイオブレス」30錠入り/バイオガイアジャパン

ロイテリ菌サプリメント 歯磨き後になめるだけ原因菌の再繁殖をケア

“口腔内の病原菌の天敵”と呼ばれる乳酸菌の一種「L.ロイテリ菌」配合のタブレット。歯磨きやマウスウォッシュ後に1粒なめるだけ。善玉菌パワーで歯周病菌の再繁殖を抑制。口内細菌を整えます。
歯科衛生士との共同開発で生まれたガム

歯科専用 キシリトールガム ボトルタイプ90粒 オープン価格/オーラルケア

歯科衛生士との共同開発で生まれたガム

ガムを嚙むだけでも、唾液量が増えます。唾液量が少ないときにはガムを活用して。「歯科医としてオススメは、ショ糖を含まないキシリトール100%歯科専用ガムです」。
ゆらぎ世代のお助けサプリ

「エクエル」112粒(1日4粒目安・28日分)¥4000/大塚製薬

ゆらぎ世代のお助けサプリ

ゆらぎ世代は、口の中のバランスも崩れやすいと言われています。エクエルは、そんなゆらぎ世代の美と健康を応援するサプリ。大豆由来の成分「エクオール」を配合。
3:歯磨きは歯周病対策を念頭に

「歯磨きで何を取る? と聞くと、食べカスと答える方が多いですね。でも取るべきは細菌、歯垢です。しっかり磨きは最低一日1回必要。寝ている間は唾液が減って菌が繁殖しやすいので、夜はしっかり磨くようにしましょう。私は、バスタイムに20分ぐらいかけて磨いています」と佐藤さん。デンタルフロスを使うと、悪玉菌をコントロールできるレベルが格段に上がります。
「歯茎がキレイなピンク色に変わり、見た目にも大きな差が出ます。フロスの使い方やアイテム選びは、歯科医院でアドバイスを受けるといいでしょう。さらに、舌ブラシや乳酸菌サプリなども加えると、ケアのレベルを上げることができます」

左/ガム・プロズ デンタルブラシ #3C¥300/サンスター 右/レッブケア ¥420/ホリス

左/極細毛が歯周ポケットや歯間に入って、プラークを除去。歯科で購入可能。
右/少し角度がつき、鏡が大きいので無理なくチェックできる。夜の丁寧磨きの際には、ミラー活用を。

DENT.EXウルトラフロスS(10本)¥490/ライオン

フロスが入りにくい奥歯もY字型ホルダーなら使いやすい。歯科で購入可能。

クリンプロ 歯みがきペースト¥1180/3M

虫歯と歯周病をケア。歯の再石灰化を促し、お口をサポート。歯科医院で購入可能。

ピュリフレッシュ ウノ ティーウォッシュ¥2940/ヨシダ

口腔粘膜に低刺激な茶カテキン配合のオーラルリンス。歯科で購入可能。
歯磨き剤を選ぶときの成分のめやす

自分にぴったりの歯磨き剤を選ぶには ケアの目的にあった成分が含まれているかの確認を。歯科医院でアドバイスをもらうのもオススメです。

●虫歯を予防したい → フッ素

●歯肉炎や歯周病を予防したい → 消炎成分(グリチルリチン酸ジカリウム)

●口臭が気になる → 消炎成分(グリチルリチン酸ジカリウム)

●知覚過敏がある → 知覚過敏抑制成分(硝酸カリウム)

 
あなたはできている? 歯磨きの基本のき

朝:朝食後ではなく起きてすぐ
起きた直後の口の中は、一日の中で細菌が最も繁殖している状態です。

昼:さっと汚れを落とす程度でOK
昼の歯磨きは、エチケットやリフレッシュ目的で、さっと磨けばOK。

夜:フロスも使って10分目標クリーニング
しっかり磨きは夜に。一日に1回はゆっくりと口の中をきれいにする時間を持って。

さまざまな病気を引き起こす“菌血症”をご存じですか?

歯周病の怖さは、口の中だけでなく、血液まで汚染してしまうことにあります。歯周病が進行すると、歯周病菌が歯肉の上皮を破って血管に入り込み、全身を巡り始めます。この状態が「菌血症」。歯周病菌が出す毒素によって炎症物質が作られ、それによって血管壁が傷つけられ、動脈硬化を起こすこともわかってきました。さらに菌血症は、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの引き金になるというデータも。菌血症の感染の有無は、血液検査で調べることができます。おとな世代ならば、一度は歯周病のリスク検査を受けておきましょう。

口を閉じた時に奥歯の上下がつく人は、食いしばり傾向が大。理想は、奥歯を緩めて、舌先を前あごの前方に軽くつける形。

4:見た目年齢も変える“Lポジション”をクセにする

「食いしばりが強いと、歯周病の悪化や口臭が強く出ることがあります。今、あなたの上の歯と下の歯はついていますか? 離れていますか? 離れているならOK。上下の歯がいつもくっついていたら、嚙みしめグセに要注意です」と佐藤さん。
常に歯を嚙みしめていると、歯茎の血流が悪くなるだけでなく、奥歯周りの筋肉が硬くなり、エラがはってきたり、ほうれい線が深くなってきたり、肩こりがひどくなるなど、肌や全身にも影響が及びます。
「老化とは、柔軟性を失って硬くなること。下記のLポジション深呼吸をときどき行って、口元をリラックスさせましょう」

「Lポジション」が歯も表情ジワも若々しく見せる
「食いしばっている」「嚙みしめている」と気づいたら、図のような“Lポジション”をとるとリラックスできます。唇は軽く閉じ、上下の歯を離して、舌は英語のL(エル)の発音の位置につけます。その状態で深呼吸を。

緑茶と桑茶に抗酸化作用を持つ水素粉末を添加した健康飲料。口臭が気になるときにも。香味水素茶¥4800/水素生活

5:ストレスマネジメントで口元老化を防ぐ

口元ケアだけでなく、若さを維持するためにも、唾液分泌は欠かせません。というのも、唾液中の成長ホルモンには、細胞を若返らせる効果があるからです。
「老化予防のためにも豊かな唾液分泌は欠かせません。ですが、唾液分泌には自律神経が関係しているため、緊張しやすい人やストレスが多い人は唾液が出にくく、慢性的に口の中が乾きやすい状態に。リラックスする時間を持つなどして、ストレスを溜めない工夫をしましょう。また、唾液分泌が少ない人は、体内で活性酸素が多く発生していると言われています。活性酸素は老化を促進させるので、水素茶など抗酸化作用や口臭抑制作用がある食品も取り入れて」
6:嚙む力・飲み込む力を鍛える

嚙むことには、たくさんのメリットがあります。
1:消化吸収を助ける
2:唾液が出る
3:表情筋が活性化されフェイスラインが美しくなる
4:脳が活性化される
5:ストレス発散効果
6:抗菌効果
など。
また、2の唾液がしっかり出れば、飲み込む力も上がります。
「やわらかい食事を好む人は、嚙む力が弱まり、嚙み合わせが悪い可能性があります。嚙む力をつけるには、やはり食生活が大切。歯ごたえのあるものをゆっくり食べること、野菜や肉・魚などのタンパク質もしっかりとることが、アンチエイジングに効く食べ方です。嚙む力を鍛え、ゆっくり食べ、唾液をたくさん出すようにすると、虫歯や歯周病にもなりにくくなり、同時に食べ過ぎも防げますね」

 
『おとなスタイル』Vol.10 2017秋号より
撮影/武藤誠 イラスト/平田利之、アットミクスト

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