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“働き方の祭典”主催者が語る、女性の働き方の未来とは? [mi-mollet]

2018年03月18日(日) 11時00分配信

撮影/横山翔平(t.cube)

「& Co. Ltd」クリエイティブプロデューサーの横石崇さんは、国内最大の“働き方の祭典”「TOKYO WORK DESIGN WEEK(以下TWDW)」オーガナイザーとして、年齢や性別の垣根を超えたさまざまな対話を通して、女性の働き方についてもいろいろと考えるようになったといいます。しかも、横石さん自身が一児の父であり、子育てしながら働く妻と試行錯誤の真っ最中。そんな横石さんから見た女性の働き方や、未来の働き方とは?

横石 崇(「& Co. Ltd」代表取締役/TWDWオーガナイザー) 

1978年大阪府生まれ、多摩美術大学卒。広告代理店や人材紹介会社の役員を経て、2016年に&Co.Ltdを設立。ブランド開発や事業コンサルティング、クリエイティブプロデュースをはじめ、人材教育ワークショップやイベントなどのプロジェクトを手掛ける。『WIRED』日本版 公認コントリビューター。近著に『これからの僕らの働き方』(早川書房)がある。
AIやテクノロジーの進化が働き方を変える

撮影/横山翔平(t.cube)

AIやテクノロジーの進化が働き方を変える

女性の働き方について苦い思い出があるという横石さん。数年前のTWDWで女性の働き方や副業の可能性などをテーマにディスカッションしていた時のこと、ある女性の来場者に「こんなの女性の働き方じゃない!」と言われて会場を去られた経験があります。

「女性は結婚や出産といったライフステージがある分、かなり複雑なレイヤー構造になっています。だから、『女性の働き方はこうあるべき』って一言では言いづらいもので、場合によっては言ってはいけないこともあることをこの一件で痛感し、大いに反省しました」

横石さんの妻は、内閣府が実験的に始めたコワーキングスペースと保育園が一体化した施設を見つけ、そこで子どもを預けながらPR関係の仕事をしているとのこと。横石さんはこの時、自分の妻はたまたまこういう施設に恵まれただけで、女性が働く上での選択肢の少なさを実感したといいます。そんな中、インターネットを使った「オンライン秘書サービス」というサービスを使った時、新たな発見があったそう。

このサービスには、全国各地の何千人もの女性が登録されており、そのサイトを介して秘書的な業務を依頼するというもの。例えば、仕事を依頼したい人が「今度のイベントにあわせてこういう資料をいつまでに集めてほしい」と呼びかけると、名乗りを挙げた人が仕事を請け負ってくれる仕組み。

「とにかくみなさんがとても優秀で、うちのアシスタントに頼むより出来がいいです(笑)。クリエイター系のスキルを持った人もいて、イラストを描いてくれたり、画像を加工してくれたりと、なんでもできる。主婦の方も多いのですが、さまざまなスキルを持ったみなさんが、家事や育児をしながら時間を作って仕事をこなす。お互いにとっていいことだし、これからこういう働き方が増えていくのではないかと思いました」

撮影/横山翔平(t.cube)

こうしたサービス自体も、家庭でも高速インターネット環境が整い、地方在住でもメールやチャットでやりとりできるからこそ成立するもの。テクノロジーの進化や普及は、少しずつ、でも確実に新しい働き方を創り出しています。一方で、最近ではAIの発展により、今まで人間が担っていた仕事の半分がなくなるなどと予測されています。

「今の人口の1割くらいの人が働いて、残り9割は働かない世界が来るだろうと言われています。単純作業や事務仕事はもちろんのこと、実は医師や弁護士、会計士といった高度な判断が求められるような仕事も例外ではありません。むしろこうした高収入の人たちをAIに代替した方が、費用対効果はいいわけですから。では、残る1割の仕事は何かということですが、クリエイティブ、ホスピタリティ、マネジメント関連の仕事ではないかと言われているんです。具体的には人の心を思いやるような仕事です」

これからも仕事を続けたいと思っているのなら、自分がAIにとってかわられることを不安がるよりも、むしろ残り1割にある未来の働き方のヒントを見出した方がいいのではないか、と横石さん。また、AIに任せることで、自分の時間が増えるというメリットもあるととらえています。

「今後、日本の人口が減って高齢化社会になることも暗いニュースとしてとらえられがちです。これだって考え方を変えれば、若い人たちに価値が生まれてきて、彼らが中心になっていける時代がようやく来ることになります。女性の働き方も同じ。今までは男性中心の組織構造が当たり前で、女性が働こうと思ったらそこに合わせるしかなかったわけですが、性別にとらわれず、もっと自由に、縦横無尽に自分のスタイルで働くのが当たり前の時代が来るのではないでしょうか」

キャリアのタグ化で自分の生き方を働き方にする

終身雇用や年功序列、男性中心の会社組織、結婚や出産で仕事を離れざるを得ない女性、これらの価値観に縛られ続ける必要はどこにもなく、むしろそうした枠を取っ払って、自分が主体的になり、自分が好きなこと、自分が大切にしたいこと、相手のためになるようなことを優先して働いた方が、いい世の中になるのかもしれない。横石さんの話から、そんな予感が感じられます。

また、横石さんは「僕じゃなくて、リーダー育成のプロとして知られる岡島悦子さんの言葉ですけど」と前置きして、「キャリアのタグ®」という考え方を教えてくれました。

「SNSのハッシュタグみたいに、自分のスキルやキャリアをタグ化するんです。例えばデザイナーという肩書だけじゃなくて、『ウェブに強い』か『パッケージデザインに強い』で全然違います。肩書×タグをどううまく使い分けていくかが求められてくると思いますし、タグが明確になればなるほど周囲とのマッチングの精度も高くなるはずで、人から見つけてもらいやすくなります。今仕事をしていない人だって、『子育てが得意』『片付けが上手』といったことも極めれば仕事につながるかもしれません。その人の生き方が働き方になっていく可能性があると思うんです」

最近、横石さんは仕事でやりとりのある化粧品会社の人に、「表層的な美しさだけを売り物にする時代から外見も内面も美しく生きる時代になるなら、数十年後、化粧品会社はなくなってもいいと思っている」と言われたことが印象に残ったとのこと。

「ハピネスとウェルビーイングという言葉があります。どちらも“幸福”という意味合いなのですが、ハピネスがすぐ手に入るような単純な幸せとすると、ウェルビーイングはもっと多様な指標によって構成される幸せ。美しさも、働き方も、女性の生き方も、一つの物差しで測らない社会がこの先にはあって、それに向けてみんながいま頑張っているような気がしています」

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