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腰痛の原因は日々の生活の中にあり!4つの簡単トレーニングで辛い症状を改善 [おとなスタイル]

2018年03月03日(土) 10時00分配信

イラスト/岡本典子

腰が重かったり、階段の上り下りでひざに違和感があったりしても「この程度なら大丈夫」と放置していませんか? 以前までは腰痛は治らない、原因がわからないと言われていましたが、実際は腰痛の約8割は原因が解明でき、治療またはセルフケアで対処できるものなのだそう! さらに、『運動療法は、鎮痛剤よりも効果あり』という研究結果の報告も。
そこで、整形外科医師の山下敏彦さんに自宅でもできる、腰痛ケアのためのトレーニング方法を教えていただきました。


〈教えてくれる人〉

山下敏彦さん
札幌医科大学医学部整形外科学講座 教授、同大学附属病院・病院長
専門は脊椎・脊髄外科、スポーツ医学、運動器疼痛。長年、腰痛などの運動器疼痛のメカニズム解明と治療法の確立に取り組み、運動器疼痛に関する著書も多数。

自前の鎮痛作用が働く!? 運動こそ腰痛の特効薬

慢性腰痛のある18人を対象に、深部の腹筋や背筋を鍛える運動の継続で、「腰痛」「足・お尻の痛み」「足・お尻の痺れ」にどのような変化が出たかを調査。運動の継続で症状の軽減が進み、6ヵ月後には全ての項目で自己評価の点数がほぼゼロに。

自前の鎮痛作用が働く!? 運動こそ腰痛の特効薬

なんと、『運動療法は、鎮痛剤よりも効果あり』という研究結果が学会で報告されています。「変形性膝関節症に対して、運動療法と痛み止めの効果を比較した実験※1では、運動療法を試した人たちのほうが、日常動作における痛み、こわばりなどの改善効果が大きいことがわかったのです」(山下さん)

このほか、慢性腰痛を対象にした実験でも、運動療法の効果が実証されています(左のグラフ参照)。

運動が必須な理由は、「筋肉がつくことで腰が安定して、いい姿勢が作れる点、また“脳内鎮痛メカニズム”にも好影響が出ます」と山下さん。
脳内鎮痛メカニズムとは、もともとカラダに備わっている機能のこと。運動によって楽しい、気持ちいい、と前向きな気持ちを持つと、脳から神経伝達物質のドーパミンが出て、脳内鎮痛物質のμ-オピオイドの放出を促してくれるのです。
「スポーツ選手が、骨折しても気づかずにプレーを続けることがありますが、それはこのメカニズムが働き、痛みが軽減されるからです。ところが、長期にわたって慢性的に腰痛やひざ痛などを抱えている人は、脳内鎮痛物質が脳からうまく放出されず、慢性的に痛みが出ることも。だからこそ、早めの対処が肝心です」

山下さんオススメの腰痛トレーニングは、次のセクションで紹介します。腰痛の予防、治療、再発防止と幅広い効果が期待できます。

※1 日本整形外科学会、日本運動器リハビリ学会、日本臨床整形外科学会合同研究

運動で活性化する脳内鎮痛メカニズム

山下さんによると、人の体には“痛みを感じるシステム”と“痛みを抑制しようとするシステム”があります。運動をすると、脳から痛みを抑制する物質が分泌され『脳内鎮痛メカニズム』が働くというしくみに。
「家に引きこもってばかりいると、従来ある痛みを抑制しようとするシステムが働きません。自分が気持ちいいと感じられる運動を習慣づけ、前向きに取り組むことで、痛みの軽減効果が期待できます」(山下さん)

運動する

やる気モチベーションUP

中脳からドーパミン分泌

脳内鎮痛物質μ-オピオイド分泌

腰やひざの痛みが軽減

たった4つのトレーニングで腰痛ケア

腰痛を招く原因は、日々の生活の中にあります。
姿勢の崩れ、立ちっ放し・座りっ放し、運動不足……。
これらが積み重なると、筋肉が弱まり、動きも悪くなり、腰に負担がかかります。だからこそ、腰を支える筋肉を鍛え、周辺の筋肉をほぐす運動が欠かせないのです。
トレーニングはたった4種類。
腰の筋肉に影響する深部の腹筋・背筋を鍛えるトレーニング2種と腰痛予防に効果的なストレッチ2種だけで腰痛メンテが可能です。
1.腹横筋を鍛えるエクササイズ「ドローイン」

イラスト/岡本典子

1.腹横筋を鍛えるエクササイズ「ドローイン」

[行う目安]1日10回

1:あおむけに寝て、足を腰幅程度に広げ、ひざを立てる。

2:息をゆっくり吸いながら、お腹を膨らませる。

3:息をゆっくり吐きながら、お腹を凹ませ引き締める。

4:お腹を凹ませたまま、浅く呼吸を続ける。

ドローイン(draw in)とは、「内部に引き込む」という意味。呼吸を意識しながらお腹を凹ませ、その状態を一定の時間維持してから元に戻すという動作を繰り返すシンプルなエクササイズ。お腹を凹ませている時間は、5秒程度からはじめて、徐々に10秒間、20秒間と延ばしていきましょう。おへそを背中に近づけるようなイメージで。座っていても立っていてもできるので仕事の合間にも実践可能です。
2.深部背筋を鍛えるエクササイズ「ハンドニー」

イラスト/岡本典子

2.深部背筋を鍛えるエクササイズ「ハンドニー」

[行う目安]1回5秒×左右×1日3~5セット

1:両手と両ひざの間隔を肩幅程度に開いて、四つん這いになる。

2:片方の腕と反対側の脚を同時に上げ、5秒間キープしたら元の姿勢に戻る。

3:腕と脚の左右を替えて同様に行う。

背中の脊柱に付着している深部背筋の一つ「多裂筋」を鍛え、腰の位置を安定させます。脚と腕は床と平行な状態をキープ。脚を上げているときに骨盤が斜めに傾きやすいので、骨盤を水平な状態にキープするのがポイントです。頑張って脚を上げようとすると、腰が反りやすくなるので注意しましょう。ドローインと併せて行うと、運動の効果がより高まります。
3.ももの裏の筋肉をほぐすストレッチ「ハムストリングスストレッチ」

イラスト/岡本典子

3.ももの裏の筋肉をほぐすストレッチ「ハムストリングスストレッチ」

[行う目安]1回10~30秒×左右×1日3~5セット

1:椅子に浅く腰かけ、背筋を伸ばして胸を張る。

2:片脚を前に出し、かかとだけを床につける。脚は無理のない範囲で伸ばす。

3:太ももの上に両手を置き、背筋を伸ばしたままゆっくりと体を前に倒す。その姿勢を10秒間キープ。これを左右交互に行う。

ハムストリングスは、骨盤からひざの後ろ側につながる筋肉の総称。運動不足などからこの筋肉が緊張し硬くなると、姿勢の崩れや腰痛の原因に。逆に、毎日のストレッチでこの筋肉の柔軟性を保つと、股関節や脊柱の動きがよくなります。3では、ハムストリングスが伸びていると感じるまでゆっくりと上半身を前に傾け、感じたらそこで動きを止めて10秒間キープ。慣れてきたら20~30秒と延ばしてみましょう。
4.腸腰筋の緊張を緩めるストレッチ「腸腰筋ストレッチ」

イラスト/岡本典子

4.腸腰筋の緊張を緩めるストレッチ「腸腰筋ストレッチ」

[行う目安]1回10~30秒×左右×1日3~5セット

1:片ひざ立ちになり、もう一方の脚を後ろに伸ばす。

2: 後ろ脚の股関節を前に押し出すように、お尻を突き出す。

3:そのまま10秒間キープ。左右の脚を替えて、同様に行う。

背骨から股関節の前面を通る、インナーマッスル「腸腰筋」。この筋肉が縮んでくると、姿勢の崩れや腰痛の原因に。立ちっ放し、座りっ放しなど長時間同じ姿勢をとっている人は、腸腰筋が固まっている可能性大。合間にこのストレッチを取り入れて緩めましょう。
腰を反らさないように注意。慣れてきたら20~30秒と延ばします。

痛みが激しい日以外は、4種目を毎日継続することが腰痛脱出のカギとなります。さっそく今日からはじめましょう!

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