• > 名店の女将が解説する、“カウンター寿司”のマナー [おとなスタイル]

名店の女将が解説する、“カウンター寿司”のマナー [おとなスタイル]

2018年03月01日(木) 10時00分配信

イラスト/福田玲子

おとなたるもの、そろそろ堂々と暖簾をくぐりたい! と思うお寿司屋さん。こういうとき、どうすれば? 何をすると場違い?
今さら聞けない、でもあらためて知っておきたい「カウンター寿司の掟」を集めました。読めば堂々と振る舞えること、間違いなし!

〈教えてくれる人〉

佐川芳枝さん
東京・東中野「名登利寿司」女将にして作家。
1975年に寿司店に嫁ぎ、その見聞を綴った著書のほか、『にっこりおすしとわさびくん』など児童書も多数手がける多才の人。

カウンターは公共空間。 「ともに楽しむ」姿勢を忘れずに

困ったり迷ったりしたら何でもいいので、まずは気軽に職人に相談を、と佐川さん。恐れていないで、まずは心を開くことが肝要か。といっても、開きすぎるのは、やはり問題あり。
「お酒が進んで大声でしゃべったり、携帯で通話を始めたりされると、皆が困っちゃう。あとは、深刻な話や言い合いを始めたり、隣の人に絡んだりというのは、やっぱり……。人に迷惑をかける行為は慎んでほしいですね」

寿司店、そしてカウンターは、あくまでも公共の場。皆がその日、同じ空間を共有し、ともに時間を過ごす。そのための姿勢と配慮だけは忘れない、ということを心がけよう。
お話を伺い、あらためて知るが、お店の人は客をよく見ている。話しかけたそうだな、困っているのかな……という客の無言のサインは、向かい合う職人さんにも、ホールを仕切る女将さんにも、すぐに感じ取れるものらしい。
「『あの方、頼みにくそうだから、ご注文を聞いてあげて』と裏から職人に指示も出していますし、もし隣に座った男性がしつこく話しかけてきても、私が割って入ってあげるから大丈夫(笑)。本当に、くつろいで食べてもらえればいいんですよ」
カウンター寿司のマナー、Q&A

イラスト/福田玲子

カウンター寿司のマナー、Q&A

Q.予約の電話はいつすべきですか?
A.仕込み時間、営業中、どちらもOK

寿司店に限らず、予約をする電話をいつかけるべきか、迷う人も多いのでは?
「営業中や仕込み中と思われる時間なら、いつでもいいんですよ。店にもよりますが、午後2時くらいから5時くらいの、ゆったりした時間だとありがたいですね。当日、開店直前の予約ではお受けできない場合があるので、なるべくお早めに」と佐川さん。
グループなのでテーブル席に、など、特別なお願いごとがある場合、予約の際に伝えておけばスムーズ。

●女将さんのコッソリ話「予約時に伝えるといいこんなこと」

「初めて伺います」
初めて来られる方ほど、お願いごとは率直にお知らせを。連れの人の特徴や好みなど、状況がわかれば、より柔軟に対応できます。

「予算は○円で」
人目のあるカウンターでは切り出しにくい予算の話こそ、ぜひ電話で話して。店のウェブサイトなどのメニュー例も参考になりますよ。

イラスト/福田玲子

Q.マナー違反ってどんなこと?
A.カウンターに並ぶ人たちの楽しい気分を壊すこと

「今はネットなどにも情報がたくさんあるせいか、行儀のいいお客さんが多いですよ」と佐川さん。香水やタバコの匂いをさせない、大声ではしゃがない、常連ぶった振る舞いをしないなど、控えるべきは「隣に座った人の迷惑になること」のみだという。
店にもよるが、携帯での写真撮影→SNSへのアップは、佐川さん的には許容範囲。
「でも、撮るのに夢中になって、ネタが乾いてしまう前に食べてほしいですね(笑)」

●女将さんのコッソリ話「こんな野暮な言動は控えて」

知ったかぶり
「 アガリ」「ナミダ巻き」と用語を連発するなど、通ぶった態度は、案外周囲をしらけさせるもの。知らないことは尋ねる素直さがいいですね。

常連ぶる
他の人が知らない内輪の話をしたり、職人を独占されたりするのは、長く来てくれるお客さんでも困りますね。周囲への配慮は忘れずに。

魚のマイナス話
「牡蠣に当たっちゃってさぁ」「アニサキスって、怖いよね」って、これから魚を食べようってときに聞きたくない話はNG。胸にとどめて。

他店の話をする
「この間、○○○○(高級店)に行ったんだけど、いまいちで」って、ひけらかしはあまり美しくないですね。意外と女性に多いんですよ。

イラスト/福田玲子

Q.お店の人とは何を話せばいい?
A.魚のこと、おいしいものの話題が盛り上がりますよ


カウンターを挟んでの沈黙が痛い! そんなときこそ、積極的になるチャンス。
「自信を持って仕入れてきた寿司ダネについて聞くと、職人は喜びますよ。他には、魚の調理法を聞いたり、または、旅先で食べた魚やよかった店の話をしたり……。おいしいものにまつわる話題なら、とくに歓迎です」
ちなみに、カウンターでの職人さんへの呼びかけは「大将」「ご主人」「若旦那」などいろいろありますが、基本的には何でもOK、とのこと。

イラスト/福田玲子

Q.ズバリ、「粋」と感じるお客さんは?
A.パパッと食べて帰る、スマートなお客さん

どんなにおいしい店でも、滞在には適した時間あり。寿司店では、ひととおり飲んで食べて、「だいたい2時間が目安かな」と佐川さん。それ以上におしゃべりをしたい場合は、店を替えよう。
「男性に頼らず、自分たちのペースでおいしいものを食べる、気持ちのいい女性が増えましたよね。見栄を張らずにさっぱりしていて、おいしいものをサクッと食べて、『ごちそうさま!』って爽やかに帰る。そんな人、かっこいいと思いますよ」

●女将さんのコッソリ話「スマートな会計で、立つ鳥跡を濁さず」

譲り合いはNG
「ここは私が」「いやいや?」というやりとり、女性に多いけれど、あらかじめ決めておくといいですね。会計は基本、グループ一括で。

「奢り」は先に
「今日は自分が払う」と決めているときは、先に伝えておいて。相手がトイレに立ったときなどに、スマートにお勘定を済ませられますよ。

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る