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辰巳渚さん東京下町「小さな家の暮らし方」狭さを感じない秘密とは? [おとなスタイル]

2018年02月18日(日) 10時00分配信

辰巳渚さん
52歳・文筆家、生活哲学家
3人+1匹暮らし
3LDK
賃貸一戸建て・10坪
喫茶店も軒先も、街のすべてを自分の空間に

撮影/大河内禎

喫茶店も軒先も、街のすべてを自分の空間に

学校帰りの小学生。近所の老夫婦。商店のバイク。観光客。浅草の繁華街から少し離れた住宅地にある辰巳渚さん宅のリビングからは、人々の行き交う様子がいつでも目に入る。公道に面したリビングはカーテンを開け放ってあり、ガラスの引き戸からは主宰する「家事塾」のメンバーや近所の人々が、日常的に出入りしているという。
「この前も娘の学校のPTAのお母さんたちが集まったんですが、打ち合わせのあとに飲み会になって、夜中まで。『ゆうべは賑やかだったわね!』って、近所のおばあちゃんに言われました。『私たちの頃もそうだったわ』と」

海風の通る湘南から、小さな町工場や商店が軒を連ねる都心に引っ越してまる3年。10坪の敷地に建てられた、商スペースと住まいが同居する典型的な町屋スタイルの家。郊外の広い家からの転居で生活スペースはぐっと縮小したはずだが、「案外、狭さは感じないですね」と辰巳さん。その秘密は、周囲からの影響を受けての、生活スタイルの変化にあるようだ。
「朝ごはんは隣の喫茶店で食べ、お客さんが来たら近くのレストランに行って、涼む時間は軒先に出て……と、ここでは街全体が生活空間になっているのが普通。暮らしの中に街が、自然と組み込まれているんです」

公道に面したリビング。元はシール工場だった油まみれの土間を、モザイクのタイルでセルフリフォームした。テーブル&チェアは来客用も兼用。仕事も日常の手仕事も、ここで。

撮影/大河内禎

茅ヶ崎の家から持ってきた壁付けのキャビネットは、目黒の〈karf 〉でオーダーしたもの。
かつてたくさん持っていた食器は、ここに納まる数に厳選した。床から浮かせ、かつ、棚の中にも外にも、ものを詰め込まないことで、白壁の“抜け感”を生かしている。

撮影/大河内禎

小さい家だから柄でメリハリづけ
「この床の柄を基準に家のトーンを決めていった」というリビングのモノクロタイルは日本製。トイレには、モロッコ製のモザイク柄タイルを。「狭いスペースだからこそ、柄の取り入れは効果的。気分が変わるので、おすすめです」と辰巳さん。ドアの色みは家具と統一して。
広さって、なぜ必要なの?生活も人生観も、環境で変わる

撮影/大河内禎

広さって、なぜ必要なの?生活も人生観も、環境で変わる

「もともと家は四畳半くらいのサイズで十分なタイプ。昔から『立って半畳寝て一畳』と言いますしね。逆に、広さってなぜ必要だったのかな?と。この街に来たのは仕事のためで、家が仕事場であるということは生活の前提。来客も多いし、リビングは夫婦や家族だけの団欒の場というイメージもなかった。自分が心地よくいるために、広いスペースは実は要らないし、そこが完全なプライベート空間である必要もなかったことに気づきました」
だから、リビングも仕事場もオープンに。前は自室にこもらなければできなかった仕事が、今ではリビングでもはかどるようになった。「街の中で、人との関わりの中でいかに豊かに生きていくか」という辰巳さんの仕事のテーマが、この小さな家で、生活を含めて実践されているのだ。

「家が変われば過ごし方が変わり、生活や人生観も変わる。その中で、自分がいちばん楽でいられるやり方を見つけていくのがいいんだろうと思います」

今年に入って二輪の免許を取り、リビングにはバイクが仲間入り。目下の懸案は、息子が独立して空いた2階の部屋の活用法。小さな家から、溢れるほどのアイデアが日々生まれている。

掃除道具は、あえて目につくところに
ベストセラー『「捨てる!」技術』著者の辰巳さんでも、暮らしていればものは増え、埃も積もる。そんなときに役に立つのが、昔ながらの箒、ハタキ。壁に掛けておけば自然と掃除グセがつく。愛猫・麦(写真・右手前)の抜け毛もスッキリ。
辰巳さんの小さな暮らしの工夫

撮影/大河内禎

辰巳さんの小さな暮らしの工夫

ロッキングチェアはプライベート空間

くつろげる居場所を作りたくて購入した、家具デザイナー・渡辺力の椅子〈リキ ロッカー〉。小さな家の中でもひとりの空間を大切に。

撮影/大河内禎

座面を張り替えて椅子に新しい表情を

〈マリメッコ〉のカラフルな布で、座面を自分で張り替え。同じ椅子でも雰囲気を変えられる。麦に爪研ぎされるため、メンテナンスも兼ねて。

撮影/大河内禎

照明の使い分けで部屋が見違える

リビングには吊り下げ、置き型含めて照明多数。「夜ならこれ、賑やかな集いにはこれと、照明を切り替えると、自然にムードが変わります」

撮影/大河内禎

カーテンホルダーに古いネックレスを

普段使いしないクラフトのネックレスを、カーテンホルダーに。好きなものはしまい込まず、あえて別の用途に活用。収納スペースも省略できる。
■Profile
辰巳渚さん
たつみなぎさ
1965年福井県生まれ。家事セラピストの養成などを行う「家事塾」を主宰。生活哲学学会代表。『人生十二相』(イースト・プレス)など著書多数。

※それぞれの家の延床面積の平米数、敷地面積の坪数は、小数点以下を切り捨てたものです。

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