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冬の唐津で、お気に入りの器を見つけに窯元へ [FRaU]

2018年02月07日(水) 13時00分配信

佐賀県の唐津は、歴史ある海沿いの街。伝統ある建築物や唐津焼の窯元めぐりに呼子港のとれたて鮮魚。古きをたずねて、新しきを知る。そんな大人の旅が始まる。

唐津といえば、外せないのが、“土もの” と呼ばれる伝統工芸「唐津焼」。明治以降衰退の一途をたどった唐津焼は、人間国宝・中里無庵(1895~1985年)が桃山~江戸時代初期の古唐津の技法を復活させたことで再び息を吹き返し、現在では市内約70の窯元が点在。お料理やお花を引き立ててくれる唐津焼と一口に言っても、種類も多く、作家さんによって生み出される作風もさまざま。自分の生活に寄り添ってくれる “うつわ” を求めて、窯元を訪ねてみるのも一興。
自然の素材からできる飽きることのない黒の魅力

Photo:Manami Takahashi

自然の素材からできる飽きることのない黒の魅力

【由起子窯】
唐津に工房を構える作家・土屋由起子さんが生み出すのは、シンプルながら芯が強く、ほがらかなその人柄を表すような生活の器たちだ。

Photo:Manami Takahashi

みな、黒唐津を求めてやってくる。自然の素材からできる黒という色に惹かれ、伝統的な唐津焼と融合する自分だけの黒を見出した彼女は、「隆太窯」で基礎を学んだのち、’02年春に自身の窯を持つ。

Photo:Manami Takahashi

でも、黒だけにこだわっているわけではもちろんない。最近惹かれるのは、灰釉の色だという。由起子さんは、料理やお酒、お花と組み合わせ、使いかたを提案するGW中の行事「唐津やきもん祭り」にも毎年参加。

Photo:Manami Takahashi

「使ってもらうと、さらによくなる。使う方々の手で育ててもらえると、また違う顔を見せてくれます」

由起子さんの艶やかな黒は、そこに盛られるものをグンと引き立てる。そして、使う人に寄り添ってさらに表情豊かになっていく。

Photo:Manami Takahashi

由起子窯
佐賀県唐津市浜玉町東山田800-1
素朴で優しく力強い生活を自然体で楽しむ器

Photo:Manami Takahashi

素朴で優しく力強い生活を自然体で楽しむ器

【土平窯】
“用の美” は追求しながらも、天女モチーフの絵唐津など自分流の遊び心のある作品を常に生み出し続けるのは、藤ノ木土平さんだ。新潟で生まれ、東京で油絵を志した土平さんは、スケッチ旅行に訪れた唐津で「粘土遊び感覚でやってみたら楽しくて」と、大橋裕氏のもとで修行を始める。3年が経ち、美濃の加藤芳右衛門氏にて2年学び、今日まで陶芸の道を歩み続ける人だ。

Photo:Manami Takahashi

土平さんは言う。「祈るように形が生まれ出るように、自然と無理なく、実際手に持ったときに、生活がより豊かになるようなものを作っていきたい。人間が本来持っている能力を失わないように」

Photo:Manami Takahashi

土平窯
佐賀県唐津市鎮西町野元1315-3
唐津焼の可能性を広げる親子二世代の窯

Photo:Manami Takahashi

唐津焼の可能性を広げる親子二世代の窯

【赤水窯】
古くから赤水と呼ばれる地域の赤レンガ色のレトロな建物に、熊本千治さんと、息子・象さんのギャラリーはある。’76年当時は、手作りの器で自家焙煎のコーヒーが楽しめる喫茶店兼工房としてオープン。現在は、テーブルウェアが当時の面影を彷彿とさせるかのように並べられている。

Photo:Manami Takahashi

伝統的な唐津焼をモダンなものにしてきた千治さんと、有田窯業大学で学び天平窯で修行した象さんは、作風は異なるが自由な思想は一緒。「30年変わらず定番人気のもののサイズ感などは、父からこそっと学んでいます」と象さん。器を使っている光景を想像しながら、楽しめる空間だ。

Photo:Manami Takahashi

赤水窯
佐賀県唐津市鏡4758
●情報は、FRaU2018年2月号発売時点のものです。

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