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どんな役もこなす演技派女優、「夏帆」のルーツを探る [FRaU]

2018年01月21日(日) 20時00分配信

ゲストは女優の夏帆さん。12歳から仕事をはじめ、そのキャリアならではの葛藤もあったという。やがて20代になり、ようやく見えてきた自身の現在地とは。

夏帆さんのCHRONOLOGY

1991年
東京都出身

2004年
11代目リハウスガールとして「三井のリハウス」CMに出演
『ケータイ刑事 銭形零』(BS-i)主演

2007年
映画『天然コケッコー』主演

2008年
第31回日本アカデミー賞 新人俳優賞
映画『東京少女』『うた魂(たま)♪』主演

2009年
『オトメン(乙男)』シリーズ ヒロイン

2012年
舞台『祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~』

2013年
映画『箱入り息子の恋』
ドラマ24『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京)

2014年
パルコ・プロデュース公演/舞台『万獣こわい』

2015年
映画『海街diary』
KERA・MAP#006/舞台『グッドバイ』

2016年
第39回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞
映画『ピンクとグレー』
ドラマ『わたしのウチには、なんにもない。』(NHK BSプレミアム)

2017年
映画『22年目の告白―私が殺人犯です―』
ドラマ『架空OL日記』(日本テレビ)、『予兆/散歩する侵略者』(WOWOW)、『監獄のお姫さま』(TBS)

2018年
映画『伊藤くん A to E』 1/12(金)公開
映画『友罪』 5月公開
あの頃に比べたらずいぶん自由になったなぁって

Photo:Ryohei Tsukada 

あの頃に比べたらずいぶん自由になったなぁって

デビューのきっかけは、小学5年生のときにスカウトされたこと。

「この仕事に強い憧れを持っていたというよりもせっかくスカウトしていただいたので、ちょっとやってみようかなくらいの気持ちでした」

デビューから間もなく、数々の女優を輩出してきた登竜門としても知られる「三井のリハウス」のCMで、11代目リハウスガールに選出。業界内だけでなく、世間からも大きな注目を集める。12歳のときだった。

「あのときもまだ、自分としては漠然としてましたね。実際子供でしたし、仕事という意識もそこまでなく、将来ずっとこの仕事をしていこうとは、それほど強く思っていませんでした。この仕事をはじめるにあたって一番こわかったのは、まわりの環境が変わってしまうことだったんです。でも私は周囲の方にも恵まれていたので、同級生との関係や生活が一変するようなこともありませんでした」
それでも、メディアに出て活動する以上、周囲からは期待の目が注がれる。

「私が10代前半の頃は “ジュニアアイドル” と呼ばれていて、絶対的にピュアでかわいくなければいけない、そういう雰囲気があったんです。こういうことを求められているんだな、というギャップを感じることもありましたが、仕事をするうえでのイメージは、自分が決めるものではないと思っていたので。それは仕方がないことなのかな、と。ただ、そのせいで仕事が制限されてしまうのは残念だなと思ったりはしました」

そんな中、16歳で初主演を務めた映画『天然コケッコー』が大きな転機となる。この作品で日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、数々の賞を受賞した。

「ここからがスタート、と言えるような作品です。当時はとにかく無我夢中でしたが、いろんな現場を経験した今になって思い返すと、あれだけ時間をかけて丁寧に撮ってもらえる作品はそうあるものじゃない。本当にかけがえのない経験でしたし、仕事をしていくうえでの価値観が大きく変わった作品でした。賞をいただいたのも、私への評価ではなく、山下(敦弘)監督の力だと思っています」
振り返ると「やっぱり10代は仕事が中心でした」とはいえ、思春期ならではの感情は抱いていなかったのか。

「もちろん思春期ありましたよ。立派にこじらせてました(笑)。ど真ん中は中学生、高校生になっても少し引きずってましたかね。何に対しても反抗したくなるような。実力や意識が追いついていないのに、それでも仕事をしないといけない。恵まれた環境だったのに、そのバランスがとれなくて。当時は自分で仕事を選んでなかったですし、抱えている気持ちをまわりに伝えるのも苦手でした」

大人になる前、未完成の柔らかい感性には、その瞬間を生きているからこそ響くものがある。

「10代の頃は趣味や考え方も本当に偏っていたんです。わかりやすく『メジャーなものはイヤ!』とか(笑)。それで小劇場に通ったり、インディーズの音楽に夢中になったり。まわりにいたのも、自主映画を撮っている人たちだったりして、自分で発信して自由に活動している人がすごくうらやましかった。自分のいる芸能界と、近いようですごく遠いような気がしていて」

やみくもに反抗してしまうのは、成長の過程において誰もが通る道である。

「とくに10代は、内面も外見もどんどん変わるじゃないですか。自分にはどういうことが向いているのか、一体なにがしたいのか、それを必死に探す時期ですよね。でもこういう仕事をしていると、その様子がそのまま世に出てしまう。『あれ、最近なんか雰囲気変わった?』みたいなことを、世間の人たちからも思われる。変わっていく過程まですべて見られているんです。初めて会った方から『ずいぶん大人になったね』と言われることも多いですよ」
現在26歳。この年齢になったからこそ、見えてきた景色がある。

「20代も後半になって、ようやく自分のやりたいこともわかってきて、自分の意思を相手に伝えることもできるようになりました。それこそ、今回の映画『伊藤くん A to E』の廣木(隆一)監督とはずっとお仕事したいと思っていましたが、監督からは『夏帆は僕の映画には出てくれないと思ってたよ』って言われたんです。あ、あの頃こういうのがイヤだったんだ!って(笑)。でも結果、今こうして一緒に仕事をすることが叶っている。ずいぶん自由になったなぁって思います」
INFORMATION

(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

INFORMATION

映画『伊藤くん A to E』全国公開中
原作:柚木麻子 監督:廣木隆一 出演:岡田将生、木村文乃、佐々木希、志田未来、池田エライザ、夏帆ほか
容姿端麗だが自意識過剰で無神経、関わる女たちを翻弄する伊藤(岡田将生)と、彼に悩まされる女たちに毒づきながら、だんだんと自身も巻き込まれていく崖っぷちの脚本家・矢崎莉桜(木村文乃)。伊藤に振り回される女たち―都合のいい女「A」を佐々木希、自己防衛女「B」を志田未来、愛されたい女「C」を池田エライザ、ヘビー級処女「D」を夏帆が演じる。

「いろんなタイプの女性が登場して、それを5人の女優たちが演じているコントラストが楽しい作品です。『いるいる!』と『そんな人いないよ!』っていう、リアルとファンタジーを行き来している絶妙なバランスが見所ですね」
●情報は、FRaU2018年2月号発売時点のものです。

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