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【人生Q&A】父の介護に振り回されモヤモヤしています。 [mi-mollet]

2018年01月06日(土) 11時00分配信

kangaさんからの質問

Q.父の介護に振り回されモヤモヤしています。

二年前に末期癌と宣告された父。母を亡くしているので、肉親との時間を大事にしようと、私の家族と父との同居を始めました。私は父の介護に全力であたれるよう仕事も辞め、主人も子供3人の世話を全面的に引き受けてくれています。三週間に及ぶ入院、その後の在宅期間、自分の時間はすべて父に使いました。しかし少し状態が良くなった父は、働かない主人に露骨に嫌な態度を取るようになりました。社会から隔絶されたような思いがあるのか、妹に短い付き添いをお願いしたりすると逆ギレをされるなど、私も心理的にまいることが多く、主人の再就職を機に同居を解消しました。一年に渡る介護により貯金も使い果たし、妹とは「いつまでも金銭的に頼らないで」のひと言をきっかけに連絡を取らなくなりました。半年後、父の容態がさらに悪くなっていると兄から連絡が入り、父の介護で実家に三週間、自分の家に一週間、という生活を8ケ月続けました。勤め始めたばかりの仕事を辞め、自分の家族と離れる生活は辛いものでした。父は他人が家に入ることを嫌がりますが、兄は仕事が忙しく、妹もあてにできないため、結局私が面倒を見ているのですが、過去の父との諍い、自分の夢に向かって人生を積み上げていけないもどかしさ、好きにやっている妹へのモヤモヤ……、様々な思いが錯綜しています。父は金銭的に不自由は全くしていませんが、今後長くありません。私が面倒を見なければ、父が最も嫌う病院生活になると思うと決心もつかず……。(47歳)

特別ゲスト 金子稚子さんの回答

A.晩婚化と長寿化で親の介護と子育てが同時にくる人が増えています。ゆえに時には「やらない」という選択も大切に。

kangaさんは大変お優しい方なのですね。仕事も辞めて、家族で同居して、全力でお父様の介護にあたられている。なのにお父様はワガママばかり言うので、精神的にまいっておられるとのこと。当然だと思います。でも……お父様への思いも理解できますが、どうかご自分を一番大事に考えてください。実際に今、お父様に対しても妹さんに対しても、かなり不満が溜まっている状態になられてますよね? この先、もしお父様が亡くなられたとき、周囲に「よく頑張ったね」「ありがとう」と言ってもらえれば、そのモヤモヤは解消すると思いますか? お父様が亡くなられても、kangaさんは生きていきます。ですからその先の長い人生を、自分が納得して歩けるような選択をどうかなさってください。もちろん、「第三者に任せて自分は一切介護しない」という選択も、全然アリだと私は思いますよ。


そこでkangaさんがお父様の介護の仕方を考え直すにあたって、判断基準となる情報を2つ、お伝えしたいと思います。

まず1つは、病状の正確な把握です。お父様は末期がんとのことですが、昨今は医療が進んでいますから、たとえ末期と診断されても、あるいは余命宣告を受けても、そこから長く生きる方もいらっしゃいます。だからこそお医者さんとこまめにコンタクトをとり、kangaさん自身もがんについて調べ、可能な限り病状を正確に把握してほしいと思います。それで本当に終わりがはっきり見えてきた……となって初めて、当初のような万全の体制を敷かれるのも一つの方法です。それゆえ私は、「仕事は辞めないほうがいい」とアドバイスさせていただくことも多いのですが……。

そしてもう1つ。それは、「親の介護は親のお金で」です。これは鉄則。今回のお悩みを読ませていただいて私が非常に気になったのは、kangaさん家族の貯金はなくなったのに、お父様はお金には不自由されていない、と書かれていたことです。すべて自分たちの持ち出しで介護されていたのでしょうか? そうではなく、お父様の介護ですから、今後はお父様の貯金ですべてまかなうようにされたほうがいいですよ。Kangaさんは、お父様の娘であると同時に、妻であり母でもあります。ですから夫や子供さんも大事にしてください。昨今は「ダブルケア」といって、親の介護と子育てが同時期に押し寄せ、時間もお金も足りなくなってしまう、という人が増えつつあります。晩婚化、長寿化が進んだためで、今後、社会問題化するかもしれません。中には親の介護にお金を使い果たしてしまい、子供の進学に影響が出てしまった、というケースも。重病にかかった高齢のお父様とお子様とでは、未来に用意されている時間の長さが違います。特にお金については、長期的な視野をもって、「誰を優先するか」ということを一度考え直してみていただけたら幸いです。

大切なお父様が亡くなってしまうかもしれない、という状況になって、少し冷静さを失ってしまわれているかもしれませんね。もちろん「全部をやるんだ!」という選択をされた場合、私はその意思を尊重したいと思います。でも、自分だけでなく自分の家族の人生も犠牲にする選択は、できれば避けていただけたら……。これからは、「やらない」という選択も大事な時代に入ってくると、私は考えているのです。

いかがですか?
金子稚子さんの回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)『死後のプロデュース』(PHP新書)『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。

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