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その認知症予防法、ストレスになっていませんか? [おとなスタイル]

2017年11月21日(火) 10時00分配信

イラスト/添田あき

超高齢社会を迎え、「認知症」への関心はこれまで以上に高まっています。
8年後の2025年には高齢者の約5人に1人が認知症になるという予測もあり、実はとても身近な病気。それなのに、 “認知症になると何もわからなくなる” “何もできなくなる” といった偏見も根強くあります。誤報や誤解も多いからこそ、認知症の治療に長年携わってきた医師たちが語る真実に、ぜひ目を向けてほしいのです。
自分や大切な人をどうしたら守れるか。そして、認知症になっても生きやすい世の中とは?
本当の意味の予防と治療、さらにお金のことまで、50代の今だからこそ、一緒に考えてみませんか。 認知症になるってどういうこと? わからなければ、向き合うことも、対処することもできません。知っておきたいこと、50代のうちからできることなどを専門医に聞きました。

Q.少しでも発症を遅らせたい。脳トレは積極的にやるべきですか?

A.脳トレが楽しければいいけど、ストレスに感じるなら必要はありません


体の機能は使うことで維持されます。筋肉も使わないでいると衰えてしまうように、脳も、使わないより使ったほうがいいのは確か。でも一方で、「計算ドリルなどの脳トレが認知症予防や改善に役立ったという、確かなエビデンスはないのが実態です。それなのに、認知症になると家族から脳トレを強要されたり、折り紙をやらされたりする。それは本人からすると、大きなおせっかいだよなと僕は思います。予防のための脳トレよりもそこから離れて人生を楽しむことに集中したほうが、よほど生きている意味があると言えます」と認知症専門医の木之下徹さん。

また、近著に『楽になる認知症ケアのコツ』(技術評論社)などを持つ山口晴保さんも、ストレスを抱えてまで脳トレをやる必要はないと断言します。「人は他人とコミュニケーションをとるだけで、脳のいろいろなところを相当使っています。50代は働き盛り。人と交流したり仕事をしたりするだけでも、十分脳トレになっている。流行している、話題になっているからと、無理に焦ってやる必要はありません。人は楽しい刺激で元気になるもの。このことを忘れないでください」(山口さん)

巷で話題の認知症予防法、効く!? 効かない!?

これをすれば認知症にならない、認知症を予防できる……。もっともらしく語られてきた予防法の数々。本当のところはどうなのでしょう?

効くとはいい切れない「脳トレ」 イラスト/添田あき

脳トレが効くというエビデンスはない。苦手とか、やりたくないことを無理にやるのは、むしろマイナス。脳を活性化するのは、やる気や心地いい刺激。ずっと現役でいることこそ、究極の予防法ともいえる。

楽しんでやろう「運動」 イラスト/添田あき

「予防(先送り)法で最も効果的なのは運動」と山口さん。中年から運動を続けていた人は、アルツハイマー型認知症の発症率がほぼ1/3だったという調査結果もあり。ただし、やるなら楽しくストレスフリーで。

科学的根拠に乏しいものも。ココナッツオイルなどの「食事療法」 イラスト/添田あき

ココナッツオイルに確かな根拠はなし。魚油(DHA)やオリーブオイルを摂取することで認知症のリスクが低くなるという調査結果はあるが、基本はやはりバランスのよい食事。1つの食材で予防しようとするのは難しい。

将来、認知症の予防薬ができるってホント?

アルツハイマー型認知症は、脳にタンパク質のゴミ(アミロイドβやタウ)が溜まってくることが原因とされています。アミロイドβに対する薬の研究開発は長年行われていて、大規模な臨床試験が複数実施されてきました。しかし現状、残念ながら、どれも有効な結果が得られていません。
いずれ新薬が出てくる可能性はあり、実現すれば、発症前に内服を始めることで、発症しないですみます。また、認知症になった人は、それ以上進まなくなります。それでも、脳が一度壊れた部分は元には戻りませんので、認知症でいる時間も長くなります。それが本当にハッピーなことなのか、考える必要はあるでしょう(山口さん)。
■Profile
認知症の専門医 山口晴保さん
認知症介護研究・研修東京センター センター長、日本認知症学会専門医。認知症の病理研究を30年続けた後、臨床研究に転向、認知症の実践医療や予防などにも取り組んでいる。近著に『楽になる認知症ケアのコツ』(技術評論社)、『認知症にならない、負けない生き方』(サンマーク出版)。

認知症の専門医 木之下徹さん
認知症の人の在宅医療に15年携わった後、認知症外来「のぞみメモリークリニック」を開院。認知症に対する偏見と日々向き合いながら、認知症の人やその家族に親身に寄り添う外来診療に尽力している。

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