女性誌ネットは、講談社の女性誌を集めたポータルサイトです。

職業柄、日々出会う、おとなの美人たちや美のプロたちの「ひと言」には、知恵と工夫が溢れている。そこで、清潔感を保つための「気づき」と「コツ」をまとめました。どれも私自身が試して、差を実感したものばかりだ。ぜひ意識してみてほしい。と語るのは雑誌『おとなスタイル』をはじめ活躍する美容エディターの松本千登世さん。
おとなの清潔感、じつはちょっとしたこと！

娘から「お母さんの背中、広いね」。夫から「後ろから見るとウエスト、ないぞ」。親友から「肩甲骨が肉に埋まってる」。すべて同世代女性の「後ろ半身」がらみの衝撃エピソード。年齢は下半身に現れると思い込んでいたけれど、じつは後ろ半身だった！　そういえば、気づかないうちに撮影された自分の後ろ姿に「誰？」と思ったことがあったっけ？　知らない間に老いが正直に刻まれること、他人は思いのほか見ていることを自覚しなくちゃ。下半身は毎日リセットできているかどうかの「習慣」の表れ。後ろ半身は毎日きちんとしていたいと思っているかどうかの「意識」の表れ。目で見えないなら手で見よう。背中や二の腕が緩んでないか、お尻が下がってないか、肘がかさついたりごわついたりしていないか、触れて確かめるだけで意識は肌に肉に伝わる。

今まで肌もスタイルも、若さが創っていた。おとなになったら、肌もスタイルも意志が創る。年齢を重ねるほどに、そして美しいおとなに出会うたびに、確信させられる真実だ。いつも怒っているおとなは怒っている肌をしている、いつも笑っているおとなは笑っている肌をしている。いつも落ち込んでいるひとは背中が曲がるし、いつも張り切っているひとは胸が開くのだ。シワ改善美容液は、過去に遡って積み重ねた時間をなかったことにするのでなく、これからずっと屈託なく笑うためのもの。スリミングボディケアは、若い自分を再現するためのものでなく、これからずっと自分の全身に触れる機会を作るためのもの。「おとなになるほどみずみずしい」印象は、美容のひと手間を重ねることで、毎日創られる。清潔感は自ずとついてくるから。

 

『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
撮影／目黒智子