• > 地べたに座れる服がいい、「高橋一生のファッション哲学」 [FRaU]

地べたに座れる服がいい、「高橋一生のファッション哲学」 [FRaU]

2017年10月30日(月) 20時50分配信

Photo:Junji Hata

非日常の中にある“影”のリアルすぐれた写真には、その前後のストーリーをイメージさせる力がある。すぐれたファッションは、そのシルエットに着た人の品格が映し出される。すぐれた役者は、役柄の目に見える個性のみならず、その影さえも演じることができる——。

色気に妖気に覇気に英気。目には見えないあらゆる美しい気を、自在に操る高橋一生さんが、クラシカルなファッションを身につけ、1920年代のトーキー映画の世界へと、見る物を誘ってゆく。悲劇も、喜劇も。彼の魔法にかかれば、全ては幸福な夢のごとし。
過去の出来事は肯定してこそ その蓄積としての今が素敵になる

Photo:Junji Hata

過去の出来事は肯定してこそ その蓄積としての今が素敵になる

自宅のクローゼットには、白のTシャツがズラリと並ぶ。撮影の日に穿いてきたデニムは、高校生の時から、10年以上愛用しているという。この日の撮影では、クラシカルでフォーマルなファッションに身を包んだ彼だけれど、普段着は真逆のシンプルスタイルだ。

「僕、洋服は、その人のライフスタイルを表すものだと思っているんです。第一印象で、“こういう生活を送ってきた人なのかな?” とイメージできるのがファッションの面白さ。だから、それを隠したくないし、人にも隠してほしくない。僕のファッションのベースにあるのは、10代でハマったスケートボード。’90年代のスケーターズファッションには、ものすごく影響されました。お陰で、私服はいつでもどこでも地べたに座れるようなものでないとイヤで(笑)。ブランドの値の張ったTシャツでも、衿の部分をハサミでカットしたりすることもあれば、今だに、『このパンツなら、転んでも大丈夫だろう』ってことが、買うときの決め手になったりする。最近は、ファッションシューティングに呼んでいただくこともあるんですが、ハイブランドの服でも、『この服ならアリかな』と思ったら、つい地べたに座ってしまいます(笑)」

Photo:Junji Hata

周りにアパレル業界の関係者がいたことから、ファッションに敏感な子供時代を過ごした。でも、自分で着たい服を選べる年頃になった時に選んだのは、古着を中心にしたグランジファッション。一生さんは、「メゾンやブランドを極端に避けた結果」と苦笑いするが、そこからスケーターズファッションに移行し、現在に至るという流れは、30代の男性としてはかなりのファッションエリート。今回のスタイリングを担当したBabymixこと野原英則さんが、そのファッションセンスに惚れ込むのも当然と言える。

「今日の撮影は、アクティングのようでとても面白かった。普段なら絶対着ない服を着て、僕じゃないものになっていく行為は、俳優の仕事と似ているから、ラクなんです。反対に、スチールの撮影で“僕自身”を求められるのは実は苦手で、そういう時は、自分をフィルタリングしてしまいます(笑)。今日みたいに、ファッションで最初にゴージャスで大仰なスタイルを提示することって、最近あまり見ないですけれど、映画と同じで、非日常の中にこそ日常に生かされるヒントがたくさん潜んでいるはずです。昔の映画女優が、ファッションアイコンとして世界中の女性たちの憧れだったように、アート的なファッションに触れることは、感性を磨く意味ではとても大事なことなのではないかと僕は思います」

PROFILE

高橋一生  Issey Takahashi
1980年12月9日生まれ。東京都出身。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。2017年は、前半でNHK大河「おんな城主 直虎」「カルテット」など、10月以降は連続テレビ小説「わろてんか」CX系月9ドラマ「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」に出演、NHK海外ドラマ「THIS IS US 36歳、これから」では主人公の声を務める。最新出演映画・二宮健監督「リミット・オブ・スリーピング・ ビューティ」が10月21日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次公開。
※FRaU2017年11月号より一部抜粋

●情報は、FRaU2017年11月号発売時点のものです。

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