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知っているようで知らない、パルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノのお作法 [おとなスタイル]

2017年10月26日(木) 10時00分配信

ハムとチーズは最高の組み合わせ!

イタリアのパルマは美味しい食の宝庫。中でもパルマ、そしてイタリアを代表する味なのがパルマハムパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ。ふたつの協会が食文化研究家・北村光世先生をスピーカーに招いたイベントが開かれ、ハムとチーズの知識をいろいろ入手しましたので、ご紹介しますね。

スライサーの実演。

まずはパルマハムから。イタリアに生ハムは数あれど、パルマ産のものはその美味しさで群を抜いているのだそう。北に位置し、湿度の高い平野と空気が乾燥した山の麓からなり“食の谷間”とも言われるパルマは、塩だけで生ハムを作ります。これが例えば中部のトスカーナはパルマよりも温度が高いので、防腐力を高めるためにコショウを塗ったりするそう。豚を、広くて乾いた土地で乾燥させ、塩だけで作るというパルマのハムは、とろっとしていてしっかり濃厚。甘いにおいがします。

そのためできる限り薄く、シルクのように切るのが美味しい食べ方。スライサーもパルマで作られる、ごく薄く切れる独特の機械。イタリアで食べたときは美味しかったのに、同じものを日本で買って食べると塩辛く感じたりすること、ありますよね。それは本来パルマハムは、このスライサーの出す厚み(というか薄さ)で食べるのがベストの味になっているから、というから、食の世界は本当に奥深いですね。

ハムの出来上がりは~馬の骨を五カ所に差してみて腐敗臭や異臭がしないかで チェックします。

ところでイタリアの食材はどれも同じだそうですが、食品自体にタトゥーや焼き印が押され、産地や詳細が書かれていて、ハムにもこのタトゥーが入っています。ちなみに、ヨーロッパのタトゥーは、十字軍の時代に、騎士たちがどこで死んでも身元が分かるように、名前や出身地などなどを身体に彫り込んだものなのだそう。北村先生のお話は、食に限らず文化全体に及んで興味がつきません。

部位によって見た目も違います。

さて、ハムは、部位によってもまったく味が違います。今回は写真左から、脛に近い濃厚でねっとりした部分、腿の脂が乗って赤身とのバランスがよくしっとりした部分、腿の付け根の乾燥した部分の3カ所を試食させていただきました。脛に近い部分は少し脂が乗っていて、とろけるような食感。甘みも際立ちます。腿はほとんど赤身で、少しさっぱり。こちらの2部位はスライスで出てきましたが、腿の付け根の部分は、細切りベーコンのような切り方で登場。色からして他と違い、赤を通り越して紫っぽい濃厚な色。スジがあり、一方たくさん動く場所であることから美味しく、産地パルマではこの部分が一番好きだという人が多いそう。食感も断然固く、噛んでいるうちに旨みが口中に広がります。この小さな一切れだけでも、美味しさを堪能できるすごいパワーのある生ハムです。ここまで味わいが違うので、イタリアではハムは部位ごとに断面を見せて売っており、この部位を100グラム、こちらを100グラムというように、客は指さして好みの量で選びます。

イタリアではこのように部位別に断面を見せて売っています。

ところで食べ方ですが、生産者の方が言う「一番おいしい食べ方」というのがあるそうで。手で1枚を摘まんで、顎を上げ、鼻の上にハムを垂らして(乗せるわけじゃありません、鼻とハムは離してくださいね)、鼻から甘いにおいを嗅いでから口に入れるのだとか。つまり、上を向いてあーん、という形ですね。やってみると、確かにフォークで食べるより断然旨みを堪能できます。お行儀が悪いと言わずに、一回試してみる価値、ありますよ!

赤の微発泡性ワインが生ハムと合うんだそうです。

で、生ハムのパートナーとして、パルマで最高の組み合わせと言われるワインは赤の微発泡性ワイン。こちらは「トルクラリア ランブルスコ」(品種:ランブルスコ マエストリ 生産者:カッラ ディ カサティコ)。泡の立ちっぷりが美しい! そして重厚な味なのに軽やかな微炭酸で、本当に本当に本当に、美味しかった!

イタリアでは、お腹をこわした時はパルミジャーノをお粥に入れたりするほど身体に優しくて栄養豊富と言われており、逆にヘルシーなように思えるモッツァレラチーズは実は胃に重たいのでそういうときには食べないのだとか。

次はパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズのレクチャー。時々イタリア料理店で見る、樽みたいな大きいチーズ、ありますよね。あちらは40kg。外側にいろいろ文字が書かれているのは、先ほどの豚のタトゥーと同じ、様々なそのチーズのすべてのデータで、さらにパルミジャーノの認定焼き印が押されています。カットしたのが左の写真。断面をよく見ると、アミノ酸の結晶が散らばっていて、それが美味しさの塊。24ヶ月くらいの熟成が美味しいと言われています。

このくらい目的に応じて道具にこだわるのは、日本のお刺身と似ている、という先生のお話が印象的でした。

そしてチーズもまた、切り方によって味が全く変わります。パルミジャーノは右下から反時計周りに、アーモンドナイフでかち割ったり、スライサーで削ったり、グレーターでおろしたり、と提供する形状によって違う味に。順に旨みがたっぷり、塩気が強く感じられる、甘さが立ってくる、という感想を持ちました。
講師の北村光世先生は、ハーブを中心としたイタリア料理の本を出版、日本とイタリアの食文化交流に尽力されています。

知っていて食べるのと、知らないで食べるのは、全然違いますよね。特に生ハム、次はぜひレストランで上を向いてあーん、で召し上がってみてください。

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