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「江戸絵画」「江戸時代の絵師」を探すなら、個性派が集まる鳥取へ! [おとなスタイル]

2017年10月20日(金) 21時34分配信

異彩を放つ、鳥取藩の絵師たち

江戸時代、全国の各藩に狩野派などの画家が御用絵師として勤め、その土地独自の歴史や風土を映す鏡のような作品を残してきました。その中でも、突出してユニークな画家や創作活動で注目を集める土地があります。それは鳥取です。10月5日から鳥取県立博物館で開催されている「鳥取藩と絵師たち」、府中市美術館の9月9日からの常設展「小特集:江戸時代の絵画」で実物はご覧いただきたいのですが、ここでは金子信久著『作家別 あの名画に会える美術館ガイド 江戸絵画篇』を参考に、一部をお見せしたいと思います。
*作品は現在見られるとは限りません。展示時期については、事前に各館にお問い合わせください。
どの絵もなんだか面白い、鳥取の偉才!

『作家別 あの名画に会える美術館ガイド 江戸絵画篇』より抜粋

どの絵もなんだか面白い、鳥取の偉才!

江戸中期の画家、片山楊谷は、長崎の医家に生まれたが、早く父を亡くし、13歳で遊歴に出たという。長崎で清から来日した画家たちの影響を受けて、仕込みのこってりとして奇抜な感覚の作品を描いた。大胆な構図で驚かせたと思えば、繊細な虎の毛1本1本を描き尽くす筆遣い。強い引力さえ感じる異能の画家だ。
驚きの写生画法、 鯉が今にも動き出しそう!

『作家別 あの名画に会える美術館ガイド 江戸絵画篇』より抜粋

驚きの写生画法、 鯉が今にも動き出しそう!

江戸後期の画家、黒田稲皐は、鳥取藩士の家に生まれ、職務のかたわら絵を描いた。池に鯉を放って観察し、綿密な写生画法で写しとった鯉たちは、今も暗い水の中をうごめいているようだ。
徹底したリアリティー、 汚れまでもしっかり描写

『作家別 あの名画に会える美術館ガイド 江戸絵画篇』より抜粋

徹底したリアリティー、 汚れまでもしっかり描写

江戸中後期の画家、土方稲嶺は鳥取藩の家老に仕える家柄に生まれたが、画家を志して、江戸、京都で学んだという。美化したり、様式化せず、鶴の質感、汚れまで実物に即して描いた。当時の京の前衛派で鳴らし、空気感まで写し取った。

地元の江戸絵師たちを美術館、博物館に訪ねて、小さなタイムトリップを楽しんでみてはいかがでしょう。
著者プロフィール
金子信久(かねこ・のぶひさ)
1962年、東京都生まれ。85年、慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。福島県立博物館学芸員などを経て府中市美術館学芸員。専門は江戸時代絵画史。著書に『旅する江戸絵画 琳派から銅版画まで』(ピエ・ブックス、2010)『ねこと国芳』(パイ インターナショナル、2012)『日本美術全集14 若冲・応挙、みやこの奇想』(共著、小学館、2013)『別冊太陽 円山応挙 日本絵画の破壊と創造』(監修・共著、平凡社、2013)府中市美術館編『かわいい江戸絵画』(求龍堂、2013)『もっと知りたい長澤蘆雪』(東京美術、2014)『たのしい日本美術 江戸かわいい動物』(講談社、2015)『めでる国芳ブック ねこ』『めでる国芳ブック おどろかす』(ともに大福書林、2015)『日本おとぼけ絵画史 たのしい日本美術』(講談社、2016)『めでる国芳ブック どうぶつ』(大福書林、2017)府中市美術館編『歌川国芳 21世紀の絵画力』(講談社、2017)ほか。

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