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『ロッキー・ホラー・ショー』ステージ裏の俳優 古田新太 [おとなスタイル]

2017年10月12日(木) 10時00分配信

カッコイイと思うスタイルは、みんな違っていいんだよ

俳優 古田新太さん

カッコイイと思うスタイルは、みんな違っていいんだよ

「劇場に来るお客さんは、祝祭的な気持ちで行くんだよね」
スカルがヌラッと輝くキャップをかぶった古田新太さんは、ニンマリと笑ってそう言った。テレビのようにタダではなく、チケット代と時間を割いてもらう演劇だからこそ、観客がその盛大な祭りに参加してよかったと思える作品を作るべきだと古田さんは考えている。

『ロッキー・ホラー・ショー』は、まさに祝祭。元々は’70年代、ロンドンの小劇場で始まり、映画化されるとカルト・ムービーとして多くのファンを生んだ。古田さんも、当時からのロッキー・フリーク。
「実はおいら、『ロッキー~』は、大和和紀先生の漫画『はいからさんが通る』から入っているんだよね。和紀先生は、漫画の欄外の落書きコーナーによく(主役の)フランク・フルターを演じた俳優さんのことを描いてたの。それで、『ロッキー~』ってなんだろう、見たいなぁ、と思っていたら、ピクチャーショーとして日本に来て、映画館で見ましたよ。感想は、もう、ほんっとにくっだらねぇなぁ!って(笑)」

プロレスから少女漫画まで、あらゆるエンタメに興味があった10代の古田さんの心を揺るがした『ロッキー~』。特に、フランク役の俳優ティム・カリーにはシビれた。
「他の出演作品も追っかけたら、もういっろんなことをやってる役者なんです。若い女性役もおばさんとかおじいさん役も、どんな役にでもなっちゃう。彼を見て、何をやってもいいんだって思ったんだよね」

『ロッキー~』は、日本版は1985年初演。その後ROLLYが主演を務め、時を隔て2011年に、古田さんがフランク役で初登板した。
「ROLLY版も何回も観たんだけど、やっぱり楽しかった。おいら、日本でも『ロッキー~』みたいなお芝居を作れないかな、と劇団☆新感線でもいろんなことをやっていたんです。だから、『ロッキー~』をやるっていうのは、ちょっと本末転倒だなと思ったんだけど、原点回帰としてやってみるかな、と。やってみて思ったのは、ホラね、みんな楽しかったでしょ? ってこと(笑)」

この2011年版は、劇場のポップコーン売りが突然歌い出すのを合図に幕が開き、嵐のシーンで登場人物が新聞紙をかぶると、それをマネて新聞紙をかぶる、ノリのいい観客によるお遊びも。ロッキー・フリークも大喜びの舞台になった。
「前回は演出がいのうえ(ひでのり)さんで、ピクチャーショーを意識してやっていたんです。今回、河原雅彦になり、もっと舞台っぽくなるんじゃないかな? コンサートみたいなノリにもなるので、曲を知っていると楽しいから、なるべく映画を見るなり予習してから来てください。基本“出オチ”だから、ネタバレしていた方が、次こうくるぞ、キタ~ッ! って笑えると思います」

それにしても、初演時は46歳、この再演では51歳となり、再び網タイツ姿のフランクに扮する古田さん。すんなり納得させられてしまうが、考えてみればすごいことだ。大阪芸術大学時代から、演劇界で一目置かれる存在であり続けるが、今も大御所というより、“気のいいアンちゃん”風。だがおとなとして、演劇界ですべきこと、若手に伝えていきたいことは、しかと持っている。
「当然、50歳を越えて、足腰が痛いだのありますけど、やっぱり“バッカじゃねぇの”って思われていたい。この間の『髑髏城の七人』Season花にしたって、ムキムキの肉襦袢に赤いブーメランパンツを衣裳さんに頼んで、ローラースケート履いて走ってました。“いいお芝居”をする方向へは行きたくないんです。映像と違って、舞台はみんなが外国人になっても許される(笑)、最も嘘をつける世界なんだから、どんなヤツが何をやってもいいと思って挑まないと。若いヤツはみんな身の丈に合った役しかやりたがらないし、カッコよくいたい。それはつまんないよね。カッコイイっていう定義はみんな違っていい。
たとえば、明石家さんま師匠はハンサムだけど、みんなが彼をカッコイイって思うのはそこじゃなくて、師匠自身がカッコイイと信じるスタイルがあるから。それを裏切らないように生きてるってことだと思う」

古田さんもそんなスタイルのあるおとな。彼が大暴れする『ロッキー~』には、笑いとともに教えられることがぎゅっと詰まっている。
『ロッキー・ホラー・ショー』

1月7日(火)~12日(日)Zeppブルーシアター六本木ほか サンシャイン劇場公演、地方公演あり。

『ロッキー・ホラー・ショー』

嵐の夜、ジャネットとブラッドがたどりついた古城には、異形の人々が溢れノリノリのパーティが始まろうとしていた。城主は、服装倒錯者の妖艶なフランク・N・フルター。彼が作りあげた人造人間・ロッキーが誕生し、2人は狂騒に巻き込まれていく。
音楽/リチャード・オブライエン 演出/河原雅彦 出演/古田新太、小池徹平、ISSA、ソニンほか。
古田さんの“注目する人”は?

『ナイーブっぽさがニクい小池徹平!』

古田さんの“注目する人”は?

「誰の名前を挙げても角が立つけど(笑)、『ロッキー~』出演者で言うと小池徹平。ナイーブそうに見えるのが彼の武器。何をやってもダイナミックに感じられるからね。気弱なブラッドが最後、女装したときの爆発力は凄まじいんじゃないかな。本当は決してナイーブな人ではないんだけどね」
■Profile
俳優 古田新太
ふるた・あらた/1965年生まれ、兵庫県出身。1984年より劇団☆新感線の看板俳優に。外部公演にも多数出演。テレビ、映画、バラエティ、雑誌連載などでも活躍。現在、ドラマ『下北沢ダイハード』『僕たちがやりました』に出演中。

 
『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
photograph by Yasuyuki Emori

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