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【人生Q&A】がんが進行中の父に本当の症状を伝えるべきか、悩んでいます [mi-mollet]

2017年10月04日(水) 14時00分配信

kiki8667さんからの質問
Q. 父に本当の病状を伝えるべきかどうか悩んでいます。

78歳の父は癌で、だんだん歩くことや食べることが難しくなってきました。自宅で療養しています。でも、父にはそう長くは生きられないことは話していません。父はまだ良くなると思っています。死の恐怖を感じさせたくないと思ってそうしたのですが、最期にやっておきたいことをできないようにしているのではないかと、少しだけ迷っています。本当のことを言わずにいて良いでしょうか。(46歳)

特別ゲスト 樋野興夫先生の回答
A. 病状を伝えることは医師に任せてしまえばいいと思いますよ。

医師が本人に病状を伝えないよう配慮する、というのはひと昔前の話です。今の医師は、患者さんに病状をできるだけ正確に伝えなければいけない義務がありますから、おそらくお父様に伝えていないのだとしたら、ご家族が医師に「言わないでくれ」とお願いしているのか、あるいはお父様自身が事前に「伝えないでほしい」と希望していたか、どちらかだと思われます。もしお父様自身が希望されているのなら、もちろんそのままで良いと思います。

ですがご家族の意志で伏せていて、今、伝えるべきか迷われているというのでしたら、それは家族が背負わなくても良いと思いますよ。医師に任せてしまえばいいのです。ご家族の方はお父様の病状を聞かれているのでしょうが、それは決して100%の情報ではありません。余命とはあくまで確率論ですし、人の生命力とは人知を超えるものもありますから、そういったことを踏まえてどう伝えるかは医師のやるべきことです。

それよりも家族は、家族にしかできないことをされてください。ただ、「最後にやりたいことをやらせてあげたい」というのも、もしかしたらお節介かもしれません。家族は患者さんのことを思ってあれこれと世話を焼きますが、実は、がん哲学外来には、「家族の余計なお節介に疲れる」と相談に来られる患者さんが少なくないのですよ。こんなことをお伝えすると、ショックを受けられるご家族も多いかもしれませんが……。

家族にできることは、お父様に最後まで寄り添うことだけだと思います。ただ同じ空間にいて、一緒に食事をし、テレビを見、無言でいても苦痛にならない。そのような時間を持ち、「自分に関心を持ってくれている」と実感すると、患者さんの心強さは全然違ってくるものなのです。家族は余人を持って代えがたしですから。
いかがですか?
樋野先生の回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

樋野 興夫(ひの おきお)
1954年、島根県生まれ。医学博士。順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座教授。一般社団法人がん哲学外来理事長。医療現場と患者の間にある「隙間」を埋めるべく、全国各地で講演をおこなうなど精力的に活動している。著書は『がんばりすぎない、悲しみすぎない。「がん患者の家族」のための言葉の処方箋』(講談社)、『がん哲学外来へようこそ』(新潮新書)など多数。

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