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どこに行っても景色がきれいで食べ物がおいしいこれからのシーズンは、夏休み以上に最高の旅行シーズン。連休にどこに行こうか！と考えている人も多いかもしれません。

完璧に予定を立ててスケジュール通りにうまく運ぶとそれはそれですごい達成感がありますが、旅の一番の醍醐味は「想定外の事態」じゃないかなーと、個人的には思ったりします。あのお店に行って、あれを食べて、と予定していたのに、そのお店がなぜか臨時休業、どうしよう！と思って近くの店に飛び込んだら、そこが「旅の間に行った店で一番美味しかった！」なんて経験、誰にでもあるんじゃないかなー。

面白いのは、これが「全然ダメだった」でも不思議と印象的な思い出になったりすること。あの時のお店、店内にナゼか川が流れてた、ご主人が眉毛がすごかった、ご飯が笑っちゃうほどマズかった、一口食べた時の友達の顔、思い出すだけでお腹抱える……なんてエピソードは、10年後20年後も思い出す爆笑ネタたりうるもの。そしてそんなふうに話せるネタがある相手とは、10年後20年後にも――たとえずーっと会い続けていなくても――当時の気持ちのまま話せる友達だったりもします。

さてそんな秋の旅行に出る前に、ぜひぜひ見ていただきたいなーと思うのが『50年後のぼくたちは』。学校のクラスでも家でもどこか“独りぼっち”な、内気なオタ少年マイクと豪快な転校生チックが、盗んだ車をひたすら前へ突っ走る旅を描いたロードムービーです。地図も見ずアイフォンも車外に投げ捨てて、文字通りただ前に進むという旅は、不測の事態が山盛り。

突っ込んだトウモロコシ畑に、グーグル・アースで見られるように車で文字を書いたり、見知らぬ家庭でごちそうなったご飯がめっちゃおいしかったり、警察に追いかけられて（無免許だから！）はぐれたり、途中で拾ったプラハに向かう女の子と、なんだか恋の予感があったり……と行き当たりばったりの旅の楽しさが山盛りです。

様々な想定外を乗り越えた二人と少女が「50年後の再会」を約束する場面には、見てるこちらも学生時代に一緒に旅した友達グループのことを思い出したりして。そんな友達を久々に誘って――なーんていう再会にも、ピッタリの作品かもしれません。

ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー公開中！

文／渥美志保