満島ひかり、ベトナムで故郷を思い出す [FRaU]

2017年07月29日(土) 19時00分配信

Photo:Masafumi Sanai

悠久の時を刻み、貿易港として栄えた古い港町ホイアン。海岸線を行けば、世界中のセレブリティに愛される優雅なリゾートが立ち並ぶ。伝統とモダンが共存するこの街は、これまでのベトナムのイメージを変えてくれる。満島ひかりさんと共に巡る、ダナン~ホイアン2泊3日の旅。
幻のようなこの街へ! 次訪れるときは家族と一緒に

Photo:Masafumi Sanai

幻のようなこの街へ! 次訪れるときは家族と一緒に

『美しい砂浜、静かに流れる時間.... 南国の海が心を穏やかに癒やす』
ベトナム中部最大の都市ダナンより南方へ約30㎞。古くから貿易港として栄えた古い港町ホイアン。市場や露店が連なる路地には活気ある人々の営みが息づき、1999年に世界文化遺産に登録された旧市街にはノスタルジックな街並みが残る。一方で、ダナン空港から続く美しい海岸沿いには高級ビーチリゾートが立ち並び、ベトナムの新たなリゾートスポットとして近年注目を集めているエリアだ。海岸沿いはホテルやビルの建築ラッシュが続き、現在、街は急速な変化を遂げている。肌にまとわりつくような熱気と強い日差しのなか、海岸線を抜ける海風が時より爽やかに汗を拭ってゆく。
「なんだろう、故郷を思い出します」

初めてこの土地に降り立った満島ひかりさんは、ぽつりとつぶやいた。

「働いている人たちの感じ、軒先で休憩しながら店番をするお土産屋さん、進みはじめている開発の波、工事現場……。同じ南の国だからでしょうか、その空気感が、私の育った街と似ているのかもしれません。人が優しくて、できるだけ争わないように、柔らかく生きている感じもしますね」

その印象は、彼女の祖先のルーツであり、この夏公開の映画、『海辺の生と死』の撮影で訪れた奄美諸島にも重なるのだろうか。

Photo:Masafumi Sanai

5年前に仕事でホーチミンを訪れて以来のベトナム再訪という満島さん。今回滞在したのは、ビーチ沿いにヴィラが点在するリゾート「ザ・ナムハイ」。壮麗な造りのレセプションを抜けた先に現れるのは、空高く伸びるヤシの木に囲まれたインフィニティプール。目の前に広がる水平線までそのまま泳いでいけそうな一体感に、満島さんも胸が高鳴るのでは!? と次の瞬間、ドボーッン! 勢い良く水しぶきを上げ、満島さんはたゆたう水の中。

「うわぁ〜、海の中にいるみたい。すごいよ! 繫がってる〜!」

プールの中でくるくると回りながら少女のように無邪気に笑う彼女の姿は、まさに水を得た魚のよう。トライアスロンにもチャレンジしていたという幼少期は、遠泳も苦ではなかったそう。強い日差しにキラキラと輝く肌を焦がしながら、彼女の心は目の前に広がる海まで飛んでいっているよう。火照ったからだをクールダウンできただろうか。透けるような絹のシャツに身を包み直し、鏡の前で身支度を整える満島さんの背中から、小鳥がさえずるような軽やかな鼻歌が聴こえてくる。

Photo:Masafumi Sanai

彼女の心を追いかけるように、撮影チームが向かったのは白浜のプライベートビーチ。浜には、お椀のような漁師たちの黒い小舟がポツポツとある。まるでSF映画を見ているような不思議な景色。そして彼女がカメラの前に立った瞬間、スーッと空気が変わっていく。遠い浜の向こうで海を見つめるイノセントな彼女の姿は、まるで砂浜に舞い降りた天女のようだった。

「海の近くで育ったので、怪我をしたときとか、友だちとちょっとケンカしちゃったときとか、心が少し沈んでいるときに近くの海まで行って、砂でゴシゴシっとからだを撫でて洗うんです。そうして、よし、また明日! って気持ちを切り替える。水に触れるのもすっごく好きなんです」

その言葉に、先ほどの躊躇のない水へのダイブに合点がいく。

Photo:Masafumi Sanai

「暮らしの近くにいつも水があって、海の音、夕方に変わっていく空の色。都会にいても目を閉じれば、いつでもそこに行けるんです」。そして今は、「それを想像する間もないくらい、目の前にある」。浜を歩きながら話してくれた彼女の表情に、少女だった頃の満島ひかりが重なって見えた気がした。

Photo:Masafumi Sanai

『黄色い壁とブーゲンビリア。ノスタルジックな古い街並。』
18世紀から続く木造建築が立ち並ぶ旧市街。家々の壁にはこぼれ落ちるように色鮮やかな花々が咲き誇り、アーケードにはカラフルなランタンが連なる。日が暮れるのを待ち、幻想的な灯りに包まれた通りを散策する。「あっちの道も、こっちのお店も気になる!」と、そぞろ歩いていた満島さんが不意に視線を上げる。

Photo:Masafumi Sanai

「おばあちゃん家の玄関にもブワ〜っとブーゲンビリアが咲いていて、アーチのようになっていたんです。ちょうどあんな風に!」と、ピンクの花々に瞳を輝かせ、故郷の懐かしい風景を教えてくれた。訪れる場所、包まれる衣装でいくつもの表情を魅せてくれた満島さん。最後に彼女が振り返ってくれた今回の旅の印象は、「幻のような旅」だった。

Photo:Masafumi Sanai

「私はこの頃、今日が来た瞬間、昨日がなくなるような感覚を持って過ごしているのですが、今回の旅もそう。今ここにいる時から、瞬間瞬間が幻のように感じられる。写真家の佐内さんの言葉を借りれば、「写真には未来が写っている」はずです。それでも今回の旅で一番思い出すのは、空港に着いた時。カメラを下げたままお手洗いに入ったのですが、清掃員のおばさまが身振り手振りで『私を撮って!』と言っているので撮ってあげたんです。そしたらすごく喜んでくれて、ほっぺにたくさんキスしてくれました(笑)。ベトナムの人は、笑顔がとってもカワイイ!! これまでもいろんなところへ旅をしましたが、はじめてかな、家族みんなを連れてきたいと思ったの」
PROFILE

Photo:Masafumi Sanai

PROFILE

満島ひかり Hikari Mitsushima
1985年生まれ。数々の映画やドラマ、音楽にも挑戦し唯一無二の存在として活躍。4年ぶりの単独主演映画『海辺の生と死』が7月29日よりテアトル新宿ほか全国公開。

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