• > 上野千鶴子 “ひとりの老後”への準備 [おとなスタイル]

上野千鶴子 “ひとりの老後”への準備 [おとなスタイル]

2017年07月25日(火) 10時00分配信

上野千鶴子さん

女性学、ジェンダー研究の第一人者として知られる上野千鶴子さん。著書『おひとりさまの老後』は、75万部のベストセラーに。“おひとりさま”を安心して生きていくにはどうしたらいいのか、と漠然と不安に感じていたことを調べだしたことをきっかけに、「老後を研究する、と発想を変えると楽しい学びが見えてきた」と上野さん。“ひとり”になったとき、準備しておくこと、50代とはどんな時代なのか、教えていただきました。

Q.50代とは女性の人生の中で、どんな時代だと思いますか?

新たなチャレンジにもっとも適した世代です
50代になると、子供が独立していったり、夫と死別あるいは離別したりして、再びひとりになるというケースも。夫がいても「気持ちはおひとりさま」の女性も多いです。
そんな人たちには、「おかえりなさい、おひとりさまへ」と言ってあげたい。
また、体力の衰えを含めて、仕事をしている人にとっては自分の生産性が減少していくのを感じる年代でもある。つまり、自分の人生の下り坂が見えてくるのです。
でも、それは決してネガティブなことではありません。その時に、うまく切り替えができるかどうかで、その後の生活が大きく変わります。下り坂とはいえ、50代は60代と比べてまだひと踏ん張りできるエネルギーがあり、あきらめがつかない年代。だからこそ、人生を方向転換したり、もう一度、新しい何かにチャレンジしたりすることを考え、取り掛かるにはとても適している年代です。

Q.50代から準備、整備しておくべきことはありますか?

老後を学ぶ、そんな気持ちで向き合うといい
50代女性だと平均寿命まで30年ぐらい。ゼロ歳児が30歳になる時間です。
それだけの時間をどう豊かにつぶすかは大問題。だからこそ今何をするか考えるべき。50代は仕切り直しするエネルギーが残っているからです。60代からは大変。
私は50代で介護という分野を見つけ、あ、これで時間がつぶせると思った。それから16年。
今では人に相談されるくらいの知識が身につきました。私のように、将来を考えて老後のために準備や学びを増やすのもお勧めです。

Q 将来ひとりになるなんて想像できません。考えるだけでも不安になります……。

おひとりさまは必ず慣れるものです
ひとりになってさみしくて仕方がない、という人からご相談を受けることも少なくありません。夫とあんなに仲が悪かったのに、先立たれたらこんなに骨を噛むようなさみしさが自分に訪れるとは思わなかった、とか。まあ夫婦とはそういうものなんだろうと思いますが、私の答えはとても簡単。
「おひとりさまは、慣れます」、これだけです。必ず慣れます。
相談に来た方もみなさん、今は人生を謳歌されています。女性は男性に比べて、生活的自立ができてますから、大丈夫。
不安は解決できるし、さみしさは慣れます。これが鉄則です。
■Profile
上野千鶴子
うえのちづこ
1948年、富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人WAN理事長。『おひとりさまの老後』(法研 ’07年)に続き、『男おひとりさま道』(同 ’09年)、『おひとりさまの最期』(朝日新聞出版 ’15年)でおひとりさまシリーズ三部作が完結。『ケアのカリスマたち 看取りを支えるプロフェッショナル』(亜紀書房’15年)ほか著書多数。

 

 

『おとなスタイル』Vol.7 2017春号より
撮影/やまざきともよ

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