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自分らしいブレない生き方/桐島かれん [おとなスタイル]

2017年07月11日(火) 10時00分配信

フィレンツェとトスカーナの旅

この春、玉川高島屋S・Cに自身がディレクターを務めるショップ「ハウス オブ ロータス」をオープンした桐島かれんさん。モデルをはじめた学生時代、4人の子育てに追われていた時代を振り返りながら「ハウス オブ ロータス」オープンに至るまでの日々について語っていただきました。

40代前半まで、自分の時間はゼロでした

ひとりの時間なんて――長い間なかったです。
29歳から3年おきに4人の子を出産しましたから、12年間は授乳しているか妊娠しているかのどちらかで。40代前半までは、寝かしつけや学校の送迎など、子どもの世話だけで忙しく、自分のための時間を求めることもありませんでした。

試しにベビーシッターを頼んだとき、ようやく手に入れたひとりの時間で何をしたかというと……週刊誌を買って近くの喫茶店に行き、コーヒーを啜りながら1時間だけむさぼるように読んだんです。あのときは涙が出るぐらいうれしかった! それほど、ひとりになる時間は貴重でした。

好きなように生きたいと思っても、目の前のすさまじい現実に振り回されて、10年、20年があっという間に過ぎてしまう。女の人にはそんなところがあると思います。

私は高校生のときから、画家かファッションデザイナーといったクリエイティブな仕事に就きたいと思っていました。大学を中退し、アートとファッションデザインを学ぶための専門学校に通い始めましたが、学費稼ぎとして始めたモデルのバイトから、ずるずると芸能界に引きずり込まれて……。音楽や演技の仕事はエキサイティングではありましたが、本当にやりたいことは違う、というモヤモヤとした気分が絶えずありました。
そのときには「何がしたいのか」はっきりわかっていなかった。でも、いつか絶対にその「何か」を始める――。そういう根拠なき自信だけはあったんです。

自分が本当にやりたいことって、自分の中に眠っているものなのです。そして自分の軸さえしっかりとあれば、長い人生の中でいろいろなステージがあったとしても、自分らしいブレない生き方ができる、そんな気がします。
自由が利かないからこそ、“得意なこと”が見えてきた

“やりたいこと”が“得意なこと”になったんです。 諦めずに続けてきた、50代の春に。

自由が利かないからこそ、“得意なこと”が見えてきた

子育てに追われながらも、何かしたいという思いはずっとあり、自分でもびっくりですが、あるとき突然、“店を開こう”と思いつきました。
幼い頃から、旅好きな母に連れられて世界中を旅をしてきた私は、高校生のときには25ヵ国以上を訪れていました。世界各国の文化や民族衣装、土地に伝わる民芸や手仕事で作られる日用雑貨、そうしたものに強く魅了され続けていて、いつからか、その素晴らしさを紹介したいと思い始めていたようです。
これは特技だと思うのですが、私は「素敵! 可愛い!」と一度出会ったものは、はっきりと覚えているんです。あの市場の奧にある店の、上から二段目の棚にはこういうバスケットがある――というふうに、克明に覚えている。

近代化の大量生産の波に飲まれて、古くから伝わる手仕事は消えていき、再びその場所を訪れたときには、なくなっていたこともたくさんありました。でも、そういうものも目の奧の記憶として、私の中にはちゃんと残っているんです。
ものを見る、選ぶ、愛おしむ力。そして、世界中を旅してきた体験と見聞は私の財産です。今ではそう思えますが、店を開こうと思った当時は、ただ好きなだけ、パッションがあるだけで無鉄砲でした。
商売のことなんてな~んにも知らないのに、子どもたちをぞろぞろ引き連れて、タイやベトナム、インド、中国と買い付けに行き、勢いだけで店を開いてしまいました。誰にも相談せずに、何から何までひとりで全部やって。期間限定のセレクトショップ「ハウス オブ ロータス」を、以前住んでいた古い洋館で開いたのは2002年のことです。
まだまだ子育てが忙しかったので、学校が休みの期間、1年に3週間から1ヵ月ほどの短期間限定というわがままな店でしたが、思いのほかたくさんのお客様がいらしてくださいました。そのうち、デパートからイベント出店の話があり、ついには広尾に店舗を構えるようになって。雑貨とアンティークだけで始めた店も、インドでオリジナルの洋服を作ったりと、だんだんとやりたいことの規模が大きくなっていきました。

イベント的に始めた私の小さなお店はどんどん成長して、昨年、ファッションブランドなどを多く抱える株式会社サザビーリーグとパートナーシップを組むことになりました。
今は、開店準備のために、朝から晩まで立て続けに会議をしたり、店舗の内装からショップ包装紙など、いろんなデザインを詰めたり、バイイングにバリ島やインドへ行ったり……全部自分でやらないと気がすまない性格なので、世界中を飛び回っている毎日です。

実は今回のフィレンツェとトスカーナの旅も、ショップの買い付けの目的がありました。昔、フィレンツェを旅したときに見つけて、ずっと愛用しているトレイなど、“ひとりの時間”に私が見つけたものたちを、みなさんにぜひ紹介したくて。
■Profile
きりしまかれん/「ハウス オブ ロータス」クリエイティブディレクター。1964年、作家・桐島洋子の長女として生まれる。大学在学中にモデルを始め、女優、ラジオパーソナリティー、雑誌連載とマルチに活躍。’93年に写真家の上田義彦氏と結婚。22歳を筆頭とする四児の母。

 

『おとなスタイル』Vol.7 2017春号より
撮影/相馬ミナ、桐島かれん(トップ写真)

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