• > 人気陶芸家クリスチャンヌ・ペロションが大切にする“ひとりの時間” [おとなスタイル]

人気陶芸家クリスチャンヌ・ペロションが大切にする“ひとりの時間” [おとなスタイル]

2017年07月08日(土) 10時00分配信

クリスチャンヌ・ペロションさん

桐島かれんさんが訪れたのは、イタリアのフィレンツェ、トスカーナ。 憧れの陶芸家、クリスチャンヌ・ペロションさんのアトリエを訪ねました。 フィレンツェから車で約1時間半、人里はなれた自然の中にペロションさんのアトリエがありました。
「本当の自分と向き合う“ひとりの時間”が大切だと思う」と桐島かれんさん。ペロションさんにとっての“ひとりの時間”はどんなものなのか聞いてみました。

「人から離れた場所にいることが、創作には必須です」

ペロションさん宅の食卓では、もちろんすべての料理が、自作の器で供されます。淡いピンク色の器に、野草のサラダをラフに盛るのが可愛かったり。デザートの手作りパイをいただくときに、色とりどりのお猪口みたいな小さなカップがたくさん並べられて、そこに娘のポリーヌさんがエスプレッソコーヒーを注いでくれたり。真似したい素敵なヒントがたくさんありました。

階下のアトリエこそ広々としたスペースですが、2階のご自宅は意外にコンパクト。ダイニングキッチンは8畳ほどの広さで、隣の居間もそれほど大きな部屋ではありません。でも、床にペロションさん作の濃いグリーンのタイルが敷き詰めてあったり、トイレの洗面台も自作の大きなボウルだったりして、丸ごと“アーティストの家”という感じ。温かみのある慎ましやかな人の暮らしを、そこに感じました。

ご家族や、たくさんのペットと一緒に暮らしているペロションさんにも、“ひとりの時間”はあるのでしょうか。尋ねてみると、「もちろんです。私はひとりでいるのは全然平気」との答えが返ってきました。

ペロション「家族もそばにいるし、仕事もスタッフと一緒にしているので、物理的にひとりになることは非常に少ないです。でも、常に人と顔を合わせているわけではなくて、私がアトリエのひと部屋で仕事をし、娘が違う部屋で仕事をし、夫は外で農作業をしているようなこともしばしば。だから、ひとりでいることが結果的に多いのです」

ずっと人に囲まれているけれど、ひとりなんですね。私も同じ環境だから、ペロションさんの“ひとりの時間”のことがよくわかります。

ペロション「そもそも、まわりに何もないこんな場所で、街の喧騒から離れた状態で暮らしていることじたいが、“ひとりの時間”を必要としていることの証しでしょう?」

かれん「そうですね。なぜ、人里離れた場所で仕事をしてるのですか」

ペロション「人がたくさんいるところから離れている自分、というのが、クリエイションにおいてすごく大事なんです。創作のインスピレーションというのは、『あっ!』と思いついて出てくるものではなく、少しずつ少しずつ自分の中で熟成していくもの。熟成させたり、それを形にしていくためには、自分の中で起こっていることを、じっくりと眺める静寂の時間が必要です。ほかのクリエイターのことはわからないけれど、少なくとも私にとってはそうなんです。だから、静けさや孤独が、私のお友だちなの。仕事の合間にふと窓から見えるトスカーナの自然が、私の最高のお友だちなんです」

聞きました? みなさん! 「孤独が友だち」って、まったく同感です。ペロションさん、私も同じ気持ちです!

 

ひとりの時間は必要ですか? ―かれん

もちろん。それがあるから仕事を続けてこられましたよ ―ペロション
■Profile
クリスチャンヌ・ペロション/陶芸家。スイス・ジュネーブ出身。パリの国立高等装飾美術学校(Ecole des Arts Decoratifs)で陶芸を学び、1971年スイスにスタジオを設立。’79年にイタリア・トスカーナの丘の上に建つ、かつて教会だった古い建物をアトリエ兼住居とし、以来活動の拠点とする。静謐なフォルムと美しい色が特長の器は、フランスのファッションデザイナーやクリエイター、感性豊かな日本人にファンを多く持つ。

桐島かれん
きりしまかれん/「ハウス オブ ロータス」クリエイティブディレクター。1964年、作家・桐島洋子の長女として生まれる。大学在学中にモデルを始め、女優、ラジオパーソナリティー、雑誌連載とマルチに活躍。’93年に写真家の上田義彦氏と結婚。22歳を筆頭とする四児の母。

 

『おとなスタイル』Vol.7 2017春号より
撮影/相馬ミナ

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る