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水のように流れるフォルムが美しい「夏に映えるガラスの器」 [FRaU]
2017年06月29日(木) 14時00分配信
ブランディングディレクター福田春美さんの連載。今回のゲストは、ガラス作家の艸田正樹さん。ピン・ブロウという技法で作られたガラスはその存在感が魅力。数年前に見て一目惚れしたという春美さん。念願かなって今回の対談が実現しました。
[ 福田春美 連載より ]
ガラス作家
艸田(くさだ)正樹さん
1967年、岐阜県生まれ。名古屋大学大学院修了後、三菱総合研究所にて地域の将来ビジョンの策定や施策作りに携わる。退社後、1997年より、創作活動に専念。〈桃居〉をはじめ、日本各地で展覧会を開催。2001日本クラフト展にて「うつくしい水たまり」が入選。
艸田(くさだ)正樹さん
1967年、岐阜県生まれ。名古屋大学大学院修了後、三菱総合研究所にて地域の将来ビジョンの策定や施策作りに携わる。退社後、1997年より、創作活動に専念。〈桃居〉をはじめ、日本各地で展覧会を開催。2001日本クラフト展にて「うつくしい水たまり」が入選。
重力と遠心力から生みだす 美しくシンプルなフォルム
春美(以下H):艸田さんの作品は数年前に初めて見た時からずっと気になっていて、やっとお会いできて嬉しいです。印象的だったのがタイトルの付け方。「やわらかな方位」や「月の輪」など、独特だなって。
艸田(以下K):ありがとうございます。僕は吹きガラスの中でもピン・ブロウという技法を用いているのですが、一般的な吹きガラスと違って、穴のない普通の鉄棒にガラスを巻き取り、針で突いて開けた穴に水蒸気を吹き込んで膨らませるという、ちょっと変わったやり方です。
フォルムを作るときも、通常は鉄の道具や木の板を使いながら広げたり、すぼめたりして形を作っていくのですが、僕の場合は道具を使わず、温めながら重力と遠心力だけで形成しています。
艸田(以下K):ありがとうございます。僕は吹きガラスの中でもピン・ブロウという技法を用いているのですが、一般的な吹きガラスと違って、穴のない普通の鉄棒にガラスを巻き取り、針で突いて開けた穴に水蒸気を吹き込んで膨らませるという、ちょっと変わったやり方です。
フォルムを作るときも、通常は鉄の道具や木の板を使いながら広げたり、すぼめたりして形を作っていくのですが、僕の場合は道具を使わず、温めながら重力と遠心力だけで形成しています。
H:なるほど、自然の力だけなんですね! だからか、作品に衒てらいがないというか、作為がないように映りました。
K:デザインありきでなく、自然に委ねているところがあり、それぞれ微妙に違うものができます。そんなこともあって、タイトルも幅を持たせて付けるようにしています。
K:デザインありきでなく、自然に委ねているところがあり、それぞれ微妙に違うものができます。そんなこともあって、タイトルも幅を持たせて付けるようにしています。
H:ガラスって、見た目は水のように涼しげですが、作業には何千度の熱が必要となる。できる前と後では両極ですね。
K:そのギャップがまた面白くて。1000度以上の火と向き合っていると生死の狭間にいるので「生きている」ことをすごくリアルに実感するんです。
K:そのギャップがまた面白くて。1000度以上の火と向き合っていると生死の狭間にいるので「生きている」ことをすごくリアルに実感するんです。
H:艸田さんの作品はどれも美しい水を連想させます。
K:火と水に対する意識は常にありますね。ガラスを作るには火の中に水を見る、という感じがあるからかもしれません。
K:火と水に対する意識は常にありますね。ガラスを作るには火の中に水を見る、という感じがあるからかもしれません。
会社員を経てガラス作家になった艸田正樹さん。「極力 “作為” を排除するようにはしていますが、まったく無い状態では作れない。作為と無意識の自分、行ったり来たりですね」。色や気泡で模様をつけることはせず、道具も用いず、重力と遠心力だけで制作することにより、シンプルで美しいフォルムが生まれる。