女性誌ネットは、講談社の女性誌を集めたポータルサイトです。

近年、最注目されている日本の伝統工芸。こちらでも西陣御召や、肥前吉田焼などを紹介してきましたが、今日PICK UPするのは、香川県の伝統的な工芸品である保多織（ぼたおり）です。
いつまでも丈夫なことから「多年を保つ」という意味で命名された保多織の歴史は古く、元禄2年にまで遡ります。当時の高松藩主・松平頼重公の命を受けた京都出身の織物師・北川伊兵衛常吉が創った独自の絹織物がその始まりで、江戸時代には高松藩が幕府へ献上していたという上級武士のみが着用を許された品だったとか。その独特の技法は、一子相伝の秘宝法として受け継がれてきたそうです。そういえば、以前ご紹介した樂焼も、安土桃山時代から一子相伝で伝承された工芸でしたね。
1960年ごろには数社あった保多織を作る織物会社も、現在は岩部保多織本舗のみ。香川県指定の伝統工芸士である岩部家4代目・岩部卓雄さんが、伝統を守りつつも新しいことに挑戦しながら技術を継承しています。

その保多織の特徴は、なんといっても肌ざわりの良さ。これは、3回平織りで打ち込んで4本目を浮かせて織る、という独自の織り方によるもので、浮きに生じる隙間が空気を含み、「夏はさらっと、冬は肌に触れたときに冷たさを感じさせない」布に仕上がるのだとか。また、通気性や吸水性にも優れ、丈夫さを兼ね備えているといったよさも、この織り方から生まれるものだそう。
さらに、異なる色の糸で織ると、表と裏が全く違った風合いの布に仕上がるのも保多織の魅力のひとつ。好みの面を使うことができ、裏地のチラ見せでおしゃれ感を演出したり、デザインによってはリバーシブルで楽しむことも可能です。

控えめな折柄と、程よい弾力のあるコットンカシミアをあわせたもの。配色も穏やかなキナリとグレーで、落ち着いた上品さのあるデザインになっています。

インドの希少な綿花100%でつくられた上質な天竺と保多織を縫い合わせたもの。どんなスタイルにも合わせやすいカジュアル過ぎないチェック柄がいいですね。

今日ご紹介した中で一番大きなサイズ。これからの季節、冷房よけに羽織ることもできるので重宝しそうです。両端の黄色とグリーン部分にはラマヤーナを使用。保多織の落ち着いたボーダーが効いた”おとな”カジュアルなアイテムとして活躍してくれそうですね。

このストールは、香川・四国にある魅力溢れる企業や特産品、観光資源などのモノ・人・ことについて毎号違ったテーマを取り上げ、紹介している雑誌『IKUNAS（イクナス）』から誕生したブランド「une（ウネ）」の商品。縫製は、香川県さぬき市で長年糸を紡ぐ工程から職人と支え合い、モノづくりに向き合ってきたという川北縫製が行っています。1本1本の線の縫い上がりがそのまま付け心地に影響するストールだから、縫製方法にもこだわったそう。糸や布にあわせて機械をかえ、人の手で融通を利かせながら縫い合わせるなど、人の手でつくられた贅沢な逸品です。
もっと詳しく知りたい、欲しいという方は、「IKUNAS WEB STORE」をチェック！　香川の魅力がぎっしりつまったサイトになっていて、見るだけでも楽しい！おしゃれな伝統工芸品も多く掲載されていて、暮らしの中に取り入れたくなるものが満載です。

さて、サイトも見応え十分なのですが、雑誌はもっと面白い！　実はさかさに読むと「SANUKI（さぬき）」の『IKUNAS』Vol.5では、「いま、気になるもの。」をテーマに、香川漆芸を大特集。作品や技法、工房の紹介だけでなく、10年後の漆づくりまでを視野にいれた「さぬき漆の植樹活動」までスポットをあてています。

讃岐の手まりや讃岐瓦などの伝統文化や、香川の食は食べる・作る両面から紹介するなど、古き良き香川と今の香川を知ることができる一冊です。“おとな”になったからこそ理解できる伝統の良さを、新しさと合わせ見て学べるつくりになっていて、読み応え十分。そして、写真が美しい！　50代の女性が楽しめる内容で、編集部でも、熟読したスタッフ多数。みなさんも是非ご覧になってくださいね。