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更年期症状を乗り越える女性内科医の解決策 [おとなスタイル]

2017年05月22日(月) 09時00分配信

イラスト/村田善子

更年期を経験した医師に聞きました。更年期症状5つの解決キーワード
内科医、清田真由美先生に経験したからこそ、伝えたい5つの解決キーワードを伺いました。

清田真由美さんのやっていることリスト

□HRTと漢方を併用
□骨粗鬆症予防を早期から
□更年期を知る・学ぶ・伝える
□大豆食品を積極的にとる

01 『症状がなければ大丈夫』は実は危険という現実を知る

「今は何も症状がなくても、女性ホルモン減少の影響は10年後、20年後に必ず体に現れます。患者さんには『あなたは更年期障害でよかったわね』と話しています。そうでなければ、骨量や善玉コレステロールが少ないこともわからなかったし、早めに手当てできてよかったと。症状が軽いうちに、最小限の治療でいいから始めた方が、体への負担は少ない。生涯の医療費を考えても、更年期にこそ体を見つめ直し、ケアを始めることが得策です」(清田さん)

02 今のつらさだけでなく、30年先に必要なケアも併せて考える

「私は、更年期障害を自覚したと同時にHRTなどの治療を始め、おかげで仕事も精一杯やってこられました。でも、HRTを止めるといまだにホットフラッシュが出ることも。更年期の症状はスパッと10年で終わるわけではありません。その後の体の変化に気を配ることもとても重要なのです」と清田さん。
最近はコレステロールなどの検査値も上がってきたため、内科的な治療も開始。
「健康長寿の秘訣は骨と血管にあります。それを守ってきた女性ホルモンが分泌されなくなるのですから、一生涯、ほかの方法でサポートし続けることが大切です。今のつらさをとることに加え、30年後も元気でいるために必要なケアを考えましょう」(清田さん)

03 更年期世代のしつこい“冷え”は、養生ケアと漢方が頼りになる

“冷え”は更年期に多い症状。手足は冷えるのに、顔がほてるという“冷えのぼせ”を感じる人もいます。養生は「冷やさない」「温める」の2本柱で。
「私は、冷え性対策で夏も冬も黒のパンツ、冬はハイネック。クリニックの建て替えのときに真っ先に新設したのが床暖房で、女性の患者さんやスタッフに大変喜ばれました。冷たい飲み物を控え、できるだけ温かいものを口にします。特に冬は、体を温める食材をメニューに加えるといいでしょう。冬野菜である根菜、ネギ類、生姜をたっぷり使った鍋は有効です。また、基本ですが、面倒でも必ず湯船につかり、しっかり温まる習慣をつけて」(清田さん)

更年期の“冷え”によく使われる漢方薬
「養生がうまくいけば漢方はいりません。それでも冷えるときは漢方を使います」と清田さん。
更年期世代の冷えは、むくみ、貧血、血のめぐりの悪さのすべてが絡み合っています。重点をどこにおくかで、使用する漢方薬が変わってきます。
●当帰芍薬散:むくみ、冷え、貧血に効果的
●加味逍遥散:血や気の流れをよくして冷えをとる
●当帰四逆加呉茱萸生姜湯:しもやけなど、足の冷えに効果的
●補中益気湯:新陳代謝が低下して全身が冷えるタイプに

04 忙しい人でも毎日20分のサーキットトレーニングを

「更年期は親の介護なども重なって忙しい女性が多いのですが、ひと駅歩くなど、一日20分程度でいいから体を動かす時間を確保して」(清田さん)。
清田さんのお勧めは『サーキットトレーニング』。
「筋トレと有酸素運動の両方を行うので効率がよく、20~30分程度の短時間で可能です。定額制のジムなどに通うと挫折しないかも。ひとつ何かを始めると健康志向が強まり、食事にも気をつけるようになるなど連鎖反応が始まるもの。一歩踏み出せば、生活習慣は変えられます」(清田さん)

05 大豆食品は、おとな世代のベストパートナー

大豆に含まれているイソフラボンは、女性ホルモンに似た作用を持っていて、骨密度の維持や更年期症状の軽減などに役立つといわれています。
「大豆は、イソフラボンをはじめ、細胞膜の原料となるレシチン、善玉菌を増やすオリゴ糖、血圧に働きかける大豆ペプチドなどを含み、食物繊維やタンパク質もとれる優秀食材です。日本人は、カルシウム摂取量は少ないけれど骨の強度は強いといわれていますが、これも大豆消費国だからこその強みだと思います。日本女性のお助け食材、大豆の力を食生活にふんだんに取り入れてください」(清田さん)

作れない人もいるって知っていましたか!?注目成分「エクオール」
最近の研究で、大豆イソフラボンがよく効く人とそうでない人がいることがわかってきました。大豆イソフラボンの一種ダイゼインが、特殊な腸内細菌によって「エクオール」という物質に変わり、それが女性ホルモンに似た健康パワーの源となっていたのです。エクオールを作れる人は腸内にエクオール産生菌を持つ人のみ、50代の日本女性の2人に1人は作れないそう。サプリメントで補給するという方法があるので、作れない人はもちろん、大豆を毎日食べられないときにも活用してみては。
■Profile
清田真由美さん
春日クリニック院長 内科医・漢方専門医・女性ヘルスケア専門医
2003年、熊本初の女性外来を設置。更年期世代に向けたカウンセリングや講演活動にも力を入れ、かかりつけ医として患者とともに歩む医療を実践。

 

 

『おとなスタイル』Vol.6 2017冬号より

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