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更年期は通過点、寝たきりというエンディングをなくすには [おとなスタイル]

2017年05月16日(火) 09時00分配信

一口で更年期医療といっても多様。 実感したのは、ひとつに決めず、選択肢を広げること。

更年期って、どんな変化が起こるの? これからどうなるの? という疑問や不安は多くの方が抱えているかと思います。治療や相談にのってくれる医師もまた更年期を経験しています。今回は、内科医 清田真由美先生に、どんな治療法を選んだのかを伺いました。

さまざまなトラブルがあったからこそ、 女性ホルモンの大切さに早くから気づけた。

更年期医療は、カウンセリングに時間がかかる、薬価が安いなどの理由から、扱う医療機関が十分に広がらないという問題を抱えています。そんななか、内科医として、更年期医療に積極的に取り組んできた清田真由美さん。

「医師になりたてのころ、寝たきりの高齢患者のほとんどが女性という現実に衝撃を受け、女性には早いうちからの予防医療が必要という思いが強くなりました。エストロゲンが減少し、老化のスイッチが入るのが更年期。心身のトータルケアを始めるのに、更年期ほど大事な時期はないと思っています」

清田さん自身は、30代後半から、子宮筋腫と子宮内膜症による過多月経、貧血などに悩み、41歳で子宮全摘手術(外科的閉経)を決断。

「卵巣は残しましたが、手術の影響から女性ホルモンの分泌は減ると聞いていました。しばらくしてから、やはり更年期症状が出現。イラつきが出て感情のコントロールが難しくなりました。それに加え閉経後は、自覚症状はなくても骨量がどんどん減っていきます。更年期症状対策と骨粗鬆症(こつそしょうしょう)※1の予防も兼ねて、43歳からはホルモン補充療法(HRT)を開始しました。気持ちも安定して元気が出たのは確か。肌や髪がしっかりしてくる実感もありました」

これを機に更年期医療の最新情報を学びたいと考えた清田さん。女性医療や更年期の学会に入り、全国を回って勉強会に参加。クリニックでは、更年期世代の患者さんと情報交換をする『おりひめの会』をスタートさせた。

「内科医として思うのは、更年期は通過点で、その先に起こり得る寝たきりというエンディングをなくすことが重要。更年期医療は、更年期の症状をとるのが半分、あと半分はこの先30年をどうしたら健康に生きられるか、その有効な対策を伝えたいのです。おりひめの会も17年目を迎え、最近は定員を超えています。関心度が増していることは、うれしいことですね」

清田さんは漢方専門医でもあるので、ホットフラッシュが強いときにはHRTを使い、漢方も併用※2しながら体調管理を続けている。50歳からは、骨粗鬆症治療薬のSERM※3も活用。

「選択肢はいろいろあります。更年期や女性医療に詳しい医師に出会うことも大事。そして何より患者さん自身が賢くなることです。正しい情報を得る努力をして自ら選択することができると、ケアの満足度が違ってきます。私は早めに手を打ったのが功を奏しました。骨量は現状維持。忙しいけれど、元気に仕事をこなせています」
【biography】

40歳 子宮筋腫と子宮内膜症による過多月経、貧血、頻尿などに悩まされる

41歳 子宮腺筋症の手術を受ける決意をする

43歳 イライラ、気分の乱れが出はじめる。HRT(貼り薬)と漢方で症状をコントロール

40代後半 骨粗鬆症の家族歴をカバーするため、HRTとビタミンDを併用し予防につとめる

50歳~ 週6日は診療、週末は月に2回は出張をこなす忙しい日々をおくっている

1:骨粗鬆症
骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気。閉経後の女性に多いのは、加齢や生活習慣の影響に加え、エストロゲン分泌低下が骨量減少に関係しているから。

2:HRTと漢方療法
更年期症状の治療にはHRTや漢方がよく使われる。疲れやすさ、気力の落ち込み、食欲不振、冷えなどを和らげるのは漢方の得意分野。HRTと併用もできる。

3:SERM(サーム)
骨粗鬆症治療薬のひとつ。エストロゲンと似た働きがあり、骨密度を増加。子宮や乳房にはエストロゲンの影響を与えず、骨にのみ作用するのが特徴。

 

■Profile
清田真由美さん
春日クリニック院長 内科医・漢方専門医・女性ヘルスケア専門医
2003年、熊本初の女性外来を設置。更年期世代に向けたカウンセリングや講演活動にも力を入れ、かかりつけ医として患者とともに歩む医療を実践。

 

『おとなスタイル』Vol.6 2017冬号より
イラスト/村田善子

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