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「自分の声が嫌いだった」星野源が語った意外な本音 [FRaU]

2017年04月24日(月) 17時00分配信

Photo:Sasu Tei(W)

昨年放送されて大ブームとなったドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で俳優としてミュージシャンとしてさらなる注目を浴びた星野源。文筆家としても活躍する多才な彼が、映画『夜は短し歩けよ乙女』でアニメ声優として単独初主演を飾った。この作品についてのインタビューで語った仕事や恋愛のスタイル、そして声についての意外な思いとは?

音楽、役者、文章を書くこと。 その3つをやれるのはとてもありがたい

昨年のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』をきっかけに、星野源という人が持つ底知れない魅力にあらためて触れた人も多いのではないだろうか。彼が歌う主題歌『恋』とともに “恋ダンス” は大ブームになった。

俳優、音楽家、そしてもうひとつの顔が文筆家。日常のなかにおかしみときらめきを発見するオリジナリティあふれる文章のファンも多い。その多才さを何かの鋳型にあてはめて語ることは不可能で、もはや “星野源というジャンル” と呼びたくなるほどだ。まさに自身のエッセイのタイトルさながら、今、最も『働く男』である。

社会現象ともいえる “逃げ恥” を経た今、星野さん自身のなかで肩書に関する思いに変化は芽生えているのだろうか。
今一番思っているのは、 穏やかな気持ちでいたいなっていうこと

Photo:Sasu Tei(W)

今一番思っているのは、 穏やかな気持ちでいたいなっていうこと

「あれもやりたいこれもやりたいという感じで、色んなことに手を出す人だと思われているかもしれないですよね。でも僕としては昔から好きで続けていることが仕事になっているという感覚なんです。音楽、役者、文章を書くこと。その3つをやれるのはとてもありがたいですし、むやみに仕事をするのではなく、それぞれを大事にしたいと思っています。

そして今一番思っているのは、穏やかな気持ちでいたいなっていうことですね(笑)。適度に休みつつ、でも僕にはだらしないところもあるので、適度に仕事もあったほうがちゃんと生きられるんですよね」
2012年にくも膜下出血で活動を休止するという経験をしているからだろうか。スローダウンすることの大切さも感じ、「前みたいに仕事を詰め込まないようにしながら、今できることとひとつひとつ向き合っていきたい」という思いを抱くようになったという星野さん。

それでも挑んでみたいと心動かされる仕事との出会いは、ふいに訪れる。『夜は短し歩けよ乙女』の声優への挑戦は、『マインド・ゲーム』などで知られるアニメーション作家、湯浅政明監督が綴った、一通の手紙からはじまった。
「声優は俳優のなかに含まれている仕事だという考え方もできると思うのですが、僕にとってやり慣れている仕事ではありませんし、ハードルが高く感じられて最初は迷っていたんです。なぜ僕にお話をくださったんだろうと思っていたときに、監督から直筆のお手紙が届いて。“星野さんにやってもらえたら、絶対に面白くなります” というお手紙を読んで、監督を信じて頑張ってみたいなという気持ちで受けさせていただきました」
実はもともと湯浅監督の大ファンで、『マインド・ゲーム』を観たときには「イマジネーションの豊かさと、アニメーションならではの快感があった」と語る。

森見登美彦のベストセラー小説を映画化した『夜は短し歩けよ乙女』も、一夜のマジカルな出来事が流れるように描かれた作品だ。星野さんにとってアニメの声優の仕事は『聖☆おにいさん』以来となる。
「とても楽しかったです。今回はほとんどの声優さんが、ひとりで収録する形だったんですね。3日間ほど時間をいただいて、ブースのなかには僕ひとりしかいませんでしたが、スタッフのみなさんがすごく優しくて、一緒にキャラクターを作ってくれた感覚があります。もっとやりたいという僕の気持ちに最後まで付き合ってくださって、6~7時間ずっと絶叫しっぱなしということもありました(笑)」
自分の声は嫌いでした。 でも喜んでくれる人が増えて 今ではわりと好きです

Photo:Sasu Tei(W)

自分の声は嫌いでした。 でも喜んでくれる人が増えて 今ではわりと好きです

アフレコをする段階ですでに入っていたほかの声優たちの声を聞いて、「自分もこの世界のなかでちゃんと生きて、頑張らなきゃという気持ちになりました。声の力ってすごいなと、あらためて思った」と語る。そして意外なことに、10代の頃からずっと、自分の声を好きになれずにいたのだという。

「中学生時代に曲作りをはじめた頃、最初はギターを覚えるためにヒット曲のコードを覚えて歌いながら練習していたんですね。それは楽しくやっていたんですけど、作った曲を確認するためにラジカセで録音した自分の声を最初に聞いたとき、すごく絶望したんですよ。

おのれがしゃべっている声をそのままではなくて客観的に聞くと、こんな感じなんだとびっくりしました。何だこのバームクーヘンを食べたあとのような、口のなかに水分がないもさもさした声は、って(笑)。

それで僕には歌は無理だ、好きだけど歌うことは趣味にしようと思ってインストゥルメンタルバンドSAKEROCKを組んだんです。そんなこともあってずっと自分の声は苦手だったのですが、その後、役者の仕事をしたり、’10年に歌でデビューしたりして、CDやライブ盤DVDを作ったりするうちに、慣れてきたっていうのもあるんでしょうね。何より喜んでくれる人も増えたのでいい気分になって、今は自分でもわりと好きです(笑)。

最初はすごく嫌いだったんですけど、みんなが好きだと言ってくれるならいいやという感じで、だんだん自分も嫌じゃなくなってきたんですね。コンプレックスって意外と自分のなかだけのものなんだな、と思います」

 

※FRaU 2017年5月号より一部抜粋

PROFILE

1981年、埼玉県生まれ。00年にインストゥルメンタルバンドSAKEROCKを結成し、’10年にアルバム『ばかのうた』でソロデビュー。俳優としての出演作にドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』など。MV集『MusicVideo Tour 2010-2017』が5月17日にリリースされる。5月21日からLIVE TOUR 2017『Continues』がスタート。

【INFORMATION】

『夜は短し歩けよ乙女』後輩の “黒髪の乙女” に思いを寄せる、恋に臆病な “先輩”。なるべく彼女の目にとまるように行動する、ナカメ作戦を決行するが……。森見登美彦のベストセラー小説を、『四畳半神話体系』などで知られる湯浅政明監督が長編アニメーション化。京都のマジカルな一夜を描く青春ラブストーリー。4月7日より全国公開中。

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