• > 『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』この結末は幸せか不幸か? [with]

『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』この結末は幸せか不幸か? [with]

2017年04月01日(土) 15時00分配信

(C) 2015 / Les Productions Du Trésor - STUDIOCANAL - France 2 Cinéma - Les Films de Batna - Arches Films - 120 Films – All Righ

『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』は、ヒロインのトニーと遊び人ジョルジオと出会い、恋人となって結婚し、離婚したその後までを描いた物語。ジョルジオは典型的なイケメンというわけではありませんが、やんちゃで悪びれず、茶目っ気とサービス精神がたっぷり、優しいのにどこか強引で、そのうえ金離れのいいお金持ちという典型的なモテ男です。ふたりはお互いに「こんなに楽しい相手がいるのか」と思うくらい盛り上がって恋に落ちますが、結婚を境にその関係に暗雲がたちこめます。

(C) 2015 / Les Productions Du Trésor - STUDIOCANAL - France 2 Cinéma - Les Films de Batna - Arches Films - 120 Films – All Righ

特にトニーを悩ますのは、超美人の有名モデルで精神状態が不安定という最悪の「元カノ」で、「俺は彼女にとって兄で母親」とのたまうジョルジオは、彼女が何か事を起こせば夜中でも出かけてゆきます。恋人/妻としては完全にありえない展開で、当然ながらトニーは激怒してジョルジオを罵り、暴れ、泣き叫び――なのに完全に別れることができません。

(C) 2015 / Les Productions Du Trésor - STUDIOCANAL - France 2 Cinéma - Les Films de Batna - Arches Films - 120 Films – All Righ

映画のタイトル「モン・ロワ」は、「私の王様」という意味です。実はジョルジオは学生時代にトニーがアルバイトしていたクラブの常連客で、彼女は当時からずーっと彼のことが好きだったのです。以来、彼女にとってジョルジオは、どんなにひどいことをされても憎むことができない「私の王様」。でもそれはトニーが惚れすぎているからという理由だけではありません。精神不安定な「元カノ」の姿が次第にトニーに重なっていくことからもわかるように、そもそもジョルジオはそういう男なんですね。ジョルジオは「何をやっても許せてしまう男」でなく「許せないことばっかりするのに憎めない男」なんです。
そんな現状を打破すべくジョルジオから離れ、リハビリの末に「もう大丈夫」と自信を取り戻し、再会してまたハマり……と繰り返される約10年の愛憎、その末に迎えたラストシーンのトニーは、さて幸せなのか不幸なのか。不幸に決まってる――と必ずしも言い切れないところが、恋愛の哲学的難問といえるかもしれません。

 

『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』 YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開中

 

文/渥美志保

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る