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直木賞作家・恩田陸さんが、「絶対にしておいたほうがいい」と勧めることとは? [with]

2017年03月21日(火) 20時00分配信

「直木賞受賞の感想は、ほっとしたというのが一番です。もう関係者と受賞発表を待つ〝待ち会〞をしなくていいんだ、と。だって落選の報が入ったときの居たたまれなさといったら……」そう語るのは、人気作家の恩田陸さん。

撮影/蓮見徹

人の考えを追体験できるものは読書しかないと思うんです

この1月、ピアノコンクールの模様を瑞々しい表現で描いた『蜜蜂と遠雷』で直木賞を受賞した。音楽小説というと、そこにまつわる人生ドラマをイメージするが、この作品はただただコンクールの模様のみを描いている。それ以外のシーンは皆無といっていいほどだが、コンテスタントたちの〝聞こえない演奏〞に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなくなってしまう、そんな圧倒的な表現力を誇る作品だ。

「音楽を題材にした青春小説でも恋愛小説でもなく、演奏に特化したものを書きたかったんです。でも書き始めて何回も後悔しましたね。コンクールが進むにつれ、演奏シーンの描写バリエーションがなくなって……。結果的に完成するまで12年の歳月がかかってしまいましたが、それだけに特別思い入れの強い作品になりました」

今や多くの作品が映像化されるなど人気の恩田さんだが、デビューしてから7年はずっとOLとの兼業だった。その会社員時代にやってきたことで、今一番生きていることは何か、伺ってみた。
「月並みですが、読書はお勧めします。というのも、自分の考えの範囲なんて限界があるから。人の考えを追体験できる読書は絶対しておいたほうがいいと思うんです。だから仕事が忙しくて本があまり読めないときはストレスでしたね。あと、茶道もお勧めです。私は会社員時代に少し習っていたんですけど、茶道って日本の文化と教養が詰め込まれているんです。器、絵、花、作法、そして気持ちの整え方まで。とてもお得な習い事だと思うんですよ(笑)。実際に今も、食事会での所作とか、いろいろな場面で生きていますね」

 

PROFILE
1964年生まれ。大学卒業後、生命保険会社勤務を経て書き上げた『六番目の小夜子』(新潮文庫)でデビュー。ファンタジーから青春小説、ミステリーまで幅広いジャンルの作品を手がける。代表作は本屋大賞を受賞した『夜のピクニック』、山本周五郎賞を受賞した『中庭の出来事』(ともに新潮文庫)など。最新作は『八月は冷たい城』、『七月に流れる花』(講談社)。

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