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孤独感、頑固になった…その思考“脳内の衰え”が原因かも!? [おとなスタイル]

2017年03月16日(木) 09時00分配信

ご機嫌脳に変える4つのトリセツ

上手にご機嫌脳に変えていきましょう。

ご機嫌脳に変える4つのトリセツ

最近、頑固になった、やる気が出ない、他人と比較して羨ましく思ったり、落ち込みがちだったり。見えない孤独感がつきまとう…。
そんなとき、私たちの脳内ではどんなことが起きているのでしょう?
なかなか自分の思い通りにいかない思考と、上手く付き合っていくために、脳科学者の中野信子さんに“ご機嫌脳”に変えるヒントを教えていただきました。

1:頑固になり、自分の考えを譲らないようになってきました。

許容範囲が狭まってきて、我を張ることが増えてきた。そう実感している人も多いのでは?
「これはあきらかに前頭葉機能の衰えです。前頭葉の機能が衰えてくると、相手の立場に立って考えることが難しくなってきます。そうすると物事を相対化したり、共感したりすることができなくなる。“自分の考えが一番”と思うようになるんですね。
こんなときには、マインドフルネスが役に立ちます」
頑固になっている自分を、斜め上あたりから眺めている自分をつくる。
「この視点こそが前頭前野(1)にあって、人間が自分をコントロールするときに役立つ機能のひとつなのです。意識してマインドフルネスを繰り返すことで、前頭葉機能はとても鍛えられます」
前頭前野は一番可塑性(柔軟性)が高いところなので、クセにしていけば、たいていは1ヵ月程度で身につくそうだ。

(1)【前頭前野】
脳にある前頭葉の前側の領域。記憶や創造、コミュニケーション能力などに関わっている。脳で、加齢で最も早く機能低下が起こる部位のひとつ。

2:やる気が出ません。諦めも早くなってきたようです。

「歳を重ねると、身体の衰えとともにドーパミン(2)という神経伝達物質が出にくくなります。それによりさまざまな意欲も低下するのだと思います」
ドーパミンとは、前頭前野を興奮させ、意欲的にさせる神経伝達物質。分泌されにくくなると、これまでのように物事に集中したり、好きなものにハマったり、がむしゃらに何かに向かうということがしにくくなる。小説が読み切れなくなったり、映画に最後まで熱中できないのもこれが原因かも。
「歳とともにやる気が低下してくるのは、しかたのないことかもしれません。むしろ体力は落ちているのに、やる気だけが高いままだと、アクセルを踏み込みすぎ、突然死の危険も増えます。無理にがんばる必要はないのです。
ドーパミンが低下したという自分の脳の状態を妥当な変化として受け入れる。
シビアですが、自分の状態を知るのも、機嫌のいい脳を維持するには重要です」

(2)【ドーパミン】
脳の神経伝達物質の一種。「快楽物質」とも呼ばれ、恋愛が始まる頃のドキドキ感や大きな仕事を成し遂げた高揚感もドーパミンがもたらす。

3:同世代の女性と比べて、羨んだり、落ち込んだりしがちです。

「50代のFacebook利用率も高いですからね。人と自分を比べて……といいますが、人間はその機能があるから進化してきた生物です。でも心乱されたなら、そのときこそマインドフルネスのいい機会。“私はこういう刺激に心が乱れるんだな”、“羨んでもしかたがないのに落ち込むものだな”と認知するだけでいいんです。その先に思いがけず、“私は○○に執着があったんだ”と気づくことも。またその蓄積が新しいアクションになることもあるし、自分を育てていく礎(いしずえ)にもなるのです」
過度な嫉妬で心が乱れたら、孫やペットなど無条件にかわいいものを愛でたり、写真鑑賞などしては、と中野さん。「愛でることで、オキシトシン(3)と呼ばれる物質が出て、心が落ち着くはずです。けれども、このオキシトシンもあまり過剰になりすぎると逆に、束縛や嫉妬を増長させることがあるので、ほどほどに愛でることが大事ですね」

(3)【オキシトシン】
「愛情ホルモン」とも呼ばれている脳内ホルモンのひとつ。母親が出産したり、母乳を与えたりするときにも大量に分泌される。犬や猫をなでる行為も分泌を促す。

4:ふと襲ってくる孤独感、寂寥感。どう向き合えばいい?

「50代になると、孤独感や寂寥感が強くなります。どうにかして寂しさを埋めようと、子供や夫の行動に口を出したり、一方的に同意を求めたりするようになります。ですが、ほぼ思い通りになりません。かえって『見捨てられている』と、逆効果になりがちですね」
実はこの孤独感や寂寥感は、加齢によるセロトニン(4)機能の低下が原因。
「セロトニンは女性ホルモンと連動しているので、閉経とともに、セロトニン神経の機能も落ちることが考えられます。本当は孤独じゃないのに、脳が勝手に判断してしまうのです。
孤独感にはお風呂や温泉がオススメです。セロトニン分泌を促すからです。落ち込んだ気分を瞬間的に切り替えたいときには、甘いものもセロトニン分泌に有効です。ただし、大量に摂ると逆効果。とっておきを少量がいいでしょう。こうして自分でできる楽しみを増やすのが脳をご機嫌にする近道です」

(4)【セロトニン】
人間の脳で「やる気」や「安心感」の源になるといわれている神経伝達物質。原料のトリプトファンは体内でつくることができず、食物から摂るしかない。

 

 

■Profile
中野信子
なかの のぶこ
脳科学者、医学博士。1975年、東京都生まれ。横浜市立大学客員准教授、東日本国際大学教授。脳や心理学をテーマに研究・執筆活動を行っている。『生きるのが楽しくなる脳に効く言葉』(セブン&アイ出版)など著書多数。

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