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舞台裏で活躍するクリエイターの“発想の秘訣” [おとなスタイル]

2017年02月14日(火) 09時00分配信

舞台はこうして作られる! 『遊侠 沓掛時次郎』の場合

アイデアを具現化した50分の1のセット模型。

舞台はこうして作られる! 『遊侠 沓掛時次郎』の場合

ひとつの空間の中でシーンに合わせて場所や空気が変化していく舞台。
物語の世界にどっぷりと浸り、より深くストーリーを楽しむことができるのは役者の能力はもちろんありますが、今回は、ひとりひとりの役者をより引き立ててくれている舞台セットに焦点をあててみました。
舞台に関わる気鋭のクリエイターの制作プロセス。その発想の源は、いったいどんなところからくるのでしょう。

北村想とシス・カンパニーが発表する、オリジナル戯曲シリーズ『日本文学シアター』で昨年上演された『遊侠 沓掛時次郎』で舞台セットを製作した舞台美術家・松井るみさんにお伺いしました。
絶対無理! を実現することで、思いもかけない世界が広がる

50分の1のセット模型は、ドールハウスのように精巧で緻密。メイン舞台として三間四方の床があり、ここが芝居の舞台と居住空間になる。中央のカラフルなパッチワークの幕は、一座の定式幕。ト書きではシーツだが、褌や古着の着物、のぼり旗を縫い合わせる予定だ。

絶対無理! を実現することで、思いもかけない世界が広がる

今回は演出の寺十吾(じつなしさとる)さんから高橋洋子さん主演の映画『旅の重さ』を観てほしいと方向性が提示され、映画を元に、旅回りの一座の暮らしや芝居の雰囲気を再現しました。
見どころは、現実と空想の世界が交錯して空間が広がるラストシーン。舞台転換も役者が座員の一人としてセットを動かし、動き自体がお芝居になっています。

意外性のあるセットを作るには、普通なら動かないものを動かしたり、身の回りの小さなものを拡大したり。無理なことをアイディアや技術を駆使して可能にする。発想の転換がお客様を驚かせる秘訣です。

劇場入りして模型が50倍になり、照明、音響、役者さんが加わり、初日にお客様が入って初めて完成です。無事に初日が終わり、カーテンコールで拍手をいただく瞬間が一番幸せ。苦労を忘れてしまいますね。
■Profile
松井るみさん [舞台美術家]
まつい・るみ
2004年『太平洋序曲』にてブロードウェイデビュー、同作でトニー賞ノミネート。’07年OISTATより“ 世界の最も名誉ある舞台デザイナー12人” に選出される。演劇、オペラなど多くの舞台作品で活躍。

 

『おとなスタイル』Vol.5 2016秋号より
(撮影/三木麻奈)

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