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社会学者 古市憲寿の人生相談「アメリカ大統領選がトランプに……! これから大丈夫なの?」 [with] 

2017年01月30日(月) 20時00分配信

歯に衣を着せぬ物言いで話題の古市さんは、社会学者&ニュース番組にも出演する気鋭の論客。大好評につき、今回も迷える読者と直接、対面! ズバッとアドバイスしてもらいます!
「アメリカ大統領選、トランプに決定......。 今後が漠然と不安です。」

イラスト/死後くん

「アメリカ大統領選、トランプに決定......。 今後が漠然と不安です。」

米大統領がトランプに決まってなんだか不安です。だってニュースを見ると女性を蔑視してるっぽいし。今後の日本はどうなっちゃうの?(生命保険事務・K子さん・27歳)

よく分からない時は‟楽観”して

古市(以下・古)決まったね、トランプに。どんな不安があるの?
K子さん(以下・K)選挙期間中、「(自分が)スターなら女はヤラせる」 「女は35歳まで」とか、女性のことを蔑視する人っていうニュースを耳にして。この人が大統領になって大丈夫?って、漠然と不安で。
気持ちは分かるけど、K子さん、アメリカ国籍を持ってるわけじゃないんだよね? だったら、そんなにすぐに影響は及ばないと思うよ。
Kさんえー、でも日本とアメリカって仲がいいんですよね? 不安になるの、普通じゃないですか?
古市アメリカに住んでる女性にとっては、いろいろ憂慮すべきことのある人だと思うけど、K子さんは日本在住なわけだし。そもそもトランプになる・ならない以前に、男女平等の面で日本のほうがよっぽどアメリ カよりも遅れている現実は知ってる? 例えば日本では、結婚した時に苗字をどちらかに合わせるよね。大抵の場合、男性に合わせるケースが多い。免許証やパスポートも、名前を変えるのってとんでもなく手間隙がかかる。世界的にも同姓を強制する国は珍しくて、たびたび国連からも是正勧告を受けてる。こんな例ひとつとっても、日本って女性にとって制度的に不利な国なんだよね。
Kさんえっ、夫婦同姓って普通じゃないの!? 全然知りませんでした!
古市女性差別は数値をみても明らか。ジェンダー・ギャップ指数(※)っていう 国ごとの男女格差を示す指数があるんだけど、日本は世界144カ国中111位。先進国の中では最低水準で、発展途上国にも負けてる。特に女性の国会議員や官僚、企業の管理 職に女性が少ない。客観的にみると、日本のほうが女性差別が深刻な国なんだよね。確かにトランプは女性を蔑視するような発言が多いかもしれないけど、それをいうなら日本の政治家もひどい。まずは、自分たちの国の旧態依然とした男女格差に問題意識を持ったほうがいいと思うよ。
Kさんそうだったんですね......。でも 逆に、今度は日本に対して漠然とした不安がでてきちゃいました......。
古市そういう読者の女の子は確かに多いかもね。もし、漠然とした不安を抱えてしまって、その不安の正体が見えづらい時は〝楽観〞するのがベストだと思う。未来が明るくなるか・暗くなるかって、どちらも〝予測〞であって確たる証拠はない。確たる証拠がないことに関する、不安なんて実はムダ。だったら、こういう時は楽観的に考えたほうが得なんだよね。それに、トランプに関していえば、そもそも日本に興味のない人なので、すぐ劇的に何かが変わるっていうことはまずないと思うよ。長期的に、日本にいるアメリカ軍に対して日本が払うお金が増えることはあるかもしれないけど。ともあれ、国のことであれ身の回りのことであれ、もっと〝楽観的〞になったほうが人生は確実にいい方向にいくものだよ。

※ジェンダー・ギャップ指数 別名、男女平等ランキング。世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表。経済活動や政治への参画度、教育水準、出生率や健康寿命などから算出。今、女性が活躍できる社会づくりが世界で求められている。

古市憲寿
’85年東京都生まれ。社会学者。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)などで注目される。近著の『保育園義務教育化』(小学館)では、女性が置かれた理不尽な状況を描き、その解決策を示す。
2017年with2月号より

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