• > 小説家・原田マハ『暗幕のゲルニカ』創作の舞台裏 [おとなスタイル]

小説家・原田マハ『暗幕のゲルニカ』創作の舞台裏 [おとなスタイル]

2017年01月26日(木) 18時20分配信

小説家・原田マハさん

MoMAで働いていた経験を活かし、彼女ならではの表現が魅力的な小説家・原田マハさん。そんな原田さんの作品はどうやって生まれてくるのか、創作活動の舞台裏を拝見させていただきました。

すべての体験は小説のためだった

「ピカソの作品は10歳の頃から追いかけてきて……あ、この話を始めると、長くなっちゃうな」

そう言って笑う小説家、原田マハさん。先頃直木賞にもノミネートされた『暗幕のゲルニカ』で、ついに敬愛する巨匠と向き合った。故郷を空爆されたことへの悲憤から生まれた革命的作品『ゲルニカ』と、それを巡り21世紀に起こった実際の出来事を題材にした、壮大な一作である。

「9・11のあと、国連でイラク空爆もやむなしというスピーチがなされたとき、背景にあった『ゲルニカ』のタペストリーが隠されていた。作られてから70年近く経つのに作品のメッセージはこれほどまでに強いのだと、アートの力を実感しましたね」

作品誕生の瞬間の躍動。アートの背景に在る人々の文化的、政治的駆け引きの緊張感。これらは、かつてMoMAに勤務したこともある原田さんだから再現できるリアリティー。

「私もワクワクしながら書きました。キュレーター時代、『自分はどうしてこんな経験をするんだろう』と思っていましたが、いつかこうやって小説にするためだったんだな、と」

ピカソをもっと知りたくなる。本物の『ゲルニカ』を観たくなる。小説は「よき入り口であり、出口であってほしい」と原田さんは言う。

「読んだ方の次のアクションに繋がることが、いちばんうれしい。そんな創作を、続けていきたいんです」

『暗幕のゲルニカ』

アメリカ同時多発テロで夫を亡くした日本人キュレーター。『ゲルニカ』誕生を目撃したピカソの愛人。女たちの愛と葛藤が世紀を超えてシンクロする、華麗なアートエンタテインメント。作家が「この1行に向かって書いた」と言う衝撃のラストシーンに、心が震える。新潮社
“シンプル”をテーマにした、原田マハさんがおすすめする一冊

『向田邦子おしゃれの流儀』

“シンプル”をテーマにした、原田マハさんがおすすめする一冊

「向田さんは自分の価値観を持ち、やりたいことがはっきりしていた人。憧れます」と原田さん。スタイリッシュな生活と人生が詰まった一冊。新潮社とんぼの本
原田マハさん[ 作家]
はらだ・まは
1962年東京都生まれ。商社、美術館勤務を経て2006年にデビュー。ルソーの絵をモチーフにしたアートミステリ『楽園のカンヴァス』ほか、『ジヴェルニーの食卓』『異衣邦人(いりびと)』など作品多数。

『おとなスタイル』Vol.5 2016秋号より
(撮影/森本洋輔)

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る