• > 吉本ばなな「自分らしいライフスタイルの見つけ方」のヒント [おとなスタイル]

吉本ばなな「自分らしいライフスタイルの見つけ方」のヒント [おとなスタイル]

2017年01月06日(金) 18時00分配信

「パックツアーの人生」か、「個人旅行の人生」か? 自分にとっての快適さ、ライフスタイルの見つけ方は、 そこにヒントがあるはず

吉本ばななさんが50代で決断した快適な人生の見つけ方とは。おとなが人生をシンプルに、気持ちよく、自由に生きるためのヒントが満載です。

 

50歳で持ち物を見直し、改めて“自分と向き王ことに時間とお金をかけた気がします”と語る作家・吉本ばななさん。
そんなライフスタイルの見直しをするときに、ばななさんが大切にしたのはどんなことですか?

お金と時間を自覚的に使うよう心がける

「自覚的なお金の使い方をしよう!ということでした。何かを欲しいと思ったら、自分の払ったお金はどこにいくのか、大きな経済の仕組みの中で考えていくと、自分の使いたくないところには使わなくなっていきます。それを続けていくと、自分のスタイルってだんだん決まってくると思うんですよ」

たとえば旅行で考えてみると。「パックツアーなら自分で何も決めなくても、予定は埋まっているし、毎日も過ぎていきますよね。ツアーでないと行けない場所もあるから、それはそれでいいのですが。でも私は、決まったお店に買い物に行かなくてはいけない時間とか、現地には着いたけれどチェックインできない空き時間とか、すべてを任せたことでできてしまう時間のムダが『もう嫌だ』とはっきり思うようになったんです。

もし、日常全体がパックツアーのようになっていて、それを嫌だなと思ったら個人旅行の人生に変えればいい。そう思えば、ライフスタイルは絶対に確立できると思います」

確かにこの世代になると、お金とともに時間もどんどん大切なものになっていく。
「40代半ばのときだったかな。当時50代の車好きの友人が『自分の人生であと何台車に乗れるんだろう』と言い出して。私も『今から家を建てたら何年住めるんだろう』と考え始めました。

自分の年齢には限りがあると意識してからは、『もう無駄な時間は嫌だ』と強く思うようになりましたね。プライベートでも単なる社交で会う人には、時間を割かないように気をつけています」

そして限られた時間だからこそ駆け抜けるのではなく、ばななさんが目指しているのはむしろ逆。

以前、バリの田舎にあるヴィラに泊まったときのこと。朝、ホテルのスタッフが、おしゃべりしながらほうきでロビーを掃いていた。働いていないわけではない。サボっているわけではない。その様子にすごく惹かれたばななさんは、自然の中で違和感のないそのスピードを「神様のテンポ」と表現した。「『ま、いいか』と、適度な抜けがある感じ(笑)。東京にはそういうのがなさすぎるから、これは忘れたくない。たまに意識して取り戻したいなと思いますね」
■Profile
よしもとばなな
1964年、東京都生まれ。’87年『キッチン』でデビュー。以降『うたかた/サンクチュアリ』『TUGUMI』『アムリタ』などで数々の文学賞を受賞。作品は30ヵ国以上で翻訳・出版されている。近著に『イヤシノウタ』(新潮社)など。『白河夜船』の映画化(若木信吾監督)も話題に。noteにてメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」を配信中。現在、夫と息子、犬2匹、猫2匹、亀、メダカたちと暮らしている。

 

『おとなスタイル』Vol.5 2016秋号より
(撮影/若木信吾)

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る