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ドラマ「逃げ恥」が話題! 石田ゆり子の考える結婚とは? [FRaU]

2016年11月22日(火) 21時00分配信

まず、声がいい。このテキストを読むとき、彼女のコメントの部分は、ぜひあの澄んだ、涼やかな声で脳内再生してほしい。もちろん、姿もいい。心の深部と表情が直結したような、嘘のない瞳。無垢と成熟が、最高のバランスで混在している。そこから発せられる言葉は、まるでピアノの独奏のよう。誰とも似ていない、彼女だけの豊かな人生を奏でていく。

Photo:Takashi Honma

こういう人生を私は選んできた


ゆり子さんが、エンターテインメントの世界に足を踏み入れてから、30年の月日が経とうとしている。これまで、映画やドラマや舞台のみならず、声優としても、さまざまな〝女の人生〞を生きてきた。

現在放送中のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系火曜22時〜)では、40代半ばで独身の、美しきキャリア女性を演じている。新垣結衣さん演じるみくりが、家事代行サービスに行った男性・星野源さん演じる津崎と秘密の契約結婚するのをきっかけにして、2人と、それを取り巻く人々の〝結婚観〞〝恋愛観〞〝仕事観〞が浮き彫りになっていくストーリーだ。
「役名が〝百合ちゃん〞っていうんですが、彼女はみくりの伯母なんです。一生懸命に仕事をしていたら、いわゆる〝適齢期〞を逃してしまった女性で……あ、〝逃した〞って言い方はあまり好きじゃないので、〝結婚・出産という選択をしないまま人生を歩んできた女性〞と言っておきますね(笑)。私自身、40代半ばで独身なので、〝百合ちゃん〞とは名前以外にもいろいろ似ているところはあるし、疑問点も特にないし、私が独身だったから、この役のオファーもいただけたんだと思います。

結婚については私自身、ここまで独身できたことを後悔しているわけではなくて、ただ45を過ぎてから、〝こういう人生を私は選んできた〞ということに対する覚悟とか責任みたいなものは、強く感じるようになりました」
ゆり子さん演じる〝百合ちゃん〞も、ドラマの中で迷いながら、もがきながら、自分らしい人生を模索していく。原作の漫画を読むだけでも、〝女の人生に正解はない〞ことを痛感させられる。
「今って、女の人の生き方もすごく多様化していますよね。『結婚して子供を産むのが女の務めだ』って決めてかかる社会の風潮に対して、反発したい女性だって、実は大勢いると思う。40歳を過ぎても結婚していないと、『何であいつは結婚できないんだ?』とか『何か欠陥があるんじゃないか』とか詮索されますし、私も『石田ゆり子はなぜ結婚できないのか?』みたいな記事を何度か目にしたこともあります。そのたびに、『結婚できないわけじゃないの、しないだけなの!』って、ドラマのタイトルみたいなことを叫びたくなったりして……(苦笑)。

私からすれば、結婚という選択をしてもよかったタイミングは何度かあって、でもそこで結婚を決断しなかったってことは、〝その人ではなかった〞ってことなんだろうな、と自分では思ってるんです。事情もよく知らないのに、なぜ『できない』と決めつけるのか。結婚って、しなくてはならないものではないと私は思うし、たとえばパートナーがいても、結婚という形をとらない人たちもいる。人生の選択は人それぞれなのに、メインストリームから外れた生き方を選んでいる人のことを否定したり、悪く言ったりするのって、同じ大人として情けないですよね。他者に対する思いやりや想像力が欠落している気がして、悲しくなります」

Photo:Takashi Honma

姪たちには、
早く結婚することを勧めます(笑)


ゆり子さんは、決して独身主義ではない。むしろ、「いつか誰かの〝奥さん〞になってみたい」とたびたび口にする。

「私、甥っ子と姪っ子から〝りりちゃん〞って呼ばれているんですけど、よく、〝りりちゃん家にはパパがいないの? どうして結婚しないの?〞とか、〝どうしてテレビに出られるの?〞って聞かれるんです(苦笑)。だから、〝りりちゃんはね、自分が生きていくために一生懸命働いているんだよ。頑張って働いて、今は一人で暮らしているんだよ〞って答えるんです。最近は、〝結婚だって、この先するかもしれないよ〞って言ってみたり(笑)。

でも本当に、子供ってよく観てるんですよね。私の家に遊びに来たあと、ウチの母に言うんですって。〝りりちゃんの家には、足で踏むゴミ箱があって、いい匂いがして、ロウソクも何本もあって、コップもキレイだし、いいよね!〞って(笑)。だから、彼女たちが遊びに来るときは、ちょっとキレイなケーキを用意したり、花を飾ったり、一生懸命そのいいイメージを保とうとしています(笑)」
こんなに綺麗で、上品で、優しくて、自立した大人の女性が身近にいたら、〝将来はりりちゃんのようになりたい〞と姪御さんが思ってもなんら不思議ではない。姪御さんたちから憧れられているのでは? と水を向けると、「だめ、私のような生き方は、絶対に勧められません!」と即座に否定されてしまった。

「私は、自分の人生だからいいですけど、もし姪たちに人生について相談されたら、早く結婚することを勧めます。ちょっと大袈裟な話になりますけど、私、人が享受できる最大の幸福というのは、自分がしたことで誰かが喜んでくれることだと思うんです。たとえば、一緒に暮らすパートナーにコーヒーを淹れたら、喜んでくれたとか。料理を作ったら、『おいしい』と言って食べてくれるとか。そういう日常の些細な喜びが、人生がもたらす幸福だと。私は……もうね、そういう意味では行き詰まってます(苦笑)。

一人暮らしは十分満喫したし、ここから先は誰かの役に立ちたいと、今は本気で思っていて。旦那さんや恋人じゃなくても、社会の誰かの役に立ちたい。俳優業だって、喜んでくれる人がいるから、私を必要としてくれる人がいるからやっているのであって、自分が綺麗に映りたいとか、そんなことはどうでもいい。もちろん、綺麗に撮ってもらえれば、有り難いし、幸せですよ。でも、そんな喜びは一瞬で消えていってしまう。

自分のエゴがないところで、自分のしたことを誰かが喜んでくれることのほうが、ずっとずっと価値がある。子供がご飯を食べて大きくなるとか、夜に夫婦喧嘩しても、朝には〝おはよう〞って挨拶をして、また普通の日常が始まるとか、そういう他者と共有する何気ないことが、幸せなんだろうなって。今ここまで一人暮らしを続けてきて、ラクだし幸せだと思う反面、〝他者と共有する喜び〞はないわけで、私もさすがに、人生そろそろ切り替えの時期なんじゃないかって、すごく思うわけです」
※フラウ2016年12月号より一部抜粋

 

PROFILE


石田ゆり子
1969年生まれ。東京都出身。’88年、テレビドラマ『海の群星』(NHK)でデビュー。以後、ドラマ・映画・舞台・執筆活動など多岐にわたり活躍する。映画『北の零年』(05年)で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年の主な出演作は、映画「悼む人」(15年)、『僕だけがいない街』(16年)、ドラマ『MOZU』(14年/TBS)、『コントレール~罪と恋~』(16年 / NHK)。映画『もののけ姫』(97年)、『コクリコ坂から』(11年)などスタジオジブリ作品では声優も務める。現在、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(毎週火曜22時/TBS)に出演中。

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