• > 新しい表現に挑戦!“今”を詠む季節の一句 [おとなスタイル]

新しい表現に挑戦!“今”を詠む季節の一句 [おとなスタイル]

2016年11月14日(月) 09時00分配信

小林聡美さんと宇多喜代子先生

日本の美しさを豊かに表す俳人・宇多喜代子先生と、女優・小林聡美さんが季節の句を詠み合います。今回出されたお題は、「日傘」。
たくましく生きる女性の姿が目に浮かぶ

「用法に自信がなくても、思い切って、新しい表現に挑戦してみよう、と」――小林聡美さん

たくましく生きる女性の姿が目に浮かぶ

小林 実はこの句、中七でちょっと悩んだんです。「なめらかなりて」と「たっぷりとして」、どちらがいいかな、と。最近は若いお嬢さんも使いますけれど、やっぱり日傘というと、ある程度年齢を重ねた女性のほうがしっくりくるなと思い、結局後者にしました。

宇多 生活力があって、たくましく生きてきた女性が、二の腕を出した洋服を着て、白日傘でスッと行く姿が目に浮かびますね。

小林 二の腕が、歩くたびに揺れているんですよね(笑)。

宇多 本当に、「振り袖」とはよく言ったものですよ。歳を重ねると、いつしか自分の二の腕が振り袖になっているのですから(笑)。それにしても、「たっぷりとして」、こういう言葉の使い方ができるようになると、すばらしいですね。

小林 「○○なりて」とか「○○として」という表現をしてみたいけれど、この使い方で合っているのかなと不安だったんです。でも、とりあえず試してみよう、と。

宇多 それでいいんですよ。小林さんの感性は、俳句にとても合っているなあ、と思いますね。

「歳とともに、俳句は変わる。正直に“今”を詠めばいいんです」――宇多喜代子先生

宇多 これは夏が幾度も来ては過ぎ、日傘を閉じたり開いたりしているうちに、あっと言う間に80歳になっちゃった、という実感を詠んだ句。でも歳を重ねることも、そう悪いものでもないんですよ。確かに肉体的にはできなくなることも多いけれど、そのぶん無理をする必要もなくなりますから。

小林 先生の闊達でポジティブな感じが伝わってきます。すごく動きがあって、明るくて。

宇多 思い返せば若い頃に詠んだ句なんて、書き直したいようなものばかりですよ(笑)。余計なことばかりたくさん書いていてね。

小林 先生でもそうなのですか!?

宇多 ええ、歳とともに、俳句は変わってくるんですよ。だからその時々で、正直に“今”を詠めばいいんです。それを全部集めれば、“個人史”ができますね。

小林 これからも俳句を日々続けて、またいつの日か先生に見ていただけるよう、がんばります!

 

『おとなスタイル』Vol.4 2016夏号より
(撮影/関めぐみ)

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