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今や世界共通の教養!? フランスで大人気の小林一茶、俳句の魅力とは? [おとなスタイル]

2016年11月03日(木) 09時00分配信

小林一茶の句はフランス人に大人気!?

小林聡美さんと宇多喜代子先生

小林一茶の句はフランス人に大人気!?

宇多先生(以下敬称略) 小林さんは4年前に俳句を始められて、今、どれくらい作られました?
小林 はっきり覚えていませんが、毎月メンバーの違う2つの句会でそれぞれ5つずつ、つまり最低でもひと月に10は作ります。それで計算すると、一年で120、それを4年続けているので、……500近い。おお! 自分でもちょっと驚きました(笑)。
宇多 それは本当にすごいですね。今、外国でも、俳句に大変関心を持っている方が多いそうですよ。
小林 海外の方も、俳句を詠むのですか?宇多 ええ、それぞれの母国語でね。この間は修学旅行で海外に行くという高校に呼ばれ、俳句について少しお話ししたんです。現地の同年輩の子どもたちから、俳句について語り合いたいというリクエストがあったそうで。最近は海外勤務の駐在員の奥様たちからも、俳句について教えてほしいと要望を受けることが増えました。
小林 俳句は、世界で共通の教養の一つになっているのですね。
宇多 外国の方に会うと、「一茶の句でどれがお好きですか?」と突然質問されたりするんですよ。
小林 えっ! 急に聞かれても困ります……(笑)。
宇多 本当にね(笑)。芭蕉の精神性は、外国の方が理解するには少し難しいところがあるけれど、一茶は人間の滑稽味とか悲しみとか喜怒哀楽を句にしているので、国籍を問わず共感を得るんです。とくにフランスでは、断然一茶の人気が高いそうなんですよ。
小林 そうなんですか、面白い。

俳句は手紙冒頭の「季節の挨拶」と同じ

宇多 ただ日本の洗練された言葉のいくつかは、やはり外国語には置き換えられないと思いますね。たとえば「食べる」というだけでも、「食う」「食らう」「いただく」「召し上がる」と、たくさんの表現方法がありますから。
小林 使う場面によって、漢字も変わってきますものね。
宇多 手紙の冒頭には必ず季節の挨拶が入るもの。「暖かくなりましたね」とか「ようやく夏めいてまいりました」とか。日本人にとってそれは普通のことでしたが、今はメールでもいきなり用件を切り出し、そういう挨拶をする機会が少ないですね。俳句は、こうした「季節の挨拶」でもあるんです。
小林 大げさに考えると難しいと尻込みしてしまうけれど、四季や日本の文化を気軽に楽しむというくらいで始めれば、本当に面白いし、ずっと続けられる。それが俳句の魅力だなと思います。

■Profile
宇多喜代子先生
うだきよこ
俳人。現代俳句協会特別顧問を務める。
著書は『名句十二か月』(角川選書)、『里山歳時記田んぼのまわりで』(日本放送出版協会)など多数。作家の故・中上健次氏との親交でも知られる。農事や歳時記に造詣が深い。

小林聡美さん
こばやしさとみ
1965年、東京都生まれ。
映画やドラマ、CMへの出演のほか、『散歩』(幻冬舎文庫)、『読まされ図書館』(宝島社)などエッセイの著作も多数。NHKEテレ「趣味どきっ!」(火曜担当)、公開中の映画『海よりもまだ深く』に出演。


『おとなスタイル』Vol.4 2016夏号より
(撮影/関めぐみ)

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