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『何者』が語り掛ける20代が”何者”かになる方法 [with]

2016年10月25日(火) 17時30分配信

(C)2016映画「何者」製作委員会 (C)2012 朝井リョウ/新潮社

就職活動中の5人の大学生の人間関係を描く、『何者』。佐藤健、菅田将暉、有村架純、二階堂ふみ、岡田将生、山田孝之……という顔合わせに、原作は『桐島、部活やめるってよ』で知られる朝井リョウですから、まあ作品は当然のことのように面白いのですが、率直に思ったのは「今の20代って大変だな」ということです。物語は「ああ、こういうヤツいるよな」と思わせるキャラクターたちの仲間に対する本音を、「自分は本当は何者でもないこと」を思い知らされる就職活動中に、SNSによってあぶりだしてゆきます。

(C)2016映画「何者」製作委員会 (C)2012 朝井リョウ/新潮社

例えば岡田将生演じる隆良は、「今の時代に会社に属する意味を見いだせない」とか言いつつ、学生だてらキュレーターというカタカナ肩書の名刺を作り、様々なパーティーに顔を出して人脈を作り――その実、何の行動も起こしていないという、まさに「口だけ」というキャラクターです。

(C)2016映画「何者」製作委員会 (C)2012 朝井リョウ/新潮社

こんな人が大人世代である私の大学の同級生にいたら、酒の席で「すごい~!」と持ち上げられつつもイジられ、青臭い人でもいればその欺瞞を論破され、「口だけ野郎」とビールぐらい顔に浴びせられていたでしょう。そりゃ彼もその時は傷つき怒るかもしれませんが、逆を言えばそこは「カッコつけても仕方ない場所」であり、なんだかんだつきあっているうちに「カッコつけなくても受け入れてくれる場所」となる可能性もあったはずです。そういう場所って実は非常にラクチンなものです。

(C)2016映画「何者」製作委員会 (C)2012 朝井リョウ/新潮社

とはいうものの、こんな古き良きユートピアみたいな世界はもはや消滅しているんでしょう。「何者」はそういう大学生たちが、表面的に肯定してもらえる代わりに、カッコつけ続けなければいけない世界、その上でSNSという「裏側」では何を言われているかわかったもんじゃない今の世界が描かれていて、本当に胸が痛くなります。

そして作品が熱く語りかけるのは、カッコつけているうちは"何者"にもなれないということ。その最たるものを演じる佐藤健の胸打つラストをどうぞご覧くださいませ。

 

『何者』 全国東宝系にてロードショー公開中!

 

文/渥美志保

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