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56歳から若い人たちと一緒に開業した“日本のおかあさん料理”が人気のカフェ [おとなスタイル]

2016年06月08日(水) 09時00分配信

古民家でお母さんの味を味わうカフェが人気

20代~80代という幅広い年代のスタッフがカフェの調理、接客を担当。『やぼろじ』のメンバーもカフェの常連。

古民家でお母さんの味を味わうカフェが人気

武蔵野の面影が残る多摩エリアで話題の『やまもりカフェ』。運営するのは“日本のおかあさんの料理”が幅広い世代から支持されている大久保久江さん。
56歳でカフェを始めた大久保さんにお話を伺いました。

「“好きで、苦にならないこと”を仕事に選びました」
母の味”をしみじみと味わえる『やまもりカフェ』が人気を集めています。店舗は東京都国立(くにたち)市谷保にある江戸時代から続く旧家。切り盛りするのは56歳でここを立ち上げた大久保久江さん。
「このカフェでお出ししているのは一汁三菜の伝統的な日本の家庭料理です。主菜のお肉やお魚、豆腐などと一緒に、野菜がたくさん食べられるもの。普通だけれど気持ちのこもった料理を、庭の自然を眺めながらちゃぶ台で向き合って食べていただく。料理がシンプルな分、食材にはこだわり、『山石農園』(秋田)のお米、『高野養鶏場』(東京)の卵など、生産地に行って、誠実さを確かめた食材を、地元の女性を中心としたスタッフと一緒に調理しています」
大久保さんは、この店を開くまで飲食店の経験はありませんでした。
「子育てがひと段落してから、物流会社の運営に参加しました。会社の給湯室でご飯を炊いたり、スタッフの実家から送られた食材を調理していたんです。それが好評で、社員食堂へと発展。昭和の大家族で育った私には、みんなでワイワイ食卓を囲むことは日常風景ですし、食べることでみんなを喜ばせたいと思い、食を生涯の仕事にしようと決めました」
みんなの胃袋を魅了する普通のお総菜のパワー

肉の旨みと野菜の甘みにハッとする『小松菜ハンバーグ定食』(1150円)

みんなの胃袋を魅了する普通のお総菜のパワー

「私の仕事は、日本の食卓を取り戻すこと」

「実はこのカフェは『やぼろじ』というシェアオフィスの一部でもあるんです。全体の管理をしている代表の建築士をはじめ、アートディレクター、デザイナーなど様々な活動をする入居者がこの場所で働いています。カフェの裏には蔵を改装したおしゃれな書店があり、若い人たちとの交流も、いい刺激になっています。そうそう、このカフェは彼らの社員食堂でもあるんですよ」
武蔵野の自然の中で、若い世代を中心に幅広い年代の人と仕事をすることは、本当に楽しい、と大久保さんは語ります。
「おばあちゃんの知恵、私たちの知恵、若い人の知恵。互いの世代の知恵を交換し、発見の毎日です。それも“食”という、生きる上で最も大切なことを通してだから、世代や性別を問わず交流することができるのでしょうね。若い人たちの中には、コンビニで食事を済ませ、料理をしないという人も増えています。けれどお店で出す、こんな普通の家庭料理を目当てに20代~30代のお客さまがたくさん訪ねてくださるのは、若い人たちも、心身を癒やす母の食事を求めているからなのでしょうね。食べることは生きることそのもの、心の豊かさともつながる大切なことだと、誰もが直感的にわかっているからだと思います」
大久保さんの提唱する日本の家庭料理“母めし”の輪はどんどん拡大しています。
「お店で定期的に開催している料理教室には全国から参加してくださる方がいますし、発売したレシピ本『母めし一汁三菜』もおかげさまで版を重ねています。個人向けにカフェ開業のアドバイスを行うなど仕事の幅も広がっています。私たちの世代が作って、家族に食べさせてきた普通の“お総菜”は、本当にすごい力を持っているんです。消えつつある日本の食卓文化を次に伝え、みんなで美味しく食卓を囲む、それが私の仕事であり、みなさんに喜んでいただけることだと思います」

DATA
やまもりカフェ
東京都国立市谷保5119 やぼろじ

<大久保久江さん プロフィール>
1954年東京都生まれ。3人の子どもの育児が落ち着いた後、勤務した物流会社で経営役員に。関連会社の社員食堂を手がけ、2010年に株式会社やまもりを設立。2012年にカフェを開店。
おとなスタイルVol.2 2015冬号より

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