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柴門ふみさんが、 俳句を始めて気づいたこと [おとなスタイル]

2016年04月27日(水) 09時00分配信

ダメ出しされる経験って、いくつになっても大切

2015年1月から、月1回の通信教育講座で俳句を習っている、漫画家・柴門ふみさん。 これまで気になっていたことを50代で始めた楽しさ、そして思わぬ苛立ちなど、“初体験”を振り返っていただきました。

ダメ出しされる経験って、いくつになっても大切

「実は2015年1月から、俳句を習い始めたんです」と楽しそうに話す、漫画家の柴門ふみさん。たまたま新聞を読んでいるときに見つけた、通信教育の「はじめての俳句」講座に申し込み、月に1回句を送って添削してもらっているという。
「きっかけは、2年前にコーギー犬の〝リンコ〟を飼い始めたことでした。毎日朝夕2回、近くの井の頭公園を散歩していると、自然や季節の移ろいに目が向くようになってきて。『一句、詠めたらいいのになあ』と思い始めたんです」
もともと中学生の頃から教科書に載っていた俳句が好きで、気に入ったものは暗記していたそう。
「よく覚えているのが、加藤楸邨(しゅうそん)の『鮟鱇(あんこう)の骨まで凍ててぶちきらる』という句。鮟鱇が吊るされ、切られる情景が鮮やかに想像できますよね。言葉から情景が浮かぶのが、俳句の好きなところ。漫画と俳句は、すごく近い気がします」
時にはやんわりと問題点を指摘され、もう一句詠んで再提出することもあるが、それもまた面白い。
「この年になると、新しいことを学んで上達していくという喜びも、人にダメ出しされてやり直すこともあまりなくなりますから、とても新鮮で。最初はもちろん、イラッとしたこともありましたよ。でも10日間くらい後にもう一回見直すと、『ごもっともです』と素直に受け入れられるように(笑)。誰かに『ダメ』と言ってもらう経験はいくつになっても大切。それによって世界が広がりますから」
家族旅行の際や庭の花が咲いたときなどは、実は俳句好きだという、夫で漫画家の弘兼憲史さんと、互いに一句詠むこともあるそう。
「ふとした瞬間には降りてくるのに、『作ろう』と思ったときにはいいのがなかなか出ないんですよね。でも創作って、本来そういうもの。とにかく今はこの講座で基礎を身につけ、来年あたりから俳句の上手な友人に、『私も始めたのよ』とさりげなく挑戦状を出してみようかな、と。ま、夫には今でも十分勝っていますけど(笑)」
柴門さんお気に入りの一句をご紹介

お気に入りの句 その1

柴門さんお気に入りの一句をご紹介

「仕事中相手をしてもらえず、いつの間にか寝ている犬の様子を詠んだ、夏の句。季語の『蟬しぐれ』が逆に、夏の昼下がりの静けさを表現できているのでは、と自負しています」

お気に入りの句 その2

「娘に怒られるかもしれないけれど(笑)。秋の空を見上げると、澄んだ空にいわし雲が。雲は流れてどこまでもあてどなく、娘の未来もあてどなく、という感じでしょうか」

お気に入りの句 その3

「これも好きな句。『逢魔どき』とは、黄昏の後、夜の闇直前の夕焼けの時間をいうんです。庭に百日紅が咲いたので、それを季語にしていくつかまとめて詠んだうちの一つです」
<柴門ふみさん プロフィール>
漫画家。1957年、徳島県生まれ。代表作は『東京ラブストーリー』『P.S.元気です、俊平』など。33歳の娘と29歳の息子は独立し、時間を自分の好きなことに当てられるように。12月19日より徳島県立文学書道館にて「『柴門ふみの世界』展」開催。
おとなスタイルVol.2 2015冬号より

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